この記事の監修者
この見積もり、適正? AIが500円で即チェック
20項目診断 + 相場比較 + 業者への質問リスト
ヨコイ塗装 代表 横井隆之
愛知県で50年続く塗装店の2代目。施工実績500件超。著書に『外壁塗装の不都合な真実』『塗装方程式』『外壁塗装 工程別チェックポイント21』(Kindle)がある。見積もり診断サービス「ペンキのミカタ」を運営し、全国の施主に中立的なセカンドオピニオンを提供している。
▶ 動画解説:見積書の危険信号15パターンを50年の職人が解説
見積書を受け取ったとき、最初にやることは何ですか?
多くの方は「合計金額を比べる」と答えます。A社は85万円、B社は110万円——安いA社に決めよう。
その判断、3年後に後悔する確率が極めて高い。
50年・500件超の施工実績から断言します。金額比較だけで業者を選んだ施主の大半は、5年以内に塗膜の剥がれ・ひび割れ・色あせに悩まされています。安い見積書には、安い理由があるのです。
この記事では、見積書の「中身」で判断するための20項目のチェックリストと、プロが実際に見ている見積書の読み方を完全解説します。
この記事の使い方
この記事は、見積書を手元に置いて読むことを前提にしています。チェックリストを1項目ずつ確認しながら、あなたの見積書が「中身のある見積書」かどうかを判定してください。
まだ見積書がない方は、まず相見積もりの正しい取り方を解説した記事をご覧ください。
外壁塗装の見積書で最初に見るべき3項目
見積書を受け取ったら、金額の前にまず3つだけ確認してください。この3つが揃っていれば、最低限「中身が見える見積書」です。
① 塗料の製品名が正式名称で書かれているか
「シリコン塗料」ではなく「日本ペイント パーフェクトトップ」のように、メーカー名と商品名が具体的に記載されているかを確認します。
「シリコン塗料一式」とだけ書かれている場合、どのメーカーのどの製品を使うかは業者の裁量に委ねられます。同じ「シリコン」でも、製品によって耐久年数は8年から15年まで幅があります。
② 塗り面積が㎡で明記されているか
「外壁塗装一式」ではなく、「外壁○○㎡」「軒天○○㎡」「破風板○○m」と、部位ごとに面積・長さが分かれているかを確認します。
30坪住宅の外壁面積は約120〜140㎡が一般的な目安です。この数値から大きく外れている場合は、面積の算出根拠を業者に確認してください。面積が過大なら見積もりが高くなり、過少なら塗料が足りず品質が低下します。
③ 工程ごとの単価と数量が分離しているか
「単価×数量=金額」の形式で書かれているかを見ます。これが分離されていれば、他社の見積書と項目ごとの比較が可能になります。
この3項目のうち1つでも欠けていたら、この記事の残りをじっくり読む価値があります。
→ 見積書の各項目を基礎から学びたい方は「見積書の見方|9つの項目」をご覧ください。
「一式」見積もりが危険な3つの理由
「外壁塗装一式 80万円」——この書き方の見積書を受け取ったことはありませんか? 一式表記には3つのリスクが潜んでいます。
リスク1:追加請求の温床になる
一式の範囲が曖昧なため、工事が始まってから「ここは一式に含まれていません」と追加費用を請求される事例が多発しています。特にシーリングの打ち替えや、ケレン(下地処理)の範囲は、一式では線引きが曖昧になります。
リスク2:工程の省略が見えなくなる
外壁塗装の品質を決めるのは、完成後には見えなくなる「下地処理」の工程です。ケレン(サビ落とし・目荒らし)、シーリング(目地の充填)、下塗り——これらが一式に包まれていると、省略されても施主にはわかりません。
30坪の住宅で下地処理に必要な人工(職人の延べ作業日数)は最低3〜5人工です。一式表記の安い見積書は、この「見えない作業時間」を圧縮している可能性があります。
リスク3:他社との比較ができなくなる
A社「外壁塗装一式 80万円」とB社「外壁塗装一式 110万円」。この2つの見積書からわかるのは「B社が30万円高い」という事実だけです。なぜ30万円の差があるのか、どの工程に差があるのかは、一式では判断できません。
ただし「一式=悪」と短絡するのは間違いです。運搬費・諸経費・養生の一式は業界の商慣習として正常です。判断基準はシンプルで、「㎡」や「m」で数量化できる項目が一式になっていたら理由を確認すべき、です。
→ 一式表記のOK/NG判定基準と業者への質問テンプレートは「一式表記は危険?3つのリスクと見分け方」で詳しく解説しています。
金額より先に「工事項目」を確認する
見積書の比較で最も多い間違いは「合計金額だけで安い方を選ぶ」ことです。本当に比較すべきは、工事項目の「あるなし」です。
A社の見積書に「シーリング打ち替え」があり、B社にない。この場合、B社は打ち替えを省略するか、打ち増し(既存の上から重ねるだけ)で済ませる可能性があります。打ち替えは撤去作業が入るため、打ち増しの2〜3倍の手間がかかります。B社が安い理由は、この手間を省いているからかもしれません。
