外壁塗装の見積もりを取り、業者も決まり、いよいよ契約。ほっとしたのも束の間、こんな不安が頭をよぎっていませんか?
「本当にちゃんと塗ってくれるのかな」
「手抜き工事をされたらどうしよう」
「何をチェックすればいいのかわからない」
実は、この不安には理由があります。
外壁塗装は100万円前後の高額工事でありながら、多くの施主が「ぶっつけ本番」で臨んでいます。工程を知らないまま工事が始まり、完成すれば中身が見えない。3度塗りが2度塗りになっていても、乾燥時間が半分でも、引き渡し時には「綺麗な外壁」にしか見えないのです。
だからこそ、工事が始まる「前」に21工程を知っておくことが重要です。
私は愛知県で50年続く塗装店の2代目として、数えきれないほどの現場を見てきました。残念ながら、業界には手抜き工事が存在します。しかし、それ以上に残念なのは、施主が「何を見ればいいかわからない」まま工事が進んでしまうことです。
この記事では、外壁塗装の「予行演習」として、工事前に知っておくべき21工程と、施主ができる品質確保の方法をお伝えします。
なぜ外壁塗装に「予行演習」が必要なのか
施主が最も恐れる「施工不良」の正体
外壁塗装で施主が最も恐れているのは、杜撰な工事による施工不良です。
具体的には:
- 数年で塗膜が剥がれる
- 色ムラ・塗り残しがある
- 3度塗りのはずが2度塗りしかされていない
- 見えない部分(屋根、軒天など)が手抜きされている
しかし、これらの問題には共通点があります。完成時には見えないということです。
塗装工事は「仕上がれば分からない」という構造を持っています。下塗りが省略されても、乾燥時間が守られていなくても、引き渡し時点では美しい外壁に見えます。問題が表面化するのは3年後、5年後。そのとき業者に連絡しても「経年劣化です」と言われてしまう可能性があります。
塗装の品質を決める「塗装方程式」
私が長年の経験から導き出した公式があります。
品質 = モチベーション × 技術 × 時間
どれだけ良い塗料を使っても、職人のやる気がなければ品質は下がります。腕のいい職人でも、時間が足りなければ丁寧な仕事はできません。この3つの要素が掛け算で効いてくるのが、塗装工事の本質です。
特に見落とされがちなのが「時間」の要素です。
いくら腕の良い職人でも、会社から「3日で終わらせろ」と言われれば、手を抜かざるを得ません。問題は、その職人を雇っている会社の経営体質にあるのです。
「見られている」と感じれば手抜きできない
一方、「モチベーション」は施主であるあなたが影響を与えられる要素です。
職人は「見られている」と感じると、手を抜けなくなります。あなたが工程を理解し、適切なタイミングで現場を確認し、写真・動画記録を残すことで、職人の緊張感と責任感は自然と高まります。
これが「予行演習」の本質です。工事前に21工程を学んでおくことで、「見る目を持った施主」になる。それだけで、手抜き工事の抑止力になるのです。
予行演習で学ぶ「21工程」の全体像
外壁塗装の基本原則:上から下へ、奥から手前へ
塗装作業には順序があります。「上から下へ、奥から手前へ」が基本です。
- 上から下へ:塗料が垂れても、下の未塗装部分で処理できる
- 奥から手前へ:奥の作業で手前を汚さない
この原則に従い、軒天(屋根裏)→ 破風・鼻隠し → 横樋 → 外壁 → 竪樋 → その他付帯部という順序で進みます。
標準的な工程と日数の目安
一般的な戸建て住宅(延床30坪程度)の外壁塗装は、以下のような流れで進みます。
| 日程 | 工程 | 内容 |
|---|---|---|
| 1日目 | 足場組立 | 足場・メッシュシート設置 |
| 2日目 | ケレン・高圧洗浄 | サビ落とし後、外壁洗浄 |
