ホーム/コラム/外壁塗装の相見積もりは「3社」が正解|業者の組み合わせ戦略と見積書の読み方

外壁塗装の相見積もりは「3社」が正解|業者の組み合わせ戦略と見積書の読み方

外壁塗装の相見積もりは「3社」がベスト。2社では基準がわからず、4社以上は情報過多で決められない。異業態ミックスと同業態比較の使い分け、見積書の監査ポイントを塗装歴50年の職人が解説。

「相見積もりは何社から取ればいいですか?」

外壁塗装を検討する方から、最もよく聞かれる質問です。

答えは「3社」です。

2社では比較の基準がわからず、4社以上は情報過多で決められなくなる。3社が最も効率的な限界値です。

塗装歴50年、500件以上の現場を見てきた私が、3社比較の戦略的な組み合わせ方、見積書から業者の本質を見抜く方法、そして悪徳業者を回避するチェックポイントを徹底解説します。

なぜ「3社」なのか

2社では基準がわからない

2社の見積もりを比較する場合、どちらが市場の標準なのか判断できません。

  • 高い方が適正で、安い方が手抜きなのか?
  • 安い方が良心的で、高い方が過剰利益なのか?

基準点が定まらないまま、どちらかを選ぶしかなくなります。

4社以上は情報過多で決められない

一方で、4社以上から見積もりを取ると「情報の過多(Information Overload)」が発生します。

各社が異なる塗料(シリコン、ラジカル、フッ素、無機など)や工法を提案してくるため、比較の軸が多岐にわたりすぎ、意思決定麻痺(Decision Paralysis)に陥ります。

また、現地調査の立ち会いと商談に要する時間的コストも無視できません。

3社なら「安値・中値・高値」がわかる

3社から見積もりを取れば、市場の価格分布を把握できます。

位置役割
高値上限価格のベンチマーク
中値バランスの取れた標準
安値下限価格と最低品質ライン

この3点があれば、「自分の価値観に合った業者」を論理的に選べます

3社の組み合わせ戦略

相見積もりの本質は、単に安い業者を見つけることではありません。「自分の価値観に合った業者」を炙り出すプロセスです。

そのためには、3社の組み合わせを意図的に設計する必要があります。

【戦略A】異業態ミックス(市場構造把握型)

推奨対象:初めての外壁塗装で、相場感も業界知識もない方。安心感を重視しつつ、価格の妥当性も確認したい方。

構成:

  • 大手ハウスメーカー(新築時の施工会社)
  • 地域密着型の中堅リフォーム店(創業20年以上)
  • 地元の塗装専門店(自社施工店)

この組み合わせでわかること:

業者ベンチマーク
ハウスメーカー上限価格(天井)と最大級の保証
塗装専門店実勢価格(現場原価に近い価格)
中堅リフォーム店両者の中間、バランスの良い提案

この3社を比較することで、「ハウスメーカーの安心料に差額分の価値があるか」を客観的に判断できます。

「50万円高いが、長期保証とブランドの安心感があるならハウスメーカーにする」

「中身が同じなら50万円安い専門店にする」

どちらも合理的な選択です。

【戦略B】同業態ガチンコ比較(コスパ追求型)

推奨対象:予算管理が厳格で、施工品質(職人の腕)を最優先したい方。「ハウスメーカーは高いので除外」と既に決めている方。

構成:

  • 地元の評判が良い塗装専門店 A社
  • 地元の評判が良い塗装専門店 B社
  • 隣接エリアの有力塗装専門店 C社

この組み合わせでわかること:

土俵を「専門店」に統一することで、純粋な技術力と提案力の差異が浮き彫りになります。

価格差は大きく開かない(数万〜十数万円程度)傾向にあるため、勝負の分かれ目は以下の細部に宿ります。

チェック項目見るべきポイント
診断の精度屋根の劣化やコーキングの亀裂をどこまで細かく指摘したか
塗料の選定理由なぜその塗料が我が家に適しているのか、論理的な説明があるか
担当者の熱意現場管理に対する姿勢や、職人との連携体制

ここでは、価格競争ではなく「品質競争」を誘発させることが目的です。

業者カテゴリー別の利益構造

なぜ同じ工事なのに、業者によって価格が大きく異なるのでしょうか?

