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その業者、5年後も存在する?|外壁塗装業者の倒産リスクを見抜く経営健全性チェック

外壁塗装業者の倒産リスクを契約前に見抜く方法を徹底解説。建設業許可の確認、商業登記簿の読み解き方、見積書の警戒サイン、JIOリフォームかし保険まで、4段階の経営健全性チェックで「5年後の生存確率」を見極めます。

「10年保証付きです!」

この言葉を聞いて安心していませんか?

しかし、ここで立ち止まって考えてほしいことがあります。その保証書を発行した業者は、5年後も10年後も存在しているでしょうか?

外壁塗装は、施工完了直後には成否が判別しにくく、数年経過して初めて塗膜剥離や変色といった問題が顕在化する「信用財」です。つまり、保証が必要になるのは数年後。そのとき業者が倒産していれば、保証書はただの紙切れになります。

2024年度の建設業倒産件数は前年度比9.34%増。原材料高騰、人手不足、インボイス制度、2024年問題…中小塗装業者を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。

この記事では、50年の塗装経験をもとに、契約前に業者の「5年後の生存確率」を見極める方法を解説します。建設業許可の確認から、商業登記簿の読み解き方、そして業者が倒産しても保証が残る唯一の方法まで、あなたの資産を守るための知識をお伝えします。

なぜ「経営健全性」のチェックが必要なのか

保証は業者が存続していなければ無意味

多くの業者がセールスポイントとして掲げる「10年保証」「長期アフターサービス」。しかし、これらは契約の裏付けとなる業者が物理的に存続していなければ、法的効力を持ちません。

保証の種類業者倒産時の対応
自社保証(工事保証)保証は無効になる
メーカー保証(製品保証)施工ミスは対象外
JIOリフォームかし保険保険金が支払われる(後述)

外壁塗装業界の厳しい現実

外壁塗装業界は参入障壁が低いため過当競争に陥りやすく、薄利多売のビジネスモデルになりがちです。

2024-2025年の業界環境

  • 建設業倒産件数:前年度比9.34%増
  • 原材料(ナフサ・樹脂)価格の高騰
  • 人手不足による人件費上昇
  • インボイス制度による事務負担増
  • 2024年問題(時間外労働上限規制)

このような環境下で、500万円程度の内部留保を持たない企業が、少しの資金繰りの狂いで市場から退場するリスクは極めて高いのです。

→ 保証の落とし穴については「外壁塗装「保証10年」の落とし穴」で詳しく解説しています。

Level 1:建設業許可の確認(コスト0円)

「500万円の壁」が意味すること

建設業法では、請負代金が500万円未満の工事であれば建設業許可なしで営業できます。一般的な外壁塗装は100〜200万円で完結するため、無許可業者でも合法的に営業できてしまうのが現状です。

しかし、建設業許可を取得・維持するためには、厳格な「財産的基礎」の要件をクリアしなければなりません。

一般建設業許可の財産的基礎要件

条件内容
自己資本500万円以上純資産(資産−負債)が500万円以上
または500万円以上の資金調達能力(銀行の残高証明等)

つまり、建設業許可を持っている業者は、最低限500万円の資本バッファがあることが公的に証明されているのです。

無許可業者のリスク

もし業者が建設業許可を持っていない場合、その理由は「単に申請していないだけ」かもしれませんが、「直近の決算で債務超過に陥っている」「銀行口座に500万円すら残っていない」という可能性を否定できません。

区分建設業許可業者無許可業者
法的要件純資産500万円以上なし
社会的信用公共工事参入可小規模民間工事のみ
更新義務5年ごとの審査ありなし
統計的傾向トラブル報告が少ないトラブル報告が多い

許可番号の確認方法

建設業許可の有無は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で無料確認できます。

確認手順

  1. 国土交通省検索システムにアクセス
  2. 業者名または許可番号で検索
  3. 「塗装工事業」の許可があるか確認

チェックポイント

  • 許可の種類:「一般建設業」または「特定建設業」
  • 許可業種:「塗装工事業」が含まれているか
  • 許可の有効期限:5年ごとの更新が必要

Level 2:商業登記簿の分析(コスト331円)

