2026年度も、外壁塗装「単体」で使える国の補助金は存在しません。これが結論です。
ただし、国の最大制度「みらいエコ住宅2026事業」ではリフォーム補助の上限が100万円に増額されました。外壁塗装のみでは対象外ですが、窓の断熱改修や給湯器交換との組み合わせ工事で、実質的に補助金を受けることは可能です。
一方、自治体独自の助成金は外壁塗装単体でも使える制度がありますが、全国的に縮小傾向が続いています。本記事では、2026年度の最新情報をもとに、外壁塗装で実際に使える補助金・助成金の全体像と、補助金がなくても費用を適正化する方法を解説します。
(本記事の制度情報は2026年3月時点のものです。2026年度の自治体制度は4月以降に順次発表されるため、最新情報は各自治体の公式サイトで確認してください。)
結論:2026年度も外壁塗装「単体」で使える国の補助金はない
「外壁塗装 補助金」で検索すると、多くのポータルサイトが「補助金が使えます!」と書いています。しかし正確に言えば、国の補助金制度で外壁塗装の「塗り替え」だけを対象にしたものは、2026年度も存在しません。
国の制度で「外壁」が補助対象になるのは、断熱材(グラスウール、セルローズファイバー等)を外壁に新設する「断熱改修」のみです。遮熱塗料・断熱塗料の塗布は「断熱材の設置」とは見なされず、対象外です。
では、外壁塗装で実際に使えるお金の支援は何があるのか。大きく3つのルートがあります。
ルート①:みらいエコ住宅2026事業で窓・給湯器との同時施工(最大100万円)。外壁塗装の足場を活用して窓の断熱改修を同時に行い、その組み合わせ工事に対して補助金を受ける方法です。
ルート②:自治体の独自助成金(上限10〜20万円が相場)。自治体によっては外壁塗装単体で使える制度がありますが、予算が少なく早い者勝ちです。
ルート③:補助金に頼らず、見積もりの適正化で費用を下げる。これは後半で詳しく解説します。
みらいエコ住宅2026事業(国の制度)で外壁塗装を補助対象にする方法
2026年度の住宅リフォーム補助金の中核は、国土交通省・経済産業省・環境省の3省連携による「住宅省エネ2026キャンペーン」です。その中で最も大きな制度が「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)」です。
制度の基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予算額 | リフォーム枠:300億円(2025年度の400億円から25%減) |
| 補助上限 | 最大100万円/戸(2025年度の60万円から大幅増額) |
| 対象工事着手日 | 2025年11月28日以降 |
| 交付申請開始 | 2026年3月下旬〜4月上旬予定 |
| 申請期限 | 予算上限到達まで(最長2026年12月31日) |
| 対象世帯 | 全世帯(「子育て」の名称が消え、年齢・世帯制限なし) |
必須工事の組み合わせ要件(2026年度の重要変更)
2026年度から、すべての申請において窓の断熱改修(開口部改修)が必須になりました。2025年度までは他の工事で代替できましたが、もうできません。
必須工事は以下の3区分です。
①開口部の断熱改修(内窓設置、外窓交換、ガラス交換、ドア交換)←全申請で必須
②躯体の断熱改修(外壁・屋根・天井・床の断熱材設置)
③エコ住宅設備の設置(高効率給湯器、エアコン、換気設備など)←2026年度からエアコン・換気が新規追加
「躯体の断熱改修」とは断熱材を設置する工事であり、塗料の塗布ではありません。遮熱塗料・断熱塗料を塗っても、この要件は満たせません。
補助額の上限表(改修レベル別)
2026年度から、改修前後の省エネ性能のギャップが大きいほど補助額が高くなる新方式が導入されました。
| 改修前の性能 | 改修後の目標 | 補助上限 |
|---|---|---|
| 平成4年基準未満(H3年以前築相当) | 平成28年基準(ZEH水準) | 100万円/戸 |
| 平成4年基準未満 | 平成11年基準相当 | 50万円/戸 |
| 平成11年基準未満(H10年以前築相当) | 平成28年基準 | 60万円/戸 |
| 平成11年基準未満 | 平成11年基準相当 | 40万円/戸 |
※1申請あたり合計補助額5万円以上が最低条件。小規模な工事では足切りされるリスクがあります。
2025年度との比較
| 項目 | 2025年度 | 2026年度 | 変動 |
|---|---|---|---|
| 事業名 | 子育てグリーン住宅支援事業 | みらいエコ住宅2026事業 | 名称変更・全世帯対象化 |
| リフォーム補助上限 | 最大60万円/戸 | 最大100万円/戸 | 大幅増額 |
| リフォーム予算 | 400億円 | 300億円 | 25%減 |
| 窓リノベ補助上限 | 200万円/戸 | 100万円/戸 | 半減 |
| 窓工事 | 他の項目で代替可能 | すべての申請で必須 | 厳格化 |
