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なぜ外壁塗装の現場監督は毎日来ないのか?常駐義務がない法的理由を塗装屋が図解

著者: 横井隆之

「3、4日に1回しか来ない。詐欺?」という施主の不安

「外壁塗装を頼んだのに、現場監督が3、4日に1回しか来ない。これって詐欺じゃないの?」——実際に、そうした相談は少なくありません。

先に言っておくと、「3、4日に1回の巡回そのものが詐欺かどうか」という見分け方は、別の記事で詳しく扱います。この記事では、その手前にある「そもそも監督は毎日いなければいけないのか?」という法律の話を、塗装屋の立場で整理します。

結論:違法ではありません。法律は戸建て塗装に「常駐」を求めていない

監督(技術者)が現場に毎日いなくても、それだけで違法にはなりません。建設業法は、戸建て塗装のような工事に、技術者が現場にずっといること(常駐)を求めていないからです。国土交通省の資料には、はっきりこう書かれています。

※技術者の「配置」とは、工事現場への常駐(現場施工の稼働中、常時継続的に当該工事現場に滞在してる)を意味するものではありません。

(出所:国土交通省 関東地方整備局「建設業法のポイント」建設業法第26条)

つまり、法律が業者に求めているのは技術者を「配置」することであって、「常駐=毎日ずっと現場にいる」ことではないのです。ここが、多くの施主が誤解しているポイントです。

請負金額で変わる「監督の義務」を図で見る

監督(技術者)の義務は、工事の請負金額によって段階的に変わります。下の図は、その3つの金額帯と、戸建て外壁塗装(目安60〜200万円)がどこに位置するかを表したものです。

許可不要500万円未満配置義務あり・常駐義務なし500万〜4,500万円専任4,500万円〜0円500万円4500万円請負金額 →戸建て外壁塗装 60〜200万円実質常駐に近いのはここ法律が最も手厚い管理(専任)を求めるのは右端だけ — それでも「常駐」ではない戸建て塗装の価格帯は、専任が必要になる4,500万円のはるか手前にある
出所: 国土交通省 関東地方整備局「建設業法のポイント」(建設業法第26条・第26条第3項)。金額は法定基準値。

3つの金額帯——あなたの工事はどこにあるか

(a) 500万円未満:そもそも許可も配置義務もない帯

建築一式工事以外で、請負金額が500万円未満(税込)の工事は「軽微な建設工事」と呼ばれ、建設業の許可がなくても請け負えます(建築一式工事の場合は1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅)。

ここが最も誤解されるところです。許可を持たない業者が軽微な工事だけを請け負う場合、そもそも主任技術者を配置する義務がありません。一方で、許可業者はまったく話が別になります(次項)。

(b) 500万〜4,500万円:許可業者は「配置」義務あり・でも「常駐」義務なし

500万円以上の工事には建設業の許可が必要で、許可業者は主任技術者を配置しなければなりません。さらに国交省の資料は、こう明記しています。

!建設業者(許可業者)であれば、500万円未満の軽微な工事であっても、主任技術者の配置が必要になります。

つまり許可業者は、金額の大小にかかわらず主任技術者を「配置」する義務があります。ただし——ここでも「配置=常駐」ではありません(前章の国交省の注記のとおり)。戸建て塗装の多く(目安60〜200万円)は、この帯か、その手前に収まります。

(c) 4,500万円以上:ここで初めて「専任」(実質、その現場に張り付く)

金額がさらに上がると、義務が一段階厳しくなります。

4,500万円(建築一式工事の場合は9,000万円)以上のものについては、工事の安全かつ適正な施工を確保するため、工事現場に配置する主任技術者又は監理技術者は、専任の者でなければなりません。

「専任」とは、他の現場を兼務せず、その現場の職務に専念すること。実質的に一つの現場に張り付くイメージです。ただし国交省の運用マニュアルは、専任も「必ずしも工事現場への常駐を必要とするものではない」と明記しています。そして、常駐そのものを義務づけているのは公共工事の契約約款であって、民間の戸建て塗装ではありません。

混同してはいけないのは、次の2つです。「許可業者は金額を問わず"配置"義務がある(ただし常駐ではない)」こと。そして「無許可の業者が軽微な工事だけを請け負う場合は、"配置"義務そのものがない」こと。どちらにしても、「監督が毎日いない=違法」ではありません。

求めるべきは「常駐」ではなく「証跡」

では、施主は何を求めればよいのでしょうか。「毎日来てください」と常駐を要求しても、法的な根拠は弱く、現実的でもありません。代わりに有効なのは、契約の時点で「どのくらいの頻度で、誰が来て、何を報告するか」を書面にしておくことです。

具体的には、次の3つを押さえておくと安心です。

・巡回の頻度(週に何回など)と担当者を、契約書や工程表に明記してもらう。

・各工程(着工前・下地・下塗り・中塗り・上塗り)の写真や報告を残してもらう。

・実際に使った材料の証跡(空き缶・数量)を確認する。

とくに材料の証跡の確認方法は、「塗料の空き缶を見せてもらうべき理由」

で詳しく解説しています。監督が毎日いるかどうかより、「契約通りに施工された証拠が残っているか」のほうが、施主にとってはるかに実益があります。

法的に不要でも、毎日来る業者はいる——制度の穴=全業者の怠慢ではない

ここまで「毎日来なくても違法ではない」と説明してきましたが、それは「来ない業者が正しい」という意味ではありません。法的に不要でも、毎日顔を出して挨拶・説明・報告を欠かさない業者は実在します。

監督が毎日いないのは"制度の穴"であって、"全業者の怠慢"ではありません。頻度そのものよりも、来たときに何を確認し、何を記録として残しているか——そこに業者の姿勢がはっきり出ます。「毎日いないこと」を責めるより、「証跡を残しているか」を見てください。

この記事の著者

横井隆之

横井隆之

ヨコイ塗装 代表 / 外壁塗装コンサルタント

業界経験 25著書 3

愛知県丹羽郡扶桑町でヨコイ塗装を経営。施工歴25年・250件超の施工実績を持つ外壁塗装の専門家。著書3冊(外壁塗装の品質公式・外壁塗装の不都合な真実・外壁塗装 工程別チェックポイント21)。独自理論「塗装方程式」の提唱者。施主の立場に立った公正なアドバイスを提供し、YouTube、ココナラ、MOSHなど複数のプラットフォームでセカンドオピニオンサービスを展開中。

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