外壁塗装の見積もりを複数社から取ったとき、何を基準に比較していますか?
「総額が安い業者」
「塗料のグレードが高い業者」
「保証期間が長い業者」
実は、これらはすべて表面的な比較です。
本当に見るべきは「人工(にんく)」。
人工とは、職人1人が1日働く作業量のこと。この数字を見れば、その業者が本当に丁寧な工事をするつもりがあるのか、一発でわかります。
この記事では、50年の塗装経験から培った「人工で業者を見抜く方法」を完全解説します。
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人工(にんく)とは何か
人工とは「職人1人が1日で行う作業量」を表す単位です。
例えば「3人工」なら:
・職人1人 × 3日間
・職人3人 × 1日間
・職人1.5人 × 2日間
いずれも同じ「3人工」です。
外壁塗装の品質は、この人工数で大きく変わります。
なぜなら、塗装は「時間をかけるほど品質が上がる」工事だから。
下地処理を丁寧にする、乾燥時間を十分に取る、塗り残しがないか確認する。これらすべてに「時間」が必要です。
人工が少ない=時間が足りない=手抜きのリスクが高い
この単純な図式を覚えておいてください。
塗装方程式:品質を決める3つの変数
私は長年の経験から、塗装の品質を決める公式を「塗装方程式」と呼んでいます。
品質 = モチベーション × 技術 × 時間
・モチベーション:職人のやる気。適正な報酬、良好な職場環境から生まれる
・技術:職人の腕。経験年数、資格、研修体制で決まる
・時間:工事にかける日数。これが「人工」
どれか1つでもゼロに近ければ、品質はゼロに近づきます。
特に「時間」は見積書から確認できる唯一の変数。だから人工を見ることが重要なのです。
30坪住宅の適正人工数
では、具体的に何人工が適正なのか。
30坪(約100㎡)の戸建て住宅を例に、工程別の目安を示します。
| 工程 | 最低ライン | 丁寧な施工 |
|---|---|---|
| 足場設置 | 1人工 | 1.5人工 |
| 高圧洗浄 | 0.5人工 | 1人工 |
| 養生 | 1人工 | 1.5人工 |
| 下地処理 | 1人工 | 2人工 |
| コーキング | 1.5人工 | 2人工 |
| 下塗り | 1人工 | 1.5人工 |
| 中塗り | 1人工 | 1.5人工 |
| 上塗り | 1人工 | 1.5人工 |
| 付帯部塗装 | 1人工 | 2人工 |
| 完了検査・清掃 | 0.5人工 | 1人工 |
| 合計 | 10人工 | 15人工 |
10人工未満の見積もりは要注意です。
工期と人工の関係
人工数は「工期(日数)」からも推測できます。
30坪住宅の場合:
| 工期 | 評価 | 想定される状況 |
|---|---|---|
| 7日以下 | ⚠️ 危険 | 乾燥時間不足、工程省略の可能性大 |
| 10〜12日 | △ 最低ライン | ギリギリ許容範囲 |
| 14〜16日 | ○ 標準 | 丁寧な施工が期待できる |
| 18〜20日 | ◎ 理想 | 十分な乾燥時間、細部まで配慮 |
「1週間で終わります!」という業者は、まず疑ってください。
→ 工期と品質の関係
見積書で人工を確認する方法
残念ながら、多くの見積書には「人工」が明記されていません。
その場合、以下の方法で推測します。
方法1:工期から逆算
工期14日 × 職人2人 = 28人工(十分な人工数)
工期7日 × 職人1人 = 7人工(危険信号)
方法2:業者に直接聞く
「この工事、全部で何人工かかりますか?」
この質問に即答できる業者は、工程管理がしっかりしている証拠。答えられない、またはごまかす業者は要注意です。
方法3:工程表を依頼
「工程表を事前にいただけますか?」
工程表があれば、各工程に何日かけるかが一目瞭然。人工数も計算できます。
なぜ安い見積もりは手抜きになるのか
「A社は100万円、B社は70万円。B社が安くていいじゃん」
こう考える方は多いですが、ちょっと待ってください。
塗装工事の原価構成は:
・材料費:約20〜25%
・人件費:約40〜50%
・足場代:約15〜20%
・諸経費・利益:約15〜20%
人件費が最大の変動要素です。
70万円の見積もりで利益を出そうとすると、どこを削るか?
答えは「人件費」、つまり「人工」です。
工期を短縮する、職人の数を減らす、日当の安い職人を使う。
結果として、手抜き工事のリスクが高まります。
職人の日当15,000円が分水嶺
もう1つ重要な指標があります。
職人の日当です。
見積もりの人件費を人工数で割れば、職人1人あたりの日当が計算できます。
この日当が15,000円を下回ると危険信号。
なぜか?
国土交通省が公表する公共工事の労務単価は、塗装工で約25,000〜30,000円。民間でも20,000円以上が相場です。
日当15,000円未満ということは:
・下請け・孫請けで中間マージンを抜かれている
・経験の浅い職人、または外国人労働者を使っている
・職人のモチベーションが低い
いずれも品質低下につながります。
計算方法
人件費 ÷ 人工数 = 職人の日当
例:人件費45万円 ÷ 15人工 = 30,000円/人工 → ○ 適正
例:人件費30万円 ÷ 15人工 = 20,000円/人工 → △ ギリギリ
例:人件費20万円 ÷ 15人工 = 13,333円/人工 → ⚠️ 危険
業者に聞くべき5つの質問
見積もり時に以下の質問をしてみてください。
質問1:「この工事、全部で何人工かかりますか?」
即答できれば◎。ごまかすなら要注意。
質問2:「工程表を事前にいただけますか?」
出してくれる業者は管理がしっかりしている。
質問3:「下地処理に何日かけますか?」
「1日」なら要注意。最低2日は必要。
質問4:「職人さんは自社の社員ですか?」
下請け・孫請けだと中間マージンで人工が削られる。
質問5:「乾燥時間はどのくらい取りますか?」
「1日1工程」と答えられれば◎。
人工で比較すれば相見積もりが簡単になる
相見積もりで3社から見積もりを取ったとき:
| 業者 | 総額 | 工期 | 人工数(推定) |
|---|---|---|---|
| A社 | 120万円 | 18日 | 約25人工 |
| B社 | 100万円 | 14日 | 約18人工 |
| C社 | 70万円 | 7日 | 約10人工 |
総額だけ見ればC社が魅力的。
でも人工で見れば、A社が最も丁寧な工事をしてくれることがわかります。
「人工あたりの単価」で比較すると:
・A社:120万円 ÷ 25人工 = 48,000円/人工
・B社:100万円 ÷ 18人工 = 55,556円/人工
・C社:70万円 ÷ 10人工 = 70,000円/人工
実はC社が最も「人工あたりの単価」が高い。
つまり、少ない作業量で高い利益を取ろうとしているのです。
まとめ:人工で業者を選ぶ
外壁塗装の品質を見抜くポイントをまとめます。
覚えておくべき数字
・30坪住宅の適正人工数:10〜15人工
・適正工期:14〜18日
・職人の日当下限:15,000円以上
見積もり時に確認すること
1. 工期は何日か(7日以下は危険)
2. 人工数を聞く(即答できるか)
3. 工程表をもらう(各工程の日数を確認)
4. 職人は自社社員か(下請け構造を確認)
人工で比較すれば、「安かろう悪かろう」を避けられます。
見積もりの「総額」ではなく「人工」を見る。
これが、外壁塗装で失敗しないための新常識です。
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