| 3日目 | 乾燥・養生 | 洗浄後の乾燥、養生作業 |
| 4日目 | 下地補修・コーキング | クラック補修、シーリング |
| 5日目 | 軒天・破風・鼻隠し | 上部・奥の付帯部塗装 |
| 6日目 | 横樋・外壁下塗り | 軒樋塗装、外壁シーラー |
| 7日目 | 外壁中塗り | 仕上げ塗料1回目 |
| 8日目 | 外壁上塗り | 仕上げ塗料2回目 |
| 9日目 | 竪樋・その他付帯部 | 雨戸・水切りなど |
| 10日目 | 検査・足場解体 | 最終確認、足場撤去 |
モルタル外壁の場合は約10〜12日、サイディング外壁でシーリング工事が入る場合は約12〜14日が目安です。
要注意:極端に短い工期
「5日で終わります」「1週間以内で完了」という業者には注意が必要です。
適正な工期には理由があります。下塗りから中塗りまでの乾燥時間、中塗りから上塗りまでの乾燥時間、それぞれ最低でも数時間〜1日は必要です。これを省略すると、塗膜が密着せず数年で剥がれてきます。
逆に、20日前後かけて丁寧に施工する業者は、品質を重視している証拠です。
→ 関連記事:人工(にんく)で見極める業者の品質
予行演習①:工事前に知っておくべきこと
工事が始まる前の準備段階は、実は非常に重要です。この段階で確認を怠ると、工事中に「聞いてない」「思っていたのと違う」というトラブルが発生します。
工程表を受け取り、理解する
契約後、業者から「工程表」を受け取りましょう。受け取っていない場合は、必ず請求してください。工程表がない業者は、そもそも計画的な施工ができていない可能性があります。
工程表で確認すべきポイント:
- 工期は現実的な日数か?(30坪で10日未満は短すぎる)
- 各工程に十分な時間が確保されているか?
- 乾燥日が設けられているか?
→ 関連記事:見積書の読み方|工程表で品質を見極める
近隣挨拶の確認
工事開始の約1週間前に、業者が近隣への挨拶回りを行います。以下の内容が伝えられているか確認しましょう。
近隣に伝えるべき内容:
- 工事期間(開始日〜終了予定日)
- 作業時間(通常は8:00〜17:00頃)
- 足場組立・解体の日程(騒音が大きい)
- 高圧洗浄の日程(水飛散の可能性)
- 担当者の連絡先
施主であるあなたも、両隣と向かいのお宅には直接挨拶しておくことをお勧めします。「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」の一言があるだけで、工事中のトラブルを防げます。
塗装色の最終確認
「色見本で選んだ色と、実際に塗った色が違う」というトラブルは非常に多いです。
これは「面積効果」と呼ばれる現象が原因です。小さな色見本帳(5cm角程度)で選んだ色は、実際の外壁に塗ると明るく鮮やかに見えます。
対策:A4サイズの塗装サンプルを作成してもらう
契約前〜着工前に、希望の色でA4サイズ程度の塗装サンプルを作成してもらいましょう。費用がかかる場合もありますが、10年以上付き合う外壁の色です。後悔しないための投資と考えてください。
確認すべきタイミング:
- 晴れの日:日光下での見え方
- 曇りの日:陰影がない状態での色味
- 朝・昼・夕:時間帯による変化
→ 関連記事:塗料グレードの選び方
写真記録の依頼を「契約時」に
工事中の写真記録は、品質確保の最重要ポイントです。契約時点で「写真報告をお願いします」と伝えておくことで、業者の緊張感が高まります。
依頼すべき写真:
- 各工程の開始前・完了後
- 下地処理(クラック補修、ケレン)
- 塗料の缶(製品名・色番号が見える状態)
- 見えにくい部分(屋根、軒天、破風)
→ 関連記事:写真報告を契約書に盛り込む方法
予行演習②:工事中に確認すべきポイント
