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外壁塗装 契約後にやることリスト|着工前の準備で工事品質が決まる

契約後から着工までの「空白期間」こそ工事品質を左右する最重要フェーズ。契約書チェック、色決め、近隣挨拶、敷地準備から防犯対策まで、時系列に沿って完全網羅。200件以上の施工実績を持つ職人が徹底解説。

この記事の監修者

ヨコイ塗装 代表 横井隆之

愛知県で50年続く塗装店の2代目。200件以上の施工実績を持ち、著書に『外壁塗装の不都合な真実』『塗装方程式』『外壁塗装 工程別チェックポイント21』(Kindle)がある。見積もり診断サービス「ペンキのミカタ」を運営し、全国の施主に中立的なアドバイスを提供している。

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はじめに

「契約が終わったから、あとは業者任せでいいですよね?」

200件以上の現場を経験してきた立場から断言します。契約後から着工までの「空白期間」こそ、工事品質を左右する最重要フェーズです。

私の著書『外壁塗装の不都合な真実』でも触れていますが、工期遅延、追加費用の発生、施工品質の低下、近隣トラブル——これらの問題の大部分は、この準備期間におけるコミュニケーション不足に起因しています。

塗装工事の品質は「品質 = モチベーション × 技術 × 時間」という塗装方程式で決まります。契約後の準備をしっかり行うことで、職人のモチベーションを高め、十分な作業時間を確保できる環境を整えることができるのです。

この記事では、契約締結から着工日までに施主がやるべきことを、時系列に沿って完全網羅します。

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契約直後にやること【3つの確認】

1. 契約書と仕様書の最終チェック

口頭での約束は、トラブル時に最も弱い証拠です。すべての合意事項が書面に反映されているか確認しましょう。

必須チェック項目

項目確認ポイント危険サイン
使用塗料メーカー名・製品名・樹脂グレードが明記されているか「シリコン塗料一式」など曖昧な記載
塗布量1㎡あたりの塗布量(kg/㎡)が記載されているか数量の記載なし
塗装回数下塗り・中塗り・上塗りの回数が明記されているか「3回塗り」のみで詳細なし
下地処理クラック補修・ケレン作業の工法が具体的か「下地処理一式」のみ
付帯部範囲雨樋・破風板・軒天などの塗装範囲が明確か「外壁一式」に含まれるか不明

人工(にんく)の視点から見る重要ポイント

見積書を見るとき、私は必ず「この金額で何人工(にんく)分の作業ができるか」を計算します。

例えば、総額100万円の工事で、中間マージンや材料費を差し引くと、実際に職人の手元に残るのは30〜40万円程度。これを日当15,000円で割ると、20〜27人工。30坪の住宅で必要な適正人工数は約25〜30人工ですから、ギリギリのラインです。

契約金額から「職人が十分な時間をかけられるか」を逆算する習慣をつけてください。

2. 支払い条件の再確認

リフォーム工事の支払いトラブルは後を絶ちません。

標準的な支払いパターン

  • 着工時30%・完工時70%
  • 契約時10%・着工時30%・完工時60%

危険サイン

  • 全額前払いを要求する業者は要注意(資金繰り悪化・倒産リスク)
  • 追加工事の精算方法が曖昧

3. クーリング・オフの確認

訪問販売や電話勧誘で契約した場合、契約書面受領日から8日以内であれば無条件で解約可能です。

自ら店舗に出向いた場合や、過去に取引のある業者との契約では適用外となるケースもあります。不安な場合は、消費生活センターに相談してください。

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着工2〜3週間前にやること【色決め・計画策定】

色選びは「科学」で決める

外壁の色選びは、単なる好みの問題ではありません。建物の熱効率、メンテナンスコスト、近隣との調和に関わる重要な意思決定です。

面積効果に注意

A4サイズの色見本で選んだ色は、実際の外壁に塗ると印象が変わります。

  • 明るい色 → 大面積ではより明るく・鮮やかに見える
  • 暗い色 → 大面積ではより暗く・沈んで見える

対策:希望色より「ワントーン暗め」を選ぶのが定石です。

熱反射率も考慮する

日射反射率特徴
白・クリーム系高い外壁温度上昇を抑制、遮熱効果あり
黒・濃紺系低い熱を吸収しやすく、外壁材の劣化を早める可能性

カラーシミュレーションの限界

コンピュータのシミュレーションはあくまで「配色バランス」を確認するツールです。最終決定は塗り板(実際に塗料を塗った板)で行うことを推奨します。

工程表を入手・理解する

業者から詳細な工程表を入手し、以下の情報を把握しておきましょう。

  • 高圧洗浄日(洗濯物が干せない)
  • 養生期間(窓が開けられない)
  • 塗装日(臭気が発生する)
  • 足場解体日(最終チェックのラストチャンス)

見守り塗装(ペイント)を活用すれば、これらの工程をスマホでリアルタイムに確認できます。

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着工1週間前にやること【近隣挨拶】

挨拶は「リスクマネジメント」

近隣挨拶は、儀礼的な意味を超えたリスクマネジメント活動です。

挨拶の対象範囲

優先度対象理由
必須両隣、向かい3軒、裏3軒(計8軒)足場組立音、高圧洗浄の飛沫、塗料臭の直接的影響
推奨工事車両の搬入ルートに面した家通行の妨げになる可能性
状況次第夜勤勤務者、新生児がいる家庭、在宅勤務者騒音への感度が高い

伝えるべき情報

情報項目具体的内容
工事期間「〇月〇日から〇月〇日まで」(予備日含む)
作業時間「午前8時30分〜午後5時頃」
高リスク日足場設置日、高圧洗浄日(特に大きな音がする)
緊急連絡先現場監督または施工会社の直通電話番号