| 評価基準 | 必須工事の実施有無 | 断熱性能の引上げ幅 | 根本変更 |
2025年度は子育てグリーン住宅支援事業が2026年1月1日に予算上限到達で受付終了。2026年度はリフォーム予算が25%減の300億円。春先の申請開始と同時に枠を確保する「予約申請」の活用が必須です。
関連制度との併用
先進的窓リノベ2026事業(環境省)は窓の断熱改修に特化した制度で、1戸あたり最大100万円(前年度の200万円から半減)。外壁塗装の足場を利用した窓交換と極めて相性が良く、みらいエコ住宅2026事業との併用で「開口部断熱改修」の要件を満たせます。
給湯省エネ2026事業(経済産業省)はエコキュート基本7万円/台、ハイブリッド給湯機10万円/台、エネファーム17万円/台の定額補助。これも併用可能です。
外壁塗装を計画している方への現実的な戦略は明確です。塗装のために組む足場を活用して、窓の断熱改修と給湯器交換を同時に行う。別々にやれば足場代が2回かかるところを1回で済ませ、さらに補助金を受け取る。これが最も合理的なルートです。
自治体の助成金【2026年度の全国動向】
国の制度とは異なり、自治体独自の助成金は外壁塗装「単体」でも使えるケースがあります。ただし予算規模が小さく、全国的に縮小傾向が続いています。
全国の相場感
外壁塗装に使える自治体助成金の一般的な水準は、補助率5〜10%、上限10〜20万円です。100万円の塗装工事なら5〜10万円程度の助成。「補助金で大幅に安くなる」というほどの金額ではありませんが、もらえるものはもらっておくべきです。
代表的な自治体の事例(2025〜2026年度)
| 自治体 | 制度名 | 補助内容 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 東京都大田区 | 住宅リフォーム助成事業 | 工事費の10%、上限20万円 | 外壁塗装OK、区内業者限定 |
| 東京都目黒区 | 住宅リフォーム資金助成 | 工事費の10%、上限10万円 | 塗料指定なし、税抜20万円超の工事 |
| 東京都杉並区 | 高日射反射率塗装工事 | 1㎡×1,000円、上限15万円 | 遮熱塗料が条件 |
| 東京都品川区 | 住宅改善工事助成 | 工事費の10%、上限20万円 | 高反射率塗装(遮熱)が条件 |
| 埼玉県戸田市 | 住宅改修工費助成 | 工事費の5%、上限10万円 | 遮熱塗料の縛りなし、使いやすい |
縮小トレンドの具体例
東京都世田谷区は、2025年度にエコ住宅補助金(外壁塗装3万円+屋根遮熱10万円)を実施していましたが、9月17日に予算上限到達で早期終了。さらに2026年度から外壁塗装を助成対象から除外する予定です。このように、大都市圏でも外壁塗装への助成は縮小方向にあります。
全国的に増えているのは「定住促進」「三世代同居」「空き家活用」を目的とした制度です。これらは外壁塗装も対象になり得ますが、移住・同居・空き家購入などの条件がつくため、単純な塗り替えリフォームには使えないケースが大半です。
自分の自治体に制度があるか確認する方法
最も確実なのは、お住まいの市区町村の公式サイトで「住宅リフォーム 補助金」「外壁塗装 助成金」を検索することです。住宅リフォーム推進協議会の検索サイトも参考になりますが、最新年度の情報が反映されていない場合があるので、必ず自治体の公式情報で確認してください。
お住まいの地域の助成金を詳しく調べたい方は「外壁塗装で使える自治体の補助金を徹底調査」も参考にしてください。
補助金申請の流れと必要書類
申請フロー(6ステップ)
ステップ1:制度の有無を確認。お住まいの自治体の公式サイトで、外壁塗装に使える助成金があるか調べます。
ステップ2:業者に見積もり依頼。助成金の条件を満たす塗料・施工内容での見積もりを依頼します。国の制度を使う場合は、「住宅省エネ2026キャンペーン」の登録事業者であることを必ず確認してください。未登録業者の施工では1円も補助金は出ません。
ステップ3:着工前に申請(最重要)。原則として工事着工前に申請が必須です。交付決定通知が届く前に足場を組むなどの工事を開始すると、申請は無効になります。
ステップ4:交付決定通知の受領後に着工。審査に通常1〜2週間かかります。
ステップ5:工事完了後に実績報告。完了後30日以内に、施工後写真・領収書などを提出します。
ステップ6:助成金の振込。完了確認後2〜3週間で口座に振り込まれます。
国の制度(住宅省エネキャンペーン)は登録事業者がオンラインで申請を代行します。自治体の助成金は施主本人が申請する形式が多いです。
必要書類一覧
| 書類 | タイミング | 内容 |
|---|---|---|
| 交付申請書 | 着工前 | 自治体指定の様式に世帯情報・工事概要を記載 |
| 工事見積明細書 | 着工前 | 塗装面積、使用塗料の性能・商品名、単価を明記 |
| 工事請負契約書 | 着工前 | 契約金額、工期、施工業者名の確認 |
| 施工前写真 | 着工前 | 建物全景+塗装する全箇所の現況(日付入り) |