工事が始まったら、各工程で何を見るべきかを押さえておきましょう。全部を覚える必要はありません。その日の工程に合わせて、ポイントだけ押さえればOKです。
足場設置(1日目)
足場は単なる作業台ではありません。足場の質が施工品質を左右します。
確認ポイント:
- メッシュシートは隙間なく張られているか(塗料飛散防止)
- 足場は安定しているか(グラつきがないか)
- 敷地外にはみ出していないか
豆知識:自社で足場を保有している業者は、レンタル費用を気にせず工期に余裕を持たせられるため、丁寧な作業がしやすい傾向があります。
高圧洗浄(2日目)
高圧洗浄は「ただ水をかける」だけではありません。旧塗膜、カビ、藻、汚れを徹底的に除去する重要な工程です。
確認ポイント:
- 洗浄時間は十分か(30坪で3〜4時間程度)
- 北側の外壁(カビ・藻が多い)は念入りに洗われているか
- 洗浄後、外壁の色が明るくなっているか
注意:洗浄が不十分だと、塗膜の密着不良の原因になります。
→ 関連記事:高圧洗浄の確認ポイント
下地処理(3〜4日目)
「下地処理が8割」と言われるほど、この工程は重要です。見えなくなる部分だからこそ、手抜きが起こりやすい。
確認ポイント:
- クラック(ひび割れ)は補修されているか
- ケレン(サビ落とし・旧塗膜剥がし)は丁寧に行われているか
- コーキング(シーリング)は打ち替えか、打ち増しか
重要:コーキングの「打ち替え」と「打ち増し」は全く異なります。打ち替えは古いコーキングを完全に除去して新しく充填する方法、打ち増しは上から塗り足す方法です。サイディング外壁の場合、打ち替えが基本です。
→ 関連記事:下地処理が8割|見えない部分の品質確保
下塗り・中塗り・上塗り(5〜8日目)
外壁塗装の「3度塗り」は、下塗り・中塗り・上塗りの3工程を指します。
下塗り(シーラー・プライマー)
- 外壁と塗料の接着剤の役割
- 吸い込みが激しい場合は2回塗ることも
中塗り(仕上げ塗料1回目)
- 仕上げ塗料で塗膜の厚みを出す
- 下塗りとは違う色になる
上塗り(仕上げ塗料2回目)
- 最終的な色・艶を決める
- 中塗りと同じ塗料を使用
確認ポイント:
- 各工程の間に十分な乾燥時間があるか
- 塗り残し・色ムラがないか
- 塗料の缶は見積書と同じ製品か
→ 関連記事:乾燥時間の確認方法
乾燥時間の重要性
塗装の品質を左右する最も重要な要素の一つが乾燥時間です。
塗料メーカーの指定する「塗り重ね可能時間」を守らないと:
- 塗膜が密着しない
- 表面だけ乾いて内部が未硬化
- 数年で剥離が発生
目安:下塗り→中塗り、中塗り→上塗りの間に、それぞれ最低4時間〜1日は必要です(気温・湿度により変動)。
予行演習③:完了検査で見逃さないチェックリスト
足場が解体される前の「施主検査」は、問題を指摘できる最後のチャンスです。足場があるうちに確認しましょう。
足場解体前のチェックリスト
| 確認箇所 | チェック内容 |
|---|---|
| 外壁全体 | 塗りムラ・色ムラ・液垂れがないか |
| 入隅・出隅 | 塗り残し・塗料の厚みが均一か |
| サッシまわり | 塗り残し・はみ出しがないか |
| 雨樋・破風・軒天 | 付帯部との境目が綺麗か |
| 養生跡 | テープ跡・糊残りがないか |
| 窓ガラス・サッシ | 塗料の付着・汚れがないか |
| 近隣・車 | 塗料の飛散がないか |
詳細チェック項目
- 塗り残し・塗りムラがないか
- ダレ(垂れ跡)がないか
- 異物の付着がないか
- 色はイメージ通りか
- 付帯部の仕上がりは良いか
- シーリングは適切に施工されているか
- 養生の撤去漏れがないか
- 窓・サッシへの塗料付着がないか
