「足場を解体します」
業者からこの連絡が来たとき、あなたは何を確認すべきか分かりますか?
足場解体前は、施主にとって「最後のチャンス」です。
足場があれば、高所の仕上がりを間近で確認できます。塗り残しや色ムラがあれば、その場で指摘して直してもらえます。
しかし、足場が解体されてしまうと、もう高所の確認は困難になります。再度足場を組むには数十万円かかり、「まあいいか」と諦めてしまう施主がほとんどです。
この記事では、塗装業50年の経験と、私が執筆した「外壁塗装工程別チェックポイント21」の内容をもとに、足場解体前に絶対確認すべきポイントを解説します。
この記事で分かること
- なぜ足場解体前の確認が重要なのか
- 足場解体前に確認すべき10のチェックポイント
- 確認箇所別の詳細チェックリスト
- 不具合を見つけたときの対処法
- 足場解体後に確認すべきこと
なぜ足場解体前の確認が重要なのか
高所確認の「最後のチャンス」
外壁塗装で最も確認しにくいのは、2階以上の高所です。
地上から見上げても、塗りムラや塗り残しは分かりません。足場があれば、職人と同じ目線で仕上がりを確認できます。
足場があるうちにしかできないこと:
- 2階・3階の外壁を間近で確認
- 軒天(屋根の裏側)の仕上がりを確認
- 破風・鼻隠しなど屋根まわりの確認
- 雨樋の裏側・固定金具まわりの確認
足場を再度組むと数十万円
「足場解体後に不具合を見つけたから直してほしい」
こう言っても、再度足場を組むには15〜25万円程度の費用がかかります。この費用を誰が負担するかで揉めることも多いです。
足場解体前なら、指摘した箇所はその場で修正可能。追加費用も基本的にかかりません。だからこそ、この段階での確認が重要なのです。
「完了検査」は施主の権利
工事の完了検査は、施主の正当な権利です。
多くの業者は「お忙しいでしょうから」と、施主の確認なしに足場を解体しようとします。しかし、足場解体前に施主検査の時間を取ってもらうことは、当然のことです。
「足場解体の前に、仕上がりを確認させてください」
この一言を言えるかどうかで、工事への納得度が大きく変わります。
足場解体前に確認すべき10のチェックポイント
チェックリスト一覧
- 塗り残し・塗りムラがないか(重要度:★★★)
- ダレ(垂れ跡)がないか(重要度:★★★)
- 色はイメージ通りか(重要度:★★★)
- 付帯部の仕上がりは良いか(重要度:★★☆)
- シーリングは適切に施工されているか(重要度:★★★)
- 異物の付着がないか(重要度:★★☆)
- 養生の撤去漏れがないか(重要度:★★☆)
- 窓・サッシへの塗料付着がないか(重要度:★★☆)
- 外構への塗料飛散がないか(重要度:★★☆)
- 足場撤去で傷がつきそうな箇所の確認(重要度:★★☆)
確認箇所別の詳細チェックリスト
【外壁全体】
外壁は最も面積が大きく、仕上がりの印象を左右する部分です。
チェック項目:
- 塗りムラ・色ムラがないか
- 塗り残しがないか
- ダレ(液垂れの跡)がないか
- 塗料の厚みは均一か
- 異物(虫・ゴミ・毛)が付着していないか
- 色は見本と合っているか
見落としやすいポイント:
- 入隅(内側の角)・出隅(外側の角)
- エアコン配管の裏側
- 給湯器の裏側
- 雨樋の裏側
これらの「裏側」は、職人も塗りにくい場所。意図的ではなくても、塗り残しが発生しやすい箇所です。
【サッシまわり・窓まわり】
窓やサッシのまわりは、養生との境目になるため、トラブルが起きやすい部分です。
チェック項目:
- 塗り残し・はみ出しがないか
- サッシ枠に塗料が付着していないか
- 窓ガラスに塗料が付着していないか
- 養生テープの糊が残っていないか
- マスキングの跡(塗料の段差)が気にならないか
注意点:
養生を剥がしたときに、塗料のはみ出しや糊残りが発生することがあります。養生撤去後の状態を必ず確認しましょう。
【軒天(のきてん)】
軒天は屋根の裏側部分。地上からは見えにくいですが、足場があれば確認できます。
チェック項目:
- 塗りムラ・色ムラがないか
- 塗り残しがないか
- 換気口まわりは綺麗に仕上がっているか
- 軒天と外壁の境目は綺麗か
見落としやすいポイント:
軒天は「上を向いて塗る」作業のため、職人にとっても体勢がきつい場所。塗りムラが発生しやすいです。