それは、各業者のビジネスモデルに由来する「利益構造」が異なるからです。

業者カテゴリー推定利益率価格構成の特徴
大手ハウスメーカー30〜50%自社施工せず下請けに丸投げ。ブランド維持費、展示場経費が価格に転嫁
総合リフォーム店30〜50%テレビCMや広告費、営業歩合がコストに含まれる
家電量販店・HC30〜50%カウンター受付のみ、施工は完全外注
地域密着型塗装専門店15〜25%自社職人施工で中間マージン最小化

この表が示すのは、発注先によって「施主が支払う100万円」の内訳が劇的に異なるという事実です。

「人工」の視点で考える

塗装方程式を思い出してください。

品質 = モチベーション × 技術 × 時間

ハウスメーカーに支払う100万円のうち、実際の工事に使われるのは50〜60万円程度かもしれません。

一方、専門店であれば75〜85万円が現場に投入される可能性があります。

この差額は、職人の労働時間(人工)に直結します。

業者100万円の内訳現場に回る予算確保できる人工
ハウスメーカー中間マージン50%50万円10人工
専門店中間マージン20%80万円16人工

同じ100万円でも、専門店なら1.6倍の人工をかけられる——これが価格構造の本質です。

→ 詳しくは「人工(にんく)とは?見積もりの裏を読む」をご覧ください。

見積書の監査:業者の本質を見抜く

プロが見れば、見積書一枚でその業者の技術レベルと誠実さが判別できます。

【チェック①】面積数量の根拠

評価見積書の記載
✅ Good「外壁面積 142.5㎡(開口部減算済み)」具体的な数値と計算根拠
❌ Bad「一式」の多用。建坪から単純換算しただけの概算

外壁面積は家の形状によって大きく異なります。実測を行わずに見積もりを出す業者は論外です。

【チェック②】塗料の商品名とメーカー名

評価見積書の記載
✅ Good「エスケー化研 プレミアムシリコン」メーカー名+商品名がフルネーム
❌ Bad「シリコン塗料」「フッ素塗料」一般名称のみ

一般名称だけでは、定価数千円の安物シリコンを使われても文句が言えません

【チェック③】缶数計算による不正防止

これが最も高度かつ有効なチェック手法です。

各塗料にはメーカーが指定した「基準塗布量(kg/㎡/回)」が存在します。

計算式:

塗装面積(㎡) × 基準塗布量(kg/㎡) × 塗り回数 = 必要総重量(kg)

必要総重量(kg) ÷ 1缶の容量(kg) = 必要缶数

例:基準塗布量0.3kg、面積150㎡、3回塗りの場合

  • 150㎡ × 0.3kg × 3回 = 135kg
  • 135kg ÷ 15kg(1缶) = 9缶必要

見積書の備考欄に「使用予定数:10缶(予備含む)」と記載する業者は、塗料を薄めて使う手抜きをしないという意思表示です。

この計算について質問した際に言葉を濁す業者は警戒が必要です。

→ 詳しくは「見積書の読み方|一式表記の危険性」をご覧ください。

現地調査の質をチェック

契約前の診断プロセスは、医師の問診に相当します。誤診(見落とし)があれば、どんなに良い薬(塗料)を使っても治りません。

チェック項目優良業者悪質業者
所要時間30分〜1時間10分程度で外周を回るだけ
高所確認ドローン・梯子で屋根を実際に確認下から見上げるだけ
報告書写真付き診断書、論理的な説明口頭説明のみ、根拠なし

