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外壁のクラック(ひび割れ)の種類と深刻度判定|放置すると危険なひび割れとは?

外壁のひび割れ(クラック)は種類と幅で深刻度が決まる。名刺テストで0.3mmを判定する方法、横クラックの危険性、放置リスクと補修方法を50年経験の職人が解説。業者選びの質問例も。

外壁のクラック(ひび割れ)とは?

外壁に発生するひび割れを「クラック」と呼びます。

最初に断言します。すべてのクラックが危険なわけではありません。

クラックの深刻度は「種類」と「幅」で決まります。正しく判断できれば、焦る必要はありません。

この記事では、クラックの種類と深刻度の判定方法、放置リスク、そして業者選びのポイントまで解説します。

クラックが発生するメカニズム

外壁にクラックが発生する原因は、主に3つあります。

乾燥収縮

モルタルやコンクリートは、硬化する際に内部の水分が蒸発します。

水分が抜けると体積が減少(収縮)し、引っ張られる力でひび割れが発生します。これが最も一般的なクラックの原因です。

熱応力(サーマルサイクル)

外壁は日中の日射で膨張し、夜間に冷えて収縮します。

この膨張・収縮のサイクルが毎日繰り返されることで、材料の疲労が蓄積。やがてクラックとして現れます。

特に南面・西面は日射量が多く、温度変化が激しいため、クラックが発生しやすい傾向があります。

構造的な力

  • 地震の揺れによる変形
  • 強風による建物の振動
  • 地盤の不同沈下による建物の歪み

これらの外力が加わると、外壁材が耐えきれずにクラックが発生します。

クラックの種類と判定基準

クラックは「幅」によって2種類に分類されます。

ヘアクラック(髪の毛クラック)

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ヘアクラックは髪の毛のように細いひび割れです。すぐに修繕が必要ではありませんが、放置すると拡大する可能性があります。

構造クラック(貫通クラック)

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構造クラックは、外壁材を貫通して下地や構造体に達している深いひび割れです。雨水が直接侵入し、鉄筋の腐食や木材の腐朽を引き起こす危険があります。

判定の境界値:0.3mm

建築業界では、0.3mmがクラック判定の共通基準です。

名刺の厚さは約0.2〜0.3mm。名刺が入るクラックは、構造クラックの可能性があります。

自分でできる深刻度判定(実践編)

名刺テスト

家にある名刺で、クラックの幅を簡単に判定できます。

  1. 名刺の角をクラックに当てる → 入らない → ヘアクラック(経過観察)
  2. 名刺の角をクラックに当てる → スッと入る → 構造クラック(要対応)
  3. 1円玉(約1.5mm)が入る → 重症(早急な補修が必要)

緊急度3段階判定

レベル1:経過観察(1〜3年以内に検討)

  • ヘアクラック(0.3mm未満)のみ
  • 数本程度で増えていない
  • 他の症状(チョーキング等)なし

まだ焦る段階ではありません。次の塗り替え時にまとめて補修できます。

レベル2:要検討(1年以内に塗装推奨)

  • 複数のヘアクラックが広範囲に発生
  • チョーキングやシーリング劣化も併発
  • クラックの本数が増えている傾向

複数の劣化サインが出ているため、早めの対応が望ましい状態です。

レベル3:緊急対応(早急に補修)

  • 構造クラック(0.3mm以上)がある
  • 横方向のクラック(雨水が溜まりやすい)
  • 外壁材の浮き・剥がれを併発
  • 室内に雨染みが出ている

この状態は放置厳禁です。早急に専門業者に相談してください。

クラックの「方向」で危険度が変わる

クラックは「幅」だけでなく「方向」も重要です。

縦クラック

雨水は重力で流れ落ちるため、縦方向のクラックは比較的水が入りにくいです。

ただし、毛細管現象によって少しずつ水を吸い込む可能性はあります。

横クラック(最も警戒すべき)

横方向のクラックは、雨水を「受け皿」のようにキャッチしてしまいます。

大量の水が壁内部に侵入し続けるため、構造材の腐朽リスクが格段に高まります。

横クラックは、幅0.3mm未満でも構造クラック並みの緊急度と考えてください。

斜めクラック

斜め方向のクラックは、地震のせん断力や地盤沈下が原因で発生することがあります。

特に、窓やドアの角から斜めに伸びているクラックは、構造体の歪みを示唆している可能性があり、注意が必要です。

外壁材別のクラック特性

モルタル外壁

モルタルは最もクラックが発生しやすい外壁材です。

  • 乾燥収縮によるクラックが起きやすい
  • 地震の揺れに追従しにくい
  • 亀甲状(網目状)のクラックは乾燥収縮が原因

モルタル外壁の塗り替えには、クラックに追従する「弾性塗料」(微弾性・高弾性)の選択が重要です。

窯業系サイディング

サイディングボード自体は硬くて脆い素材です。

  • 釘・ビス周りの放射状クラック(スタークラック):施工時の過度な締め付けが原因
  • 寒冷地の凍害:ボード内部の水分が凍結・膨張してボロボロに
  • 目地(シーリング)の劣化:ボードより先にシーリングが劣化することが多い

サイディングの場合、ボードのクラックよりシーリングの劣化に先に注意すべきケースが多いです。

ALC(軽量気泡コンクリート)

ALCは内部に無数の気泡を含む素材で、スポンジのように水を吸いやすい特性があります。

  • クラックからの吸水で内部の鉄筋が錆びる
  • 錆びた鉄筋が膨張→「爆裂現象」(内部から破壊)

ALCの0.3mm以上のクラックは、即時補修が必要です。

クラックを放置するとどうなる?