【破風(はふ)・鼻隠し】
屋根の端に取り付けられた板状の部材。雨樋の取り付け部分でもあります。
チェック項目:
- 塗りムラ・塗り残しがないか
- 雨樋の固定金具まわりは塗られているか
- 外壁との境目は綺麗に仕上がっているか
- 色は指定通りか(付帯部は外壁と色を変えることが多い)
【雨樋(あまどい)】
雨樋は塩ビ製のものが多く、専用プライマーを使用しないと剥がれやすい部分です。
チェック項目:
- 塗りムラ・塗り残しがないか
- 樋の内側に塗料が入っていないか
- 固定金具まわりも塗られているか
- 縦樋と横樋の接続部分は綺麗か
注意点:
雨樋の内側に塗料が入ると、雨水の流れを妨げる可能性があります。養生が適切だったか確認しましょう。
【雨戸・戸袋・シャッター】
可動部のある部品は、塗装後にスムーズに動くかどうかも重要です。
チェック項目:
- 塗りムラ・塗り残しがないか
- 戸袋内部に塗料が入っていないか
- レール・戸車に塗料が付着していないか
- 雨戸を動かしたときにしか見えない「縁」に塗り残しがないか
- 塗装後、スムーズに開閉できるか
重要:
塗装前後で開閉テストを行い、既存の不具合と塗装による不具合を区別しておく必要があります。塗装後に「バリバリ音がする」「動きが重い」といった問題が発生することがあります。
【シーリング(コーキング)】
サイディング外壁の場合、シーリングの仕上がりは耐久性に直結します。
チェック項目:
- シーリングは打ち替えられているか(増し打ちとの違い)
- シーリングの幅・厚みは均一か
- 気泡や剥がれがないか
- 外壁との境目は綺麗に仕上がっているか
- プライマー(下塗り材)は塗布されているか
見分け方:
打ち替えの場合、古いシーリングを撤去してから新しく充填するため、シーリング幅が均一になります。増し打ちの場合、古いシーリングの上に重ねるため、幅にばらつきが出やすいです。
【養生撤去後】
養生(ビニールやマスキングテープ)を撤去した後の状態を確認します。
チェック項目:
- 養生テープの剥がし残しがないか
- テープの糊が残っていないか
- 塗料のはみ出しがないか
- エアコン室外機は正常に動作するか
- 換気扇は正常に動作するか
【周辺への影響】
塗料の飛散や工事中の損傷がないか確認します。
チェック項目:
- 近隣の外壁・車に塗料が飛散していないか
- 自分の車に塗料が付着していないか
- 植木・花壇への影響はないか
- 外構(フェンス・カーポート等)への塗料付着はないか
重要:
近隣への塗料飛散が発覚した場合、足場があるうちに対処するのがベストです。足場解体後では対応が難しくなります。
【足場撤去に備えて】
足場を解体する際に、外壁や付帯部に傷がつく可能性があります。
チェック項目:
- 足場と外壁が接触している箇所を確認したか
- 足場撤去時に傷がつきそうな箇所を業者と共有したか
- 現状の仕上がりを写真で記録したか
ポイント:
足場解体前に写真を撮っておくことで、「この傷は足場解体時についた」と主張できます。記録がなければ、水掛け論になる可能性があります。
不具合を見つけたときの対処法
その場で指摘する
不具合を見つけたら、その場で職人または担当者に指摘しましょう。
伝え方の例:
「この部分、塗りムラがあるように見えるのですが、確認していただけますか?」
「攻撃」ではなく「確認」のスタンスで伝えることで、職人も素直に対応しやすくなります。
写真を撮って記録する
指摘した箇所は、必ず写真を撮って記録しておきましょう。
後から「直しました」と言われても、本当に直ったか確認できなければ意味がありません。修正前・修正後の両方を記録しておくと安心です。
足場解体を延期してもらう
不具合が多い場合は、足場解体を延期してもらいましょう。
「指摘した箇所を直していただいてから、再度確認させてください。それまで足場解体は待っていただけますか?」
施主検査が完了するまで足場を解体しないのは、当然の権利です。遠慮する必要はありません。
書面に残す
指摘した内容と、業者の対応を書面(メールやLINE)に残すことも重要です。
「本日○○箇所の不具合を指摘しました。修正後、再度確認させてください」
口頭だけでは「言った・言わない」になる可能性があります。
足場解体後に確認すべきこと
足場解体後も、以下の点を確認しましょう。