特に確認すべき「抜けやすい5項目」
① シーリング:打ち替え/打ち増しの区別と数量(m数)が書かれているか
② ケレン:種類(1種〜4種)と対象範囲が書かれているか
③ 下塗り:製品名と塗布面積・回数が書かれているか
④ 付帯部塗装:雨樋・軒天・破風板・雨戸などが個別に記載されているか
⑤ 足場:㎡単価と面積が明記されているか
30坪住宅の場合、付帯部の塗装だけで15〜25万円程度かかります。「付帯部含む」と曖昧に書かれている場合は、どの部位を塗るのか・塗らないのかを明確にしてもらいましょう。
→ 見積もりの内訳を項目ごとに解説した「見積もり内訳を徹底解説」もあわせてご覧ください。
見積もり項目別チェックリスト(20項目)
ここからは、見積書を手元に置いて1つずつチェックできる実用リストです。各項目に✓を入れながら確認してください。
このチェックリストは印刷して見積書と一緒にお使いください。将来的にPDFダウンロード版も準備予定です。
【基本情報】4項目
□ ① 会社名・住所・代表者名が記載されている
□ ② 工事期間(着工日・完工予定日)が明記されている
□ ③ 支払条件(前払い比率・完工後支払い・分割条件)が書かれている
□ ④ 保証内容と年数(対象範囲・免責事項)が書かれている
【塗料・材料】5項目
□ ⑤ 外壁塗料のメーカー名・正式製品名が書かれている
□ ⑥ 屋根塗料のメーカー名・正式製品名が書かれている
□ ⑦ 下塗り材のメーカー名・正式製品名が書かれている
□ ⑧ シーリング材のメーカー名・正式製品名が書かれている
□ ⑨ 塗料の使用缶数(または使用量)が明記されている
【工事範囲】4項目
□ ⑩ 外壁塗装の面積が㎡で記載されている
□ ⑪ 屋根塗装の面積が㎡で記載されている(屋根塗装を含む場合)
□ ⑫ 付帯部(雨樋・軒天・破風板・雨戸等)が個別に項目化されている
□ ⑬ シーリング工事の範囲(m数)と工法(打ち替え/打ち増し)が書かれている
【工程・品質】4項目
□ ⑭ 高圧洗浄の有無と面積が記載されている
□ ⑮ ケレンの種類(1種〜4種)と対象範囲が書かれている
□ ⑯ 塗り回数が明記されている(下塗り1回+中塗り1回+上塗り1回=計3回が標準)
□ ⑰ 工期に乾燥時間が考慮されている(各工程間に最低4時間以上)
【費用構造】3項目
□ ⑱ 足場の面積(㎡)と単価が明記されている
□ ⑲ 諸経費の金額または割合が書かれている
□ ⑳ 値引きがある場合、その根拠が説明されている
最低限の必須5項目:上記のうち ⑤⑩⑬⑮⑯ の5つは、見積書の最低条件です。この5項目が揃っていない見積書は、透明性に問題があると判断して差し支えありません。
→ 見積書の危険パターンを網羅した「見積書『危険信号』15パターン」もあわせて確認してください。
適正価格より重要な「人工」の考え方
「30坪で80万円は適正ですか?」——この質問に答えはありません。
なぜなら、同じ80万円でも「職人が10日かける80万円」と「5日で終わらせる80万円」は、まったく別の工事だからです。金額が同じでも、かけた時間が違えば品質は天と地ほど変わります。
ここで重要になるのが「人工(にんく)」という考え方です。人工とは、職人1人が1日(約8時間)で行える作業量を表す単位です。
30坪住宅の人工目安
外壁塗装に必要な総人工数の目安は以下の通りです。
・高圧洗浄:1人工
・養生:1〜2人工
・下地処理(ケレン・シーリング・パテ補修):3〜5人工
・下塗り:1〜2人工
・中塗り:1〜2人工
・上塗り:1〜2人工
・付帯部塗装:2〜3人工
・足場組立・解体:2人工(足場業者)
合計:最低8人工、丁寧な施工なら13人工が目安。
見積書の工期と職人数から逆算してみてください。「職人2人×5日=10人工」なら標準範囲です。「職人2人×3日=6人工」なら、どこかの工程が省略されている可能性が高い。
品質を決める方程式
私は品質を以下の公式で定義しています。
Q = Motivation × Technique × Time(品質 = やる気 × 技術 × 時間)
3つの要素の掛け算です。どれか1つがゼロに近づけば、品質は崩壊します。価格を下げるために Time(人工)を削れば、いくら Motivation(やる気)と Technique(技術)が高くても、品質は維持できません。
見積書を見るときは、「この金額は何人工分か?」を常に考えてください。金額の安さではなく、時間の適正さが品質を決めるのです。
→ 人工の考え方を体系的に解説したピラー記事は制作中です。公開後にリンクを設置します。
人工数の計算方法や適正ラインについて詳しくは「人工(ニンク)完全ガイド」をご覧ください。
一括見積もりサイトの仕組みと注意点
「一括見積もりサイトで3社から見積もりを取りましょう」——よく見るアドバイスですが、その仕組みを理解していますか?