水の侵入と構造劣化

  • 防水紙への到達:雨水がクラックから侵入し、防水紙まで到達
  • 断熱材のカビ:湿気を吸った断熱材にカビが発生
  • 構造材の腐朽:柱・梁などの木材が腐る

鉄筋の腐食と爆裂

コンクリートやALCの内部に入った水は、鉄筋を錆びさせます。

錆びた鉄筋は体積が約2.5倍に膨張し、コンクリートを内側から破壊します。これが「爆裂現象」です。

シロアリ被害

  • クラックがシロアリの侵入経路になる
  • 湿潤環境は腐朽菌とシロアリの好物
  • 乾いたクラックでも「蟻道」として利用される

修繕費の膨張

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クラックの段階で対応すれば、最も費用を抑えられます。

前回の塗装品質がクラックを招く

クラックが早期に発生する原因の多くは、前回の塗装工事にあります。

塗装品質の公式

品質 = 職人のやる気 × 技術と塗料 × 作業時間

この3つのうち、どれか1つでも欠けると、クラックの早期発生につながります。

クラックが早期発生する原因

  • 既存クラックを埋めずに上から塗装(下地処理の手抜き)
  • 乾燥時間不足(1日で下塗り〜上塗りを強行)
  • 塗料の過度な希釈(規定より薄めて塗る)
  • モルタル外壁に硬い塗料を使用(弾性塗料を使うべき)

下請け構造の影響

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下請けの階層が深くなるほど、職人は「ここは下地補修すべき」と思っても、時間とコストの制約で対応できなくなります。

「上に塗ってしまえばわからない」施工が横行し、結果として数年でクラックが再発します。

「塗装は塗るまでの下地処理が命」

これは私が50年間、信条としてきた言葉です。

ケレン作業の手抜き、クラック補修の省略——これらは上に塗ってしまえば見えません。しかし、数年後には必ず問題として現れます。

クラック補修の方法

被覆工法(フィラー)

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シール工法

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Uカット/Vカット工法

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低圧樹脂注入工法

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業者選びで確認すべき質問

クラック補修を含む塗装工事を依頼する際、以下の質問を業者に投げかけてください。

下地処理の確認

「高圧洗浄だけでなく、クラック補修やケレン作業は行われますか?どれくらいの時間をかけますか?」

塗装業界は「グレーゾーン」が大きい業界です。特に下地処理にかける時間は職人ごとに幅があります。

塗装工事の"仕上がり"と"持ち"を決めるのは、塗る前の下地処理。どんなに良い塗料を使っても、下地が適切でなければ数年で剥がれます。

作業時間の確認

「今回の見積もりで、何日くらいの工期が想定されていますか?」

30坪の住宅で適正な工期は10〜14日、人工数は20〜25人工が目安です。

極端に短い工期(5日以下など)は、下地処理が省略されている可能性があります。

職人の確認

「職人さんは自社職人ですか?下請けの職人ですか?現場で実際に作業する職人さんと話せますか?」

元請けとして施工する職人は品質を重視します。下請けの職人はスピード重視になりがちで、品質責任を背負っていないケースもあります。

天候不良時の対応

「雨や高湿度の日は、作業をどう判断されていますか?」

すぐに作業を止めてくれる職人が良い職人です。壁面が濡れていると、塗料の剥がれにつながります。

塗料の確認(モルタル外壁の場合)

「モルタル外壁には弾性塗料を使いますか?」

クラックが多いモルタル外壁には、ひび割れに追従する弾性塗料が有効です。ただし「弾性」にも微弾性〜高弾性まで種類があるので、確認しましょう。

足場と地域

「足場は自社保有ですか?施工会社の拠点はどこですか?」

自社で足場を保有している業者はスケジュール調整に柔軟です。また、地元の業者は評判を大切にするため、丁寧な対応が期待できます。

DIY補修の限界と注意点

  • DIY可能:ヘアクラック(0.3mm未満)で手の届く範囲
  • DIYリスク:構造クラックの表面だけ塞ぐと内部腐食を加速
  • 高所作業は転落事故のリスク
  • 補修跡が目立つ(プロのような仕上げは困難)

DIYは応急処置と割り切り、根本的な補修はプロに任せることをおすすめします。

まとめ:クラックは「種類」と「幅」で判断

この記事のポイント

  1. すべてのクラックが危険ではない。まず種類と幅を確認
  2. 名刺テストで0.3mmを判定。入らなければヘアクラック
  3. 横クラックは幅に関わらず要注意(雨水をキャッチしてしまう)
  4. 構造クラック(0.3mm以上)は放置厳禁
  5. 前回の塗装品質(人工数・下地処理)がクラック発生時期を左右
  6. 次の塗装では「下地処理に時間をかける業者」を選ぶ

クラックは「すぐに家が壊れる」サインではありませんが、放置すれば修繕費が膨れ上がります。

種類と幅を正しく判断し、適切なタイミングで対応しましょう。

見積もりのクラック補修、この内容で大丈夫?

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診断では以下をチェックします:

  • クラック補修方法の妥当性(症状に合った工法か)
  • 工期と人工数のバランス(下地処理に十分な時間があるか)
  • 塗料の選択(モルタルに弾性塗料を使っているか)
  • 施工体制(下請け構造のリスク)

契約前に、第三者の目でチェックしましょう。

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