- 外構への塗料飛散がないか
- 足場撤去で傷がつきそうな箇所を確認したか
足場解体後の最終確認
- 壁つなぎ跡(アンカー穴)は補修されているか ※使用した場合
- 足場の跡(傷・塗膜剥がれ)が残っていないか
- 窓枠・サッシに新しい傷がないか
- 敷地内に金属片(ビス・クランプ等)が落ちていないか
- メッシュシートの紐が残っていないか
- 照明・面格子・雨樋等が元通りに復旧されているか
引き渡し時に受け取る書類
- 完了報告書(施工写真含む)
- 保証書
- 塗料の品名・色番号の記録
- タッチアップ用の塗料(可能であれば)
重要:塗料の品名・色番号の記録は、将来の部分補修や次回の塗り替え時に必要になります。必ず受け取っておきましょう。
予行演習を「ツール化」する見守り塗装(ペイント)
ここまで読んで、「21工程を全部覚えるのは大変」「仕事があるから毎日現場に行けない」と感じた方も多いのではないでしょうか。
そこで活用していただきたいのが、見守り塗装(ペイント)です。
「見られている」状態をテクノロジーで作る
先ほどの「塗装方程式」を思い出してください。
品質 = モチベーション × 技術 × 時間
このうち「モチベーション」は、施主が「見ている」ことで高められます。しかし、毎日現場に張り付くのは現実的ではありません。
見守り塗装(ペイント)は、あなたが現場に行けなくても「見られている」状態を作るツールです。
アプリでできること
- 各工程の完了がLINEで通知される:今日どの工程が終わったかがリアルタイムでわかる
- 写真記録が自動的に整理される:後から「この日は何をしたか」を確認できる
- 21工程のチェックポイントが表示される:その日に何を見ればいいかがわかる
- 質問テンプレートが用意されている:職人に何を聞けばいいかがわかる
つまり、この記事で解説した「予行演習」の内容が、アプリの中に組み込まれているのです。
→ 関連記事:見守り塗装(ペイント)とは?
→ 関連記事:見守り塗装(ペイント)で手抜きを防止する方法
まとめ:準備した施主だけが成功する
外壁塗装は、100万円前後の高額工事です。にもかかわらず、多くの施主が「ぶっつけ本番」で臨んでいます。
「業者を信じて任せる」のと「何も知らないまま任せる」は、全く違います。
工程を理解し、見るべきポイントを知り、適切なタイミングで確認する。それだけで、手抜き工事の抑止力になり、万が一の問題にも早期に気づけます。
この記事でお伝えした「予行演習」のポイントをまとめます:
工事前の予行演習
- 工程表を受け取り、現実的な工期か確認する
- 近隣挨拶の内容を確認する
- A4サイズの塗装サンプルで色を確認する
- 写真報告を契約時に依頼する
工事中の予行演習
- 高圧洗浄は時間と仕上がりを確認する
- 下地処理(クラック補修・ケレン・コーキング)を見届ける
- 3度塗りの各工程で乾燥時間が守られているか確認する
完了検査の予行演習
- 足場解体前に施主検査を行う
- チェックリストに沿って確認する
- 完了報告書・保証書・塗料記録を受け取る
予行演習の成果を最大化するために
この記事の内容を実践すれば、あなたは「見る目を持った施主」になれます。しかし、すべてを一人で管理するのは大変です。
見守り塗装(ペイント)を活用すれば、21工程のチェックポイントがアプリ内で通知され、写真記録も自動で整理されます。あなたが現場に行けなくても、「見られている」状態を作ることができます。
外壁塗装の成功は、準備した施主だけが手にできるものです。
この記事が、あなたの「予行演習」の第一歩になれば幸いです。
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