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コーキング材が入らない|メーカー受注停止の実態と外壁塗装への影響【2026年4月】

「コーキング材が入荷できません」——業者からそう言われて、戸惑っていませんか。

2026年4月、外壁塗装に不可欠なシーリング材(コーキング材)が、大手メーカーから次々に受注停止・出荷制限の通知が出されています。私のもとにも、4月14日から15日にかけて、オート化学工業・KFケミカルから相次いでFAXが届きました。特にKFケミカルからは同日午前に「出荷遅延の通知」、午後13時30分に「受注一時停止の通知」と、わずか数時間の間に状況が悪化しています。

この記事では、現役の塗装業者として直接メーカーFAXを受け取った立場から、いま起きていることを冷静にお伝えします。「焦って契約すべきか」ではなく、「施主として何を確認すればよいか」の材料として読んでください。

【2026年4月15日・速報】コーキング材が入らない|メーカー受注停止の実態と外壁塗装への影響

いま何が起きているのか──メーカー3社の通知内容

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2026年4月14日から15日にかけて、私のもとに届いたメーカーからの通知は3通です。いずれも、外壁塗装の目地工事に使うシーリング材(コーキング材)の供給に関する内容です。

FAX①:オート化学工業(4月14日付)

オート化学工業は、シーリング材と専用プライマー全製品の受注を一時停止すると通知しました。対象期間は「2026年4月15日より当面の間」。ホルムズ海峡封鎖による石油関連原材料の供給網混乱が理由と明記されています。

この会社は「オートンイクシード」などのロングセラー製品で知られており、全製品が同時停止するのは極めて異例です。

FAX②:KFケミカル建築塗料部門(4月15日午前)

KFケミカルからはまず午前中に、希望納期から数日の出荷遅延と、注文数量の制限通知が届きました。

実際の使用予定数量のみ受付。大量注文・著しい偏りがある場合は調整または受付不可。

この時点では「遅延はあるが供給は続ける」という内容でした。

FAX③:KFケミカル建築塗料部門(4月15日午後13時30分)

ところが同じ日の午後、わずか数時間後に2通目のFAXが届きました。内容は一変し、KFスペシャルシーラント(変成シリコーン系)の受注一時停止の通知です。対象はカートリッジタイプ・アフターカラーベース・カラーパック・専用プライマーのすべて。

同日の午前と午後で状況が悪化するスピード——これが2026年4月の現場の実態です。

筆者自身、4月14日に今回の受注停止を見越して早めに発注を入れていた。結果的にギリギリで通った形だが、1日遅れていたら在庫確保はできなかった。「念のため早めに」という判断が今回は文字通り命綱になった

なぜシーリング材が足りないのか──ホルムズ海峡から目地まで

「別のメーカーに変えればいいのでは?」と思われるかもしれません。しかし、その発想は今回の危機では成立しません。

シーリング材の主要な2タイプは、いずれもナフサ(原油を精製してできる石油化学原料)を上流に持っています。

変成シリコン系の経路

変成シリコン系シーリング材の主成分は、末端を変性させたポリエーテル樹脂です。この樹脂は以下の経路で作られます。

原油 → ナフサ → プロピレン → プロピレンオキサイド → ポリエーテル → 変成シリコーンポリマー

ポリウレタン系の経路

ポリウレタン系はMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を主原料とします。こちらの経路は次のとおりです。

原油 → ナフサ → ベンゼン → ニトロベンゼン → アニリン → MDA → MDI

ホルムズ海峡の意味

日本はナフサの原料となる原油の約90%をホルムズ海峡経由で輸入しています。2026年3月の海峡封鎖を受けて、原料供給そのものが止まりかけている状況です。

「オート化学がダメならコニシ」「コニシがダメならセメダイン」という切り替え発想は、各社がすべて同じナフサ由来の原料に依存しているため、構造的に機能しません。これは塗料の値上げ・出荷制限と同じ原因です。

→ 塗料本体の値上げ構造については塗料値上がり2026|メーカー7社の状況で詳しく解説しています。

シーリング材だけじゃない──塗料・防水材にも広がる影響

今回の供給制限は、シーリング材だけの問題ではありません。同じナフサ由来の石油化学製品として、以下の建材がすべて同時に逼迫しています。

  • 塗料本体(日本ペイント・エスケー化研・関西ペイント・大信ペイント等の値上げ・出荷制限)
  • シンナー(全メーカー、75〜80%の値上げ済み)
  • 錆止め下塗材(KFケミカル・日本ペイント・エスケー化研)
  • 断熱材(メーカー3社が出荷制限)
  • ルーフィング材(田島ルーフィングが4月9日から受注一時停止)
  • 接着剤(セメダイン・コニシが出荷制限・価格改定)

