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外壁塗装のコーキング手抜き5パターン|打ち替えと打ち増しの違いを職人が解説

この記事の監修者

横井塗装 代表 横井隆之

愛知県で50年続く塗装店の2代目。500件以上の施工実績を持ち、著書に『外壁塗装の不都合な真実』『塗装方程式』『外壁塗装 工程別チェックポイント21』(Kindle)がある。見積もり診断サービス「ペンキの味方」を運営し、全国の施主に中立的なアドバイスを提供している。

はじめに:コーキングは「建物の防水の要」

外壁塗装の見積もりを見ると、「コーキング工事」「シーリング工事」という項目があります。サイディング外壁の場合、この工程は建物の防水性能を左右する重要な工事です。

ところが、コーキング工事は塗装の陰に隠れがちで、施主の関心が薄いのが現実。そこを突いて手抜きをする業者が少なくありません。

この記事では、コーキング作業に関する5つの手抜きパターンと、施主が確認すべきポイントを、50年職人の視点から解説します。

コーキングとは?基礎知識

コーキング(シーリング)の役割

コーキングとは、外壁材と外壁材の隙間(目地)を埋めるゴム状の充填材です。「シーリング」とも呼ばれますが、同じものを指します。

コーキングの主な役割:

  • 雨水の侵入を防ぐ(防水)
  • 建物の動きに追従する(伸縮性)
  • 外壁材同士の衝突を防ぐ(緩衝材)

サイディング外壁の場合、目地のコーキングが劣化すると、そこから雨水が侵入し、下地の腐食や雨漏りの原因になります。

「打ち替え」と「打ち増し」の違い

コーキング工事には、大きく2つの方法があります。

【打ち替えと打ち増しの比較】
・打ち替え:古いコーキングを完全に撤去し、新しく充填 → 耐久性:高い(10〜15年)、費用:高い
・打ち増し:古いコーキングの上から新しく充填 → 耐久性:低い(3〜5年)、費用:安い

基本的には「打ち替え」を選ぶべきです。

打ち増しは応急処置的な方法で、古いコーキングと新しいコーキングの間で剥離が起きやすく、数年で切れてきます。

コーキング手抜き5パターン

パターン1:古いコーキングを完全に撤去しない

最も多い手抜きがこれです。

見積書には「打ち替え」と書いてあるのに、実際には古いコーキングを完全に撤去せず、その上から新しいコーキングを塗る。見た目は新しくなりますが、中身は「打ち増し」と同じです。

なぜ起きるか?

古いコーキングの撤去は、手間と時間がかかる作業です。カッターで切り込みを入れ、引っ張って剥がし、目地の奥に残ったカスまで取り除く。これを全ての目地で行うのは大変な労力です。

時間に追われている業者は、「どうせ上から塗れば見えなくなる」と考えて、撤去を省略します。

見抜き方:

  • 古いコーキングの撤去作業を写真で記録してもらう
  • 撤去した古いコーキングを見せてもらう
  • 作業中に現場を訪問し、目地が空になっているか確認

パターン2:コーキング材を薄く塗布する

コーキング材には適正な厚みがあります。一般的に、目地の深さに対して8mm以上の厚みが必要とされています。

しかし、コーキング材を節約するために、必要以上に薄く塗布する業者がいます。

薄いコーキングのリスク:

  • 伸縮性が不足し、建物の動きに追従できない
  • ひび割れや剥離が早期に発生
  • 防水性能が低下

見抜き方:

  • 施工後、目地を横から見て厚みを確認
  • コーキング材の使用量を確認(㎡あたりの使用量目安を質問)

パターン3:適切な材質を選ばない

コーキング材には複数の種類があり、場所によって使い分ける必要があります。

【コーキング材の種類と適した場所】
・変成シリコン:塗装可能、耐候性高い → サイディング目地(塗装あり)
・ポリウレタン:密着性高い、紫外線に弱い → 塗装で保護される箇所
・シリコン:耐候性最高、塗装不可 → 浴室、キッチン

手抜きのパターン:

  • 安価なコーキング材で代用する
  • 紫外線に弱い材質を、塗装しない箇所に使う
  • ホームセンターで売っている汎用品を使う

見抜き方:

  • 使用するコーキング材のメーカー名・製品名を確認
  • 見積書に製品名が明記されているか確認

パターン4:プライマー(接着剤)を塗らない

コーキングを充填する前に、目地にプライマーという接着剤を塗る必要があります。プライマーを塗ることで、コーキング材と外壁材の密着性が高まります。

プライマーを省略すると:

  • コーキングが外壁材から剥がれやすくなる
  • 数年で目地に隙間ができる
  • 雨水が侵入する原因になる

プライマーは透明で、塗っても塗らなくても見た目は変わりません。だからこそ、省略されやすい工程です。

見抜き方:

  • 「プライマーは塗りますか?」と事前に確認
  • 作業中に「プライマーを塗った後ですか?」と質問
  • プライマーの空き缶を確認

パターン5:コーキングの乾燥時間を無視して塗装を始める

コーキングを打った後、塗装に入るまでには乾燥時間が必要です。一般的に、変成シリコンの場合は24時間〜48時間の乾燥時間が推奨されています。

乾燥不足で塗装すると:

  • コーキング内部の溶剤が塗膜を侵す
  • 塗膜の密着不良が起きる
  • 塗膜が変色する(ブリード現象)

工期を短縮したい業者は、コーキングを打った翌日、あるいは当日に塗装を始めることがあります。

見抜き方:

  • 工程表でコーキング後に乾燥日が設けられているか確認
  • 「コーキング後、何日で塗装に入りますか?」と質問

コーキング工事のチェックリスト

施主として確認すべきポイントをまとめました。

見積もり時の確認

  • 「打ち替え」か「打ち増し」か明記されているか
  • コーキング材のメーカー名・製品名が書かれているか
  • プライマーの使用が含まれているか
  • コーキング後の乾燥日が工程表にあるか

施工中の確認

  • 古いコーキングが完全に撤去されているか(写真で確認)
  • 目地の奥までカスが取り除かれているか
  • プライマーが塗布されているか
  • コーキングの厚みは十分か

施工後の確認

  • コーキングのラインが真っ直ぐか
  • 気泡や隙間がないか
  • 塗装との境目が綺麗に仕上がっているか

職人の本音:なぜコーキングで手抜きが起きるのか

私が現場で見てきた経験から、コーキングで手抜きが起きる理由をお伝えします。

理由1:塗装の陰に隠れる

施主の多くは「塗装」に注目しますが、コーキングにはあまり関心を持ちません。だから手抜きしても気づかれにくい。

理由2:撤去作業が大変

古いコーキングの撤去は、体力と時間を使う地味な作業です。日当で働く職人は、この作業を省略したくなる。

理由3:材料費の差が大きい

高品質なコーキング材と安価な製品では、㎡あたりの単価が倍以上違うことも。利益を出すために安い材料に切り替える業者がいます。

理由4:乾燥時間=工期増=コスト増

コーキング乾燥のために1日余分にかかると、足場代や人件費が増えます。工期短縮のプレッシャーから、乾燥時間を省略する業者がいます。

コーキングは建物の寿命を左右する

塗装は10〜15年で塗り替えますが、コーキングの劣化は塗装よりも早く進行します。

コーキングが切れて雨水が侵入すると、下地の木材が腐食し、建物の寿命を縮めます。塗装だけ綺麗にしても、コーキングが劣化していれば意味がありません。

外壁塗装を検討する際は、コーキング工事の内容を必ず確認してください。

人工(にんく)理論の視点

コーキング(シーリング)の打ち替えは、30坪の住宅で通常2〜3人工かかる重要工程です。古いコーキングの撤去だけで1人工、新規充填に1〜2人工。しかし手抜き業者は「増し打ち」で済ませることで1人工程度に削減します。見た目は同じでも、増し打ちの耐久性は打ち替えの半分以下。見積書で「コーキング工事の日数」を確認し、1日以下なら打ち替えではなく増し打ちの可能性が高いと判断できます。

人工理論の詳しい解説は「人工(にんく)理論 完全講義」をご覧ください。

まとめ

コーキング(シーリング)工事の手抜き5パターンを解説しました。

  1. 古いコーキングを完全に撤去しない(最多)
  2. コーキング材を薄く塗布する
  3. 適切な材質を選ばない
  4. プライマーを塗らない
  5. 乾燥時間を無視して塗装を始める

見極めのポイント:

  • 見積書で「打ち替え」か「打ち増し」か確認
  • 古いコーキングの撤去作業を写真で記録してもらう
  • コーキング後の乾燥日が工程表にあるか確認

コーキングは建物の防水の要です。塗装と同じくらい、いやそれ以上に重要な工程として、しっかりチェックしてください。

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