粗品の選定

500円〜1,000円程度の「消え物」がベストです。

  • 推奨:高品質なタオル、洗剤セット、ラップ類、指定ゴミ袋
  • 避けるべき:好みが分かれる食品、香りの強い洗剤

施主が同行することの意味

近年は業者が挨拶回りを代行するケースが増えていますが、施主が同行することで「責任の所在」が明確になり、クレームの言いやすさを抑制する効果があります。

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着工3日前にやること【敷地の準備】

植栽・庭木の剪定

植物と外壁塗装は相性が悪いです。塗料による薬害、養生シートによる呼吸阻害、足場材による物理的損傷のリスクがあります。

作業スペースの確保

  • 足場を架けるには、壁面から約60cm〜1mのクリアランスが必要
  • この範囲の植栽は剪定または移植する

接触回避の原則

  • 外壁や屋根に接触している枝は「強剪定」を行い、完全に離隔する
  • 塗り残しや乾燥不良の原因になる

養生のリスク

業者は植物をビニールシートで養生することがありますが、夏場は内部が高温多湿となり、数日で植物が枯死する恐れがあります。

対策

  • 通気性のある不織布の使用を依頼する
  • 大切な鉢植えは敷地外へ退避させる

外回りの片付け

移動必須アイテム

  • 自転車、三輪車、傘立て
  • プランター、ゴミ箱
  • スタッドレスタイヤ、物干し竿

移動困難な大型物

  • 大型物置や固定されたカーポートは厳重な養生の対象
  • 事前に中身(濡れて困るもの)を取り出しておく

駐車場の代替確保

足場資材の搬入出には2トン〜4トントラックが使用され、工事期間中は職人の車が常駐する場合があります。

高価な車・愛車は要注意

塗装作業中(特に吹き付け塗装時)は塗料ミストが飛散し、ボディに付着するリスクがあります。

対策

  • 専用のカーカバーを掛ける
  • 工事期間中だけ別の場所(月極駐車場の一時貸し、親族宅)へ移動

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着工前日にやること【最終チェック】

緊急チェックリスト

  • □ 外回りの最終片付け(ほうき、塵取り、バケツ、サンダルなど)
  • □ 植木鉢の避難完了
  • □ 全窓の施錠確認(2階含む)
  • □ カーテン・ブラインドの閉鎖
  • □ 近隣への最終声掛け(会う機会があれば)
  • □ 心付け(お茶菓子)の準備(任意)

防犯対策を強化する

足場の設置は、空き巣にとって「階段」を提供するのと同義です。

対策

  • 2階のベランダ、浴室、トイレの小窓も含め、全窓を施錠
  • サッシ用補助錠(ウインドウロック)を設置
  • センサーライトや防犯カメラ(ダミーでも可)を足場に設置
  • 昼間でもレースカーテンを閉める(職人が足場を行き来するため)

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工事中の生活対策

エアコンの使用について

塗装工程では、室外機も養生されます。通常の方法(ビニール密封)では吸排気が遮断されるため、エアコンの使用は不可能になります。

対策

  • 通気性のあるメッシュ素材の専用カバー(エアコン用養生カバー)を使用するよう業者に要望
  • 室外機の背面や底面の塗装時には一時的に停止が必要

換気について

養生期間中は、窓全体がビニールで覆われるため、物理的に開閉ができなくなります。

対策

  • 特定の窓(浴室やキッチンなど)だけ開閉可能な養生にしてもらう
  • 溶剤系塗料使用時は、活性炭入りマスクを用意
  • 過敏な方は一時的な避難(実家への帰省やホテル滞在)も検討

給湯設備について

ガス給湯器やエコキュートは給排気口があるため、養生方法に注意が必要です。

確認事項

  • 完全に塞ぐと不完全燃焼や故障の原因となる
  • 稼働時は養生を外すか、専用の通気養生を行うことを確認

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見守り塗装(ペイント)で「予行演習」を実践する

ここまでお読みいただいた方は、着工前の準備がいかに重要かお分かりいただけたと思います。

しかし、「全部を完璧にやるのは大変…」という声もあるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、見守り塗装(ペイント)を使った「予行演習」です。

21工程すべてを事前にシミュレーションし、各工程で確認すべきポイントを把握しておくことで、着工後の不安を大幅に軽減できます。

また、見積もり診断を活用することで、契約前の段階で適正な工事内容・価格かどうかを第三者の視点でチェックすることも可能です。

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人工(にんく)理論の視点

契約後にやるべき最も重要なことの一つは、「投入人工数と工期の再確認」です。契約時に「25人工、職人2人体制で約13日」と合意したなら、着工前の打ち合わせで再度確認してください。「天候により工期が延びることはあっても、人工数は減りません」と念押しすること。人工数が明確になっていれば、工事中に「予定より人工が少ない」と気づいた時点で業者に指摘できます。

人工理論の詳しい解説は「人工(にんく)理論 完全講義」をご覧ください。

まとめ:契約後の「空白期間」を制する

契約後から着工までの期間は、決して「待ち」の時間ではありません。

やるべきことの総まとめ

  • 契約直後:契約書・仕様書の最終確認、支払い条件の確認
  • 2〜3週間前:色決め、工程表の入手と理解
  • 1週間前:近隣挨拶(リスクマネジメント)
  • 3日前:植栽剪定、外回りの片付け、駐車場確保
  • 前日:最終チェックリスト、防犯対策

これらの準備を怠ると、工事開始後に「言った・言わない」のトラブルや、近隣からのクレーム、予期せぬ追加費用が発生するリスクが高まります。契約後こそ、施主の真価が問われる時間なのです。

この記事が、皆さまの外壁塗装工事を成功に導く一助となれば幸いです。

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