ビジネスモデルを知る
一括見積もりサイトは、あなたの情報を登録業者に送り、成約時に工事金額の10〜20%を紹介手数料として徴収するビジネスモデルです。100万円の工事なら10〜20万円が中間マージンとして発生します。
このコストは最終的に工事費か品質のどちらかに転嫁されます。業者が利益を確保するために、見えない工程(下地処理や乾燥時間)を圧縮するケースは少なくありません。
一括見積もりの正しい使い方
一括見積もりが「悪」ではありません。地域の業者を知らない場合の情報収集ツールとしては有効です。ただし、以下の点を意識してください。
・一括サイト経由の見積書と、自分で探した地元業者の見積書を並べて比較する
・紹介手数料が含まれていることを前提に、項目と人工数で中身を判断する
・「このサイトの加盟店は審査済みだから安心」という宣伝は、審査基準を確認してから信じる
ペンキのミカタは一括見積もりサイトではありません
当サイト「ペンキのミカタ」は、業者の紹介手数料を一切受け取っていません。特定の業者を紹介するのではなく、あなたが受け取った見積書を第三者の視点で診断するサービスです。業者に利益が発生しない立場だからこそ、「この見積書は人工が足りていない」「この金額は適正」と率直にお伝えできます。
→ 一括見積もりの詳しいメリット・デメリットは「一括見積りサイトは使うべき?」で解説しています。
契約前に必ず聞くべき質問10個
見積書を比較して業者を絞り込んだら、契約前に以下の質問を投げかけてください。回答の内容だけでなく、回答の仕方で業者の姿勢がわかります。
施工の質を確認する質問
① 「下塗り材の製品名は何ですか?」
→ 即答できる業者は、あなたの外壁に合った材料を事前に選定しています。
② 「ケレンは何日かけますか?」
→ 「高圧洗浄で兼ねます」と答える業者は要注意。ケレンと高圧洗浄はまったく別の作業です。
③ 「シーリングは打ち替えですか?打ち増しですか?」
→ 使い分けの理由を説明できるかがポイント。
④ 「各工程の乾燥時間は何時間取りますか?」
→ 「翌日に次の工程に入ります」なら合格。「半日で次に進みます」は乾燥不足のリスクあり。
⑤ 「職人は何人で、何日かけますか?」
→ この回答から人工数を計算できます。
管理体制を確認する質問
⑥ 「雨天の場合の対応は?」
→ 「工期を延長する」が正解。「雨でも作業する」は論外です。
⑦ 「保証の範囲と条件は?」
→ 免責事項を具体的に説明できるかが重要。「全部保証します」という曖昧な回答は信用できません。
⑧ 「中間検査はありますか?」
→ 下塗り完了時・中塗り完了時に施主が確認できる体制があるかどうか。
追加リスクを確認する質問
⑨ 「下地の状態が想定より悪かった場合、追加費用は発生しますか?」
→ 事前に上限を決めておけば、工事中のトラブルを防げます。
⑩ 「完工後の写真報告はありますか?」
→ 21工程の写真記録を行う業者は、施工品質に自信がある証拠です。
これらの質問に明確に答えられない業者は、工程管理が曖昧な可能性があると判断して差し支えありません。
→ 契約前チェックの詳細は「契約書チェックポイント7選」で解説しています。
見積もりの内容に不安がある場合は、第三者に診てもらう方法もあります。詳しくは「セカンドオピニオン完全ガイド」をご覧ください。
契約後の施工品質チェックについては「手抜き工事を防ぐ施工チェック完全ガイド」で詳しく解説しています。
見積書に「不安」を感じたらやるべきこと
ここまでのチェックリストを使っても、「本当にこれで大丈夫なのか」という不安が残ることがあります。それは正常な感覚です。
外壁塗装は10〜15年に1度、100万円前後の投資です。不安を感じて当然。大切なのは、不安なまま契約しないことです。
ステップ1:まず自分で検証する(無料)
無料の人工計算シートを使えば、手元の見積書が何人工に相当するかを自分で確認できます。工期と職人数を入力するだけで、その見積書の人工数が標準範囲かどうかを判定できます。
ステップ2:プロの第三者チェックを受ける(有料)