「シーリングだけ待てばいい」ではなく、外壁塗装工事を完成させるために必要な材料全体が同期して確保できないと、工事は進みません。

→ 塗料・シンナーの供給状況については塗料・資材不足で今できない工事2026で詳しく解説しています。

→ メーカー別の値上げ率比較は塗料値上げ2026年メーカー別比較をご覧ください。

外壁塗装の工程にどう影響するか──シーリングは省略できない

外壁塗装の標準的な工程は以下のとおりです。

  • 足場設置
  • 高圧洗浄
  • シーリング工事(目地の打ち替え・増し打ち)
  • 下塗り
  • 中塗り
  • 上塗り
  • 付帯部塗装
  • 足場解体

シーリング工事は塗装の前工程に位置づけられています。ここが滞ると、後続の塗装工程がすべて止まります。

「シーリングなしで塗装だけ進める」は危険

「材料が入らないので、塗装だけ先に進めて、シーリングは後で」と提案される場合があります。これは施主にとって大きなリスクです。

シーリングなしで塗装を進めると、目地の隙間から雨水が浸入し、外壁内部の腐食・カビ・最悪の場合は雨漏りにつながります。数年後に重大な不具合として表面化するリスクがあり、そうなったときには塗装のやり直しでは済みません。

先打ちと後打ちの違い

シーリング工事には「先打ち(塗装の前に施工)」と「後打ち(塗装の後に施工)」の2種類があります。

  • 先打ち:塗膜がシーリングを紫外線・風雨から保護するため、シーリングの寿命が長くなる。
  • 後打ち:シーリングが直接紫外線にさらされ、寿命が短くなる。ただし使える材料の選択肢は広い。

材料不足を理由に「先打ちを後打ちに変更したい」と業者から提案された場合、すぐに承諾せず、変更の理由・シーリング寿命への影響・保証範囲がどう変わるかを書面で確認してから判断してください。

工期が延びると施主はどんな不利益を受けるか

シーリング材の入荷遅延で工期が延びると、施主には以下のような不利益が発生する可能性があります。

1. 足場リース期間の延長コスト

足場は日割り・週割りで費用が発生します。工期が1〜2週間延びると、数万円単位の追加費用になる場合があります。

2. 季節要因による工事品質リスク

外壁塗装は気温5℃以下・湿度85%以上では施工できません。当初の工期から外れて梅雨や冬季に入ると、さらに工期が延びる、または施工品質が落ちるリスクがあります。

3. 近隣への影響期間の長期化

足場・養生シート・作業音は近隣に負担をかけます。工期延長は近所付き合いにも影響します。

4. 契約上の扱いが曖昧になりやすい

「メーカーの都合で材料が届かない」という事態は、通常の契約書では想定されていないケースが多いです。追加費用を誰が負担するか、工期延長の上限はどこまでか、事前に明確にしておくことが重要です。

→ 契約後に値上げや追加請求があった場合の対処法は契約後に塗料が値上がりしたらどうなる?をご覧ください。

「今すぐ契約しないと値上がります」への冷静な対処

値上げや品薄を理由に「急いで契約を」と勧める業者には慎重に対応してください。

正当な値上げを伝える業者は「原材料がXX%上がった」「仕入れ価格がいつ・いくら上がった」という具体的な根拠を示します。「とにかく今が安い」という抽象的な説明しかない業者の場合、便乗値上げの可能性もあります。

→ 便乗値上げの見分け方は塗装値上げの便乗チェックで解説しています。

不安があれば、契約前にAI見積もり診断で第三者の目を入れてください。

代替品への切り替えは可能か──3つの条件

「他のメーカーの製品に切り替えれば対応できる」という話もありますが、実務では3つの条件をクリアする必要があります。

条件1:代替先メーカーも供給制限中ではないこと

現時点(2026年4月)では、オート化学・KFケミカル・セメダイン・コニシ・シーカ・ジャパン・ダウ東レなど、主要メーカーのほぼ全社が何らかの制限下にあります。「他社ならある」と安易に言える状況ではありません。

条件2:プライマー・塗料との相性確認

シーリング材を切り替えると、専用プライマーや上塗り塗料との相性を再確認する必要があります。メーカーのテクニカルデータシートで確認し、場合によっては現場で密着試験を行うべきです。

条件3:保証範囲の変更確認

当初の見積もりで指定していた製品を変更する場合、保証範囲が変わる可能性があります。メーカー保証と業者保証、それぞれがどう変わるかを書面で確認してください。

筆者のように元請けで自社施工している場合、メーカー指定の縛りがないぶん代替品の選択肢はある。ただし「どのメーカーでもよい」ではなく、「使う塗料との相性を確認した上で選ぶ」が正しい姿勢だ。材料が入らないからといって確認を省いた切り替えは、数年後の剥離トラブルに直結する。

施主が今すぐ確認すべき7つの質問

業者から「コーキングが入りません」と言われたとき、または見積もり検討中の方が業者に確認すべき7つの質問です。

質問1:使用予定のシーリング材のメーカー名と製品名は?

「決まっていません」「確認します」という回答は、在庫が確保できていない可能性を示唆します。具体的な製品名が即答できるかが最初のチェックポイントです。

質問2:その製品