331円で可能な深層調査

ウェブサイトのデザインや口コミサイトの評判は、マーケティング活動の一環としてコントロール可能な情報です。

対して、法務局が管理する「商業登記簿謄本(履歴事項全部証明書)」は、企業が隠したがる不都合な真実を含め、客観的な事実のみが記載された公的文書です。

登記情報提供サービスを利用すれば、インターネット経由で誰でも331円(税込)で特定企業の登記情報を取得できます。

最重要:「差押」の有無

登記簿分析で最も警戒すべきシグナルが、不動産登記における「乙区(所有権以外の権利に関する事項)」の記載です。

記載内容意味危険度
差押税金・社会保険料の滞納により国税局等が資産を差し押さえた⚠️⚠️⚠️
仮差押民間債権者が訴訟前に資産を保全した⚠️⚠️⚠️
競売開始決定担保不動産が競売にかけられる⚠️⚠️⚠️

「差押」があるということは、「国への支払いすらできなくなっている」状態であり、5年後の存続どころか、明日の倒産もあり得る危険水域です。

商業登記簿のチェックポイント

1. 本店所在地の変遷

パターンリスク
頻繁な移転家賃支払いに窮している可能性、クレーム逃れの可能性
バーチャルオフィス実体資産を持たないブローカー的業者の可能性

対策:Googleストリートビューで、実在する店舗や資材置き場があるか確認しましょう。

2. 役員構成の流動性

パターンリスク
就任と辞任の繰り返しガバナンスに問題あり
外部役員の短期辞任内部で不正や対立があった可能性

3. 目的欄の多角化

「塗装工事業」とは無関係な事業(飲食店経営、健康食品販売など)が羅列されている場合、本業の不振で行き詰まり、安易に他業種に手を出している「迷走状態」の可能性があります。

債権譲渡登記の確認(141円)

より専門的な調査として、「債権譲渡登記」の有無を確認する方法があります。

これは、企業が保有する売掛金を担保にして資金調達を行った際に登記されるもの。ノンバンクや高金利の事業者金融を譲受人とする債権譲渡登記が設定されている場合、通常の金融機関からの融資を断られ、禁じ手とも言える高コストな資金調達に頼らざるを得ないほど切迫した状況と推測できます。

概要ファイル情報は141円で取得可能。この痕跡が見つかった場合、その業者との契約は即座に見送るべきです。

Level 3:見積書と商談での警戒サイン(コスト0円)

危険な「前払い」要求

健全な経営を行っている業者の多くは、工事完了後の「完工払い」や、「分割払い(例:30%・70%)」を採用しています。

以下のような支払い条件を提示された場合は、最大級の警戒が必要です。

支払い条件危険度リスク
着工前の全額前払い⚠️⚠️⚠️自転車操業(ポンジ・スキーム的構造)の典型的サイン
50%超の前払い⚠️⚠️資金繰りが厳しい可能性
大幅値引き+即決要求⚠️⚠️月末の支払いに追われている可能性

「今日契約してくれれば50万円値引き」「足場代無料」といった極端な即決営業は、なりふり構わず「明日の現金」を確保したいという経営者の焦りの表れです。

→ 足場代無料の実態は「「足場代無料」の裏側を暴く」で詳しく解説しています。

見積書の精度チェック

見積書の詳細度は、積算能力だけでなく、誠実さと経営の余裕を映し出す鏡です。

見積書の特徴評価
「外壁塗装一式 〇〇万円」のみ⚠️ 原価管理ができていない
平米数・単価・塗料名・塗り回数が明記✅ 健全な積算
下塗り・中塗り・上塗りの3工程が明記✅ 標準的な仕様

「一式」表記の乱用は、原価管理が甘い証拠であり、構造的に赤字体質に陥りやすい業者の特徴です。

→ 見積書の読み解き方は「原価完全ガイド」で詳しく解説しています。

Level 4:信用調査機関の活用(コスト数万円・高額案件向け)

帝国データバンク・東京商工リサーチの活用

契約金額が数百万円規模、またはアパート・マンション一棟の大規模修繕を行う場合は、プロの信用調査機関を利用する価値があります。

調査機関新規調査既存報告書
帝国データバンク(TDB)約2〜3万円約1.5〜2万円
東京商工リサーチ(TSR)約2〜3万円約1.5〜2万円

信用調査報告書の読み方

チェック項目安全圏要注意
評点(TDB)50点以上40点台以下
業歴10年以上3年未満
メインバンク地銀・信金ノンバンク
ネガティブ情報なし不渡り・支払遅延・訴訟履歴あり

コスト対効果の判断

一般的な戸建て塗装(100〜150万円)に3万円の調査費は割高に感じるかもしれません。しかし、悪徳業者に依頼して手抜き工事をされれば、数年後の再塗装で100万円単位の損害になります。