自分で計算しても判断が難しい場合は、利害関係のない第三者に見積書を診てもらう「セカンドオピニオン」という選択肢があります。
ペンキのミカタの見積もり診断では、見積書の写真を送るだけで、塗装歴50年の職人が人工理論に基づいた診断を行います。
・人工数は適正か
・塗料の選定は妥当か
・工程に省略はないか
・追加費用のリスクはないか
紹介手数料を一切受け取らない完全中立の立場だからこそ、「この見積書は高すぎる」「この見積書は安すぎて心配」と率直にお伝えできます。
→ 見積もり診断サービスの詳細はこちら(¥3,000・48時間以内に回答)
100万円の判断を急ぐ必要はありません。このチェックリストと人工シートを使って、あなた自身の目で見積書を読み解いてください。
→ セカンドオピニオンの詳細記事は制作中です。公開後にリンクを設置します。
よくある質問
Q. 見積もりは何社から取るべきですか?
3社が最適です。2社では比較軸が少なく優劣が見えにくい。4社以上は情報量が増えすぎて判断が難しくなります。3社なら「高い・中間・安い」の位置関係が見え、中間の見積書を基準に工事項目を比較できます。
Q. 見積もりの有効期限はどのくらいですか?
一般的に1〜3ヶ月です。塗料価格の値上げ(2024〜2025年は主要メーカーが10〜15%の値上げを実施)や、職人の人件費上昇を踏まえると、半年以上前の見積もりは再取得をおすすめします。
Q. 見積もりが安すぎる場合のリスクは?
安すぎる見積もりには3つの典型的な原因があります。①人工数の圧縮(工程省略)、②塗料のグレードダウン(安い製品へのすり替え)、③下地処理の省略です。特に③は完成後に確認できないため、最もリスクが高い原因です。
Q. 見積もりに「足場代無料」とあります。信じていいですか?
足場代(15〜25万円)は物理的に必ず発生するコストです。「無料」と書かれている場合、他の項目(塗料代や人件費)に上乗せされているか、足場の安全性が犠牲になっている可能性があります。足場の手抜きは職人の転落事故につながる重大なリスクです。
Q. 見積もりの金額交渉はしていいですか?
金額交渉より「工程の確認」が先です。値引きの原資は人工数(作業時間)の削減に直結しやすく、Q = Motivation × Technique × Time の「Time」が削られます。10万円の値引きで2人工が消えたら、下地処理が手薄になり、3年後に補修費用30万円がかかる——これでは値引きの意味がありません。
まとめ:見積書は「金額」ではなく「中身」で判断する
この記事のポイントを整理します。
1. まず3項目を確認:塗料の製品名・㎡面積・単価×数量の分離
2. 「一式」は㎡やmで数量化できる項目だけ注意する
3. 金額の前に工事項目の「あるなし」を比較する
4. 20項目チェックリストで見積書を網羅的に検査する
5. 金額ではなく「人工」で品質を判断する
6. 一括見積もりは仕組みを理解して利用する
7. 契約前に10の質問で業者の姿勢を確認する
8. 不安なら無料の人工シート → プロの診断の順で解消する
見積書チェックの最終結論は、たった一つです。
金額ではなく「人工」で判断する。
20項目のチェックリストで透明性を確認し、工期と職人数から人工を逆算し、Q = Motivation × Technique × Time に照らして判断する。この記事が、あなたの「100万円の判断」を支える地図になれば幸いです。
関連リンク
- 人工(にんく)理論 完全講義|原価から適正品質を見極める
見積書を受け取ったら → 見積書チェック完全ガイドで20項目を確認
その見積もり、AIが500円で診断します
20項目チェック × 相場比較 × 質問リスト
見積書の金額・工程・塗料を、業界データと照合して即時レポート。「業者にこう聞いてください」のセリフまで生成。
今すぐAI診断を受ける(500円)※ 営業目的の連絡は一切いたしません
プロが使う人工数比較シートを無料プレゼント
見積書の「人工数」を比較して、手抜き業者を見抜く
※ 個人情報は厳重に管理し、第三者に提供することはありません