悪徳業者のレッドフラグ

塗装業界には残念ながら悪質な業者が存在します。彼らの手口には共通のパターンがあります。

【危険信号①】訪問販売

突然訪問し、「近くで工事をしている」と言う業者は要注意。

また、玄関ドアやガスメーター周辺に謎の記号(「S」「M」「K」など)が書かれている場合、訪問販売業者の間で「カモリスト」として情報共有されている恐れがあります。

→ 詳しくは「訪問販売の撃退法と断り方」をご覧ください。

【危険信号②】大幅値引き

「本来200万円ですが、今ならモニター価格で100万円にします」

100万円単位の値引きは、最初の200万円が架空の数字。二重価格表示という違法性の高い手法です。

→ 詳しくは「モニター価格の嘘|二重価格と手抜き工事の実態」をご覧ください。

【危険信号③】足場代無料

足場の設置には、部材の運搬、組立解体の人件費、リース代など、必ず十数万円〜二十万円の原価がかかります。

これを無料にするということは、塗料の質を下げるか、他の項目に乗せているだけ。不誠実な提案の典型です。

【危険信号④】契約を急かす

「今日なら」「明日まで」と急かす業者は、冷静に考える時間を奪おうとしています

優良業者は「ご家族と相談してください」「他社とも比べてください」と言います。

30坪住宅の適正価格帯

相見積もりの比較軸として、適正価格帯を把握しておきましょう。

工事項目適正相場備考
足場仮設費15万〜20万円飛散防止ネット含む
高圧洗浄2万〜5万円旧塗膜・苔の除去
下地補修・シーリング10万〜20万円最重要項目
外壁塗装(3回塗り)40万〜70万円塗料グレードで変動
付帯部塗装10万〜20万円軒天、雨樋、破風板
諸経費5万〜15万円管理費、廃材処理
合計80万〜140万円屋根塗装含まず

注意:「外壁塗装パック59.8万円」のような極端な安値は、足場代が別だったり、最低グレードの塗料だったり、付帯部が含まれていないケースが多いです。

人工(にんく)理論の視点

3社の見積もりを比較するとき、金額だけを並べていませんか?本当に比較すべきは「人工数」です。各社の見積もりから人件費を読み取り、職人の日当(地域相場で15,000〜25,000円)で割ってください。A社25人工・B社20人工・C社15人工——同じ「100万円前後」でも、投入される作業量にこれだけ差が出ます。人工数が多い業者ほど、下地処理や乾燥時間に手を抜かない余裕があるということ。「安い順」ではなく「人工が充実している順」で選ぶのが、相見積もりの正しい活用法です。

人工理論の詳しい解説は「人工(にんく)理論 完全講義」をご覧ください。

まとめ:3社比較で失敗しない

相見積もりを成功させるポイントをまとめます。

  • 3社から見積もりを取る(2社では基準がわからず、4社以上は情報過多)
  • 組み合わせを意図的に設計(異業態ミックス or 同業態比較)
  • 見積書を監査する(面積根拠、塗料名、缶数計算)
  • 現地調査の質をチェック(30分以上、写真付き報告書)
  • レッドフラグを見逃さない(訪問販売、大幅値引き、足場代無料)

適正な業者を選べば、適正な工事が行われます。

---

見積もりに不安がある方へ

「3社から見積もりを取ったけど、どれが適正かわからない」

「見積書の内容が専門的で判断できない」

そんな方のために、塗装歴50年の職人が見積書を診断するセカンドオピニオンサービスを提供しています。

紹介料を一切いただかない完全中立の立場で、3社の見積もりを比較し、どこが適正かどこが問題かを第三者の目でチェックします。

見積書診断サービスの詳細はこちら

---

関連記事

- 人工(にんく)理論 完全講義|原価から適正品質を見極める →

関連記事

- 自社施工の塗装店を見分ける3つの質問 →

▶ この記事は「見積もり・費用」カテゴリのガイド記事です。見積書の総合的な判断基準は外壁塗装の見積書は「金額」で比べるな|人工で読む適正価格の判断基準をご覧ください。

見積書、このままで大丈夫?

50年の現場経験を持つ診断アドバイザーが、あなたの見積書をチェックします。 適正価格か、工程に問題はないか、第三者の目で確認してみませんか?

無料で相談する

※ 営業目的の連絡は一切いたしません

プロが使う人工数比較シートを無料プレゼント

見積書の「人工数」を比較して、手抜き業者を見抜く

※ 個人情報は厳重に管理し、第三者に提供することはありません

この記事に関連するステップ

業者を探そう

詳しく見る →