| 住民票・納税証明書 | 着工前 | 市内居住の確認、税の滞納がないこと |
| 施工中・完了写真 | 工事後 | 下塗り・中塗り・上塗り各段階の記録 |
| 領収書・完了報告書 | 工事後 | 工事代金の支払い証明 |
| 塗料の性能証明書 | 工事後 | JIS規格やカタログ値(日射反射率等)の写し |
最重要ポイント:着工前申請が絶対条件です。「先に工事を始めてしまった」が最も多い失敗パターン。工事後の申請は100%却下されます。
よくある失敗と補助金詐欺への注意
よくある失敗パターン
失敗①:着工後の申請。最も多い不備です。追加工事で申請内容が変わった際、再申請を待たずに着工すると全額不採択になるリスクがあります。
失敗②:予算の早期枯渇。2025年度は子育てグリーン住宅支援事業が1月1日に予算上限到達で受付終了。人気の自治体でも募集開始から数週間で締め切りになることがあります。春先の早期申請が鉄則です。
失敗③:業者が未登録。国の制度は登録事業者のみが申請可能。業者の事務能力が低いと、書類不備で受理されず、その間に予算が終了する事態も起こり得ます。
失敗④:補助額の足切り。合計補助額が5万円に満たない場合、申請自体が却下されます。窓や設備を組み合わせて確実にラインを超えましょう。
補助金詐欺の典型的な手口5パターン
国民生活センター(PIO-NET)のデータによると、点検商法の相談件数は2024年度に19,215件に達しています。外壁塗装に関連する詐欺は増加傾向にあります。
手口①:「助成金で140万円が75万円に!」「実質0円!」──ありえない高額助成金を謳う誇大広告。実際の自治体助成金の上限は10〜20万円程度です。
手口②:「近所で工事中、お宅の外壁が傷んでいる」──突然の訪問で不安を煽る点検商法。
手口③:「火災保険で修理費が出る」──火災保険は自然災害による被害がある場合のみ適用されるもので、経年劣化の塗り替えには使えません。
手口④:助成金申請代行を口実にした個人情報収集。
手口⑤:制度がない自治体の住民に「助成金がある」と嘘をつく架空制度の案内。
身を守るポイント
・訪問販売業者には応対しない
・その場での即決は絶対に避け、複数社の相見積もりを取る
・助成金の有無は自治体の公式サイトで自分で確認する
・訪問販売は契約書面受領から8日以内にクーリングオフ可能
・相談窓口:消費者ホットライン188(いやや!)、住まいるダイヤル0570-016-100
訪問販売への具体的な断り方は「外壁塗装の訪問販売が来たら|断り方スクリプト+クーリングオフ手順」で詳しく解説しています。
補助金がなくても外壁塗装の費用を適正化する方法
ここからが、ペンキのミカタが最も伝えたいことです。
自治体の助成金は上限10〜20万円。もらえるに越したことはありませんが、100万円の工事に対して10万円です。一方、見積もりの適正化で20万円以上の差が出ることは珍しくありません。
補助金10万円を追いかけるより、見積もりの中身を精査して20万円の無駄を削る方が、はるかに効果が大きいのです。
人工(にんく)で見積もりの妥当性を判断する
「人工」とは、職人1人が1日で行う作業量のこと。30坪住宅の外壁塗装には15〜20人工が標準的な目安です。見積書に人工数が明記されていない場合、適正な工期で施工されるかどうかを判断できません。
人工の読み方・意味・見積書での見方は「人工(にんく)とは?外壁塗装の見積書で品質を見抜く方法」で詳しく解説しています。
セカンドオピニオンで第三者チェックを受ける
手元の見積書が適正かどうか、利害関係のない第三者に見てもらう。これが最も確実な方法です。相見積もりだけでは「どちらが安いか」しかわかりませんが、セカンドオピニオンなら「その金額が妥当かどうか」がわかります。
セカンドオピニオンの仕組みと受け方は「外壁塗装のセカンドオピニオンとは?」をご覧ください。
相見積もりの正しい取り方
「安い方を選ぶ」のが相見積もりの目的ではありません。同じ条件で複数社に見積もりを取り、金額の根拠を比較することで、適正な価格帯が見えてきます。
相見積もりで比較すべきポイントは「相見積もり、2社で迷ったらここを比較」で解説しています。
補助金は「もらえたらラッキー」程度に考え、見積もりの質を上げることに注力する。これが施工歴50年の職人としての本音のアドバイスです。
見積もりの適正価格を判断する方法は「外壁塗装の見積もりが高い?適正価格の見抜き方」も参考にしてください。
この記事の著者
横井隆之
ヨコイ塗装 代表 / 外壁塗装コンサルタント
愛知県扶桑町でヨコイ塗装を経営。塗装業界50年以上の経験と500件を超える施工実績を持つ外壁塗装の専門家。施主の立場に立った公正なアドバイスを提供し、YouTube、ココナラ、MOSHなど複数のプラットフォームでセカンドオピニオンサービスを展開中。
プロフィールを見る →補助金が使えるか、見積書から判定
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