外壁を手で触ると白い粉がつく——これが「チョーキング現象」だ。
チョーキングは塗膜の劣化サインであり、放置すると外壁材自体の劣化につながる。しかし、チョーキングが発生した外壁は、そのまま塗装しても塗料が密着しない。
この記事では、チョーキングが発生した外壁の下地処理について、見積もり段階で確認すべきポイントを解説する。
チョーキング現象とは
塗膜のSOSサイン
チョーキング(白亜化)とは、塗膜の樹脂が紫外線で分解され、顔料が粉状に浮き出た状態を指す。
壁を触ると手に白い粉がつくのは、塗膜が「粉化」している証拠。これは「汚れ」ではなく「塗膜の崩壊」だ。
なぜチョーキングが起きるのか
チョーキングの主な原因:
- 紫外線による樹脂の分解:塗膜を構成する樹脂が紫外線のエネルギーで切断される
- 酸化チタンの光触媒作用:白い顔料(酸化チタン)が紫外線を受けて周囲の有機物を分解
- 経年劣化:どんな塗料も時間とともに性能が低下する
南面・西面は日射量が多いため、チョーキングの進行が早い。
チョーキングの緊急度判定
チョーキングの状態によって対応の緊急度が異なる。
- レベル1(初期警戒):指先にうっすら粉がつく → 1〜3年以内に塗装を検討
- レベル2(劣化進行):手のひらが真っ白になる → 1年以内の塗装を推奨
- レベル3(機能不全):触れずとも粉が飛散、他の症状も併発 → 早急に対応が必要
チョーキングを放置すると、外壁材が雨水を吸い始める。サイディングの凍害リスク、ALCの爆裂リスク、カビ・藻の発生など、修繕費が塗装の数倍〜10倍に膨れ上がる可能性がある。
チョーキング外壁の下地処理が重要な理由
塗料が吸い込まれる問題
チョーキングが発生した外壁は、塗膜が脆弱化している。この状態で塗装すると:
- 塗料の樹脂分が外壁に吸い込まれる
- 顔料だけが表面に残る
- 結果:艶引け、色ムラ、早期チョーキング
塗ったばかりなのに、またチョーキングが発生する——こうした失敗は、下地処理の不足が原因であることが多い。
シーラーの役割
チョーキング外壁への下地処理で最も重要なのが「シーラー」だ。
シーラーの3つの機能:
- 浸透固化:脆弱化した下地に染み込み、強化する
- 吸い込み止め:塗料が下地に過剰に吸収されるのを防ぐ
- 接着(密着):下地と上塗りを結合させる
シーラーを省略すると、上塗り塗料が本来の性能を発揮できない。
シーラー塗布の判定基準
「濡れ色」になっているか
シーラーが正しく機能しているかを確認する方法:
シーラー塗布後、表面が「濡れ色」になり艶が出ているか?
- 艶が出ている:シーラーが効いている
- 艶がない(吸い込まれている):シーラーの機能が発揮されていない
吸い込まれて艶がない場合は、2回塗り(追い塗り)が必須。
吸い込みが激しい下地
以下の下地は特に吸い込みが激しいため、シーラーの2回塗りが必要になることが多い:
- モルタル(経年で多孔質化)
- ALC(元々多孔質)
- チョーキングが激しいサイディング
「シーラー1回塗り」と決め打ちで見積もりする業者は、現場を見ていない可能性がある。
難付着サイディングの問題
チョーキングしにくい=塗料も密着しにくい
2001年以降に製造されたサイディングには、特殊なコーティングが施されているものがある:
- 光触媒コーティング
- 無機系コーティング
- フッ素コーティング
これらは「汚れがつかない」=「塗り替えの塗料も密着しない」という特性を持つ。
難付着サイディングの見分け方
- チョーキング:築10年以上でも白い粉がつかない
- 製造年:2001年以降
- ラッカーシンナー試験:擦っても塗膜が溶けない
- 色あせ:南面と北面で色差がない
難付着サイディングへの対策
通常のシーラーでは密着不良を起こす。
必須:2液型弱溶剤エポキシシーラーまたは変性エポキシ樹脂系プライマー
材料選定ミスは、施工後1年以内の全面剥離という最悪の結果につながる。
見積書でのチェックポイント
チェック1:シーラーの種類が明記されているか
見積書で「下塗り一式」とまとめられていたら要注意。
確認すべき項目:
- 下塗り材のメーカー名・商品名
- シーラーの種類(水性か溶剤系か)
- 難付着サイディングの場合、専用プライマーの記載
チェック2:シーラーの塗り回数
確認すべき点:
- 「1回塗り」と決め打ちになっていないか
- 吸い込み状況に応じて追加塗布の対応があるか
- 「状況により2回塗り」などの記載
チェック3:高圧洗浄の時間
チョーキングした塗膜は、高圧洗浄で徹底的に除去する必要がある。
確認すべき点:
- 高圧洗浄の時間(30坪で1日が目安)
- 洗浄後の乾燥時間(最低1日、理想は2日)
「半日で洗浄終了」という見積もりは、洗浄不足の可能性がある。
チェック4:難付着サイディングの事前診断
確認すべき点:
- 外壁材の種類を特定しているか
- 難付着の可能性について言及があるか
- 診断方法(ラッカーシンナー試験など)の説明
「どんな外壁でも同じシーラーで大丈夫」という業者は要注意。
見積もり時に業者に聞くべき質問
質問1:「チョーキングがひどい場合、シーラーは何回塗りますか?」
- 良い反応:「吸い込み状況を見て、必要なら2回塗ります」「濡れ色になるまで塗ります」
- 要注意な反応:「1回で十分です」「シーラーは薄く塗るものです」
質問2:「シーラー塗布後、どうやって確認しますか?」
- 良い反応:「艶が出ているか確認します」「吸い込みが止まっているか見ます」
- 要注意な反応:「塗ったら終わりです」「乾いたら次の工程に進みます」
質問3:「難付着サイディングかどうか、どう判断しますか?」
- 良い反応:「ラッカーシンナーで試験します」「築年数と製品を確認します」
- 要注意な反応:「見ればわかります」「どんな外壁でも同じです」
質問4:「高圧洗浄後、どのくらい乾燥させますか?」
- 良い反応:「最低1日、天候によっては2日待ちます」
- 要注意な反応:「午前中に洗浄して、午後から塗装できます」
前回の塗装品質がチョーキングの速さを左右する
塗装品質の公式
チョーキングの発生時期は、前回の塗装品質で決まる。
品質 = 職人のやる気 × 技術と塗料の種類 × 作業にかけられる時間
同じ塗料でも「人工(にんく)」で寿命が変わる:
- 30坪で20〜25人工が適正
- 「3日で終わる塗装」は乾燥時間・下地処理が不十分
- 「15日かける塗装」は各工程が丁寧
下地処理の手抜きがチョーキングを早める
「塗装は塗るまでの下地処理が命」
- ケレン作業の手抜きは、上に塗ってしまえばわからない
- 高圧洗浄が不十分だと密着不良→早期剥離・チョーキング
- 下請け構造による時間圧縮が品質低下の原因
まとめ
チョーキング外壁への塗装で重要なポイントを整理する。
✓チョーキング外壁塗装の確認ポイント
- シーラーの種類・メーカー名が明記されているか
「下塗り一式」は要注意
- シーラーの塗り回数(状況に応じた対応か)
吸い込みに応じて2回塗り
- 高圧洗浄の時間と乾燥時間
30坪で1日、乾燥最低1日
- 難付着サイディングの事前診断
ラッカーシンナー試験
- 「シーラーは何回塗りますか?」と質問する
濡れ色になるまでが正解
チョーキングとは:
- 塗膜の樹脂が紫外線で分解され、顔料が粉化した状態
- 「汚れ」ではなく「塗膜の崩壊」
- 放置すると外壁材の劣化につながる
難付着サイディングに注意:
- 築10年以上でもチョーキングしない外壁は要注意
- 通常のシーラーでは密着しない
- 専用の2液型エポキシシーラーが必要
見積書の内容が適正か不安な方へ
「シーラーの種類が見積書に書いていない」
「難付着サイディングかどうか、業者に聞いても曖昧な返答だった」
「チョーキングがひどいのに、工期が短すぎる気がする」
チョーキング外壁への塗装は、下地処理の品質が仕上がりと耐久性を決める。シーラーの選定が適切か、塗り回数は妥当か、第三者の目でチェックする見積もり診断サービスをご利用ください。
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