足場解体後のチェックリスト
- 壁つなぎ跡(アンカー穴)は補修されているか ※使用した場合
- 足場の跡(傷・塗膜剥がれ)が残っていないか
- 窓枠・サッシに新しい傷がないか
- 敷地内に金属片(ビス・クランプ等)が落ちていないか
- メッシュシートの紐が残っていないか
- 照明・面格子・雨樋等が元通りに復旧されているか
壁つなぎ跡の補修
足場を固定するために、外壁に「壁つなぎ」を設置することがあります。
壁つなぎを撤去した後の穴(アンカー穴)は、シーリング材で補修する必要があります。補修されていないと、雨水が侵入する原因になります。
敷地内の清掃確認
足場解体後、敷地内にビスやクランプなどの金属片が落ちていることがあります。
子どもやペットが踏むと危険です。業者に清掃を依頼し、金属探知機での確認を求めることもできます。
引き渡し時に受け取る書類
工事完了時に、以下の書類を受け取りましょう。
受け取るべき書類チェックリスト
- 完了報告書(施工写真含む)
- 保証書
- 塗料の品名・色番号の記録
- タッチアップ用の塗料(可能であれば)
完了報告書の重要性
完了報告書には、各工程の施工写真が含まれているべきです。
- 高圧洗浄の状況
- 下地補修の状況
- 下塗り・中塗り・上塗りの状況
- 使用した塗料缶の写真
これらの記録がなければ、「本当に3回塗りしたのか」を確認する術がありません。
タッチアップ用塗料の入手
工事後に小さな傷や剥がれが発生した場合に備えて、タッチアップ用の塗料を少量もらっておくと安心です。
多くの業者は余った塗料を廃棄しますが、依頼すれば小分けしてくれることがあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 施主検査は何分くらいかかりますか?
A. 30分〜1時間程度を見ておきましょう。足場に上がって確認する場合は、安全のためゆっくり移動する必要があります。
Q. 足場に上がるのが怖いのですが…
A. 無理に上がる必要はありません。「高所の写真を撮ってもらえますか?」と依頼すれば、職人が撮影してくれます。スマホで動画を撮ってもらうのも有効です。
Q. 小さな塗りムラは指摘していいですか?
A. もちろん指摘して構いません。ただし、「これは許容範囲か」を判断するのは難しいです。気になる箇所はすべて指摘し、業者の見解を聞きましょう。
Q. 雨の日に施主検査をしても大丈夫ですか?
A. 避けた方が良いです。雨で濡れていると、塗りムラや色ムラが分かりにくくなります。晴れた日に再度確認することをおすすめします。
Q. 業者が「もう大丈夫です」と言って足場を解体しようとしたら?
A. 「施主検査が終わるまで待ってください」とはっきり伝えましょう。施主検査は施主の権利です。遠慮する必要はありません。
まとめ:足場解体前が「最後のチャンス」
足場解体前の施主検査は、外壁塗装工事の「総仕上げ」です。
この段階で見落とすと、後から発見しても直すのが困難。再度足場を組むには数十万円かかります。
足場解体前に確認すべき10のポイント:
- 塗り残し・塗りムラがないか
- ダレ(垂れ跡)がないか
- 色はイメージ通りか
- 付帯部の仕上がりは良いか
- シーリングは適切に施工されているか
- 異物の付着がないか
- 養生の撤去漏れがないか
- 窓・サッシへの塗料付着がないか
- 外構への塗料飛散がないか
- 足場撤去で傷がつきそうな箇所の確認
施主検査のポイント:
- 業者任せにせず、自分の目で確認する
- 不具合を見つけたらその場で指摘
- 写真で記録を残す
- 納得するまで足場解体を待ってもらう
100万円を超える工事です。「最後のチャンス」を逃さず、納得のいく仕上がりを確認しましょう。
施工管理アプリでチェックリストを活用
施工管理アプリには、足場解体前のチェックリスト機能があります。
確認すべきポイントがリスト化されており、チェックしながら漏れなく確認できます。写真記録もクラウドに保存されるので、後から見返すことも可能です。
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この記事は、塗装業50年の経験を持つ職人監修のもと作成されています。
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