最も効率的な利用法は、候補を2社に絞り込んだ段階での「決定打」として利用することです。

究極のセーフティネット:JIOリフォームかし保険

業者が倒産しても保証が残る唯一の方法

どんなに厳密な調査を行っても、外部環境の急変による倒産リスクをゼロにすることは不可能です。

そこで、リスク管理の最終防衛ラインとして、「業者が倒産しても施主が守られる仕組み」を確保しておくことが不可欠です。

それが「JIOリフォームかし保険」です。

JIOリフォームかし保険の特徴

特徴内容
保証主体第三者機関(住宅瑕疵担保責任保険法人)
第三者検査建築士資格を持った検査員による現場検査が必須
倒産時の対応施主が直接保険法人に保険金を請求可能
対象範囲施工ミス含む瑕疵全般

他の保証との比較

保証の種類JIOリフォームかし保険自社保証メーカー保証
保証主体第三者機関施工業者塗料メーカー
倒産時保険金支払い無効継続困難な場合あり
施工ミス対象業者規定による対象外
第三者検査ありなしなし

業者の反応が「踏み絵」になる

商談時に「JIOリフォームかし保険に入りたい」と申し出た際の業者の反応を見ることで、経営体質や自信のほどを見抜くことができます。

業者の反応評価
「もちろんです。弊社は登録事業者です」✅ 優良業者
「標準仕様として全件加入しています」✅ 優良業者
「保険料が高いから無駄です」⚠️ リスク業者
「うちの自社保証があるから不要です」⚠️ リスク業者

加入を拒む業者は、第三者の厳しい検査に耐えうる施工品質の自信がないか、数万円の保険料すら惜しむほど資金繰りが厳しいことを示唆しています。

地元密着性という「見えない保証」

10年以上の地元営業実績が意味すること

「悪事千里を走る」の格言通り、地域密着で長年営業している業者は、粗悪な工事や金銭トラブルを起こせばその地域で生き残ることができません。

逆に言えば、創業から10年以上、同一地域で看板を掲げて営業を続けているという実績自体が、一定の信用力の証明となります。

地元業者のチェックポイント

チェック項目確認方法
拠点の実在Googleマップで店舗・資材置き場を確認
看板の状態色あせていないか、整備されているか
車両の状態社用車が綺麗に管理されているか
資材の整理資材置き場が整理整頓されているか

資金難の業者は、設備のメンテナンスや更新に投資する余裕がありません。ボロボロの車両や汚れた足場幕は、顧客の家に対する扱いの雑さを示唆しています。

私が提唱する「塗装方程式:品質 = モチベーション × 技術 × 時間」の観点からも、経営に余裕がある業者ほど、一つひとつの現場に十分な時間をかけられます。

経営健全性チェックリスト(まとめ)

推奨調査手順(リスク管理フロー)

Level 1:書類確認(コスト0円)

  • ☐ 建設業許可の確認(国土交通省検索システム)
  • ☐ 「塗装工事業」の許可があるか
  • ☐ 許可の有効期限内か
  • ☐ 拠点の実在確認(Googleマップ)

Level 2:法務調査(コスト約500円)

  • ☐ 商業登記簿謄本の取得(331円)
  • ☐ 「差押」「仮差押」がないか
  • ☐ 本店所在地の頻繁な移転がないか
  • ☐ 債権譲渡登記のチェック(141円)

Level 3:対面・見積もり審査(コスト0円)

  • ☐ 見積書に平米数・単価・塗料名・塗り回数が明記されているか
  • ☐ 全額前払いを要求していないか
  • ☐ JIOリフォームかし保険への加入を快諾するか

Level 4:信用調査(コスト数万円・高額案件向け)

  • ☐ 帝国データバンク/東京商工リサーチで評点50点以上か
  • ☐ 支払い遅延やトラブルの履歴がないか

まとめ

「その業者は5年後も存在するか?」という問いに100%の確度で答えることは不可能です。しかし、本記事で解説した多層的な調査を行うことで、その確率を限りなく高め、万が一の際のリスクを極小化することは十分に可能です。

最も安全な契約形態

条件内容
許可建設業許可(塗装工事業)を保有
実績地元で10年以上の営業実績
保険JIOリフォームかし保険への加入を契約条件に
支払い完工払い、または適正な出来高払い

特に「JIOリフォームかし保険」への加入は、業者の5年後の生存を問わず、瑕疵補修の原資を確保できる唯一の手段です。

価格の安さだけで業者を選び、前払いで資金を渡し、根拠のない長期保証書一枚で安心することは、大切な資産を危険に晒すギャンブルに他なりません。

本記事で提示した客観的指標と論理的枠組みに基づき、冷静かつ戦略的なパートナー選定を行うことが、5年後、10年後の安心を手に入れる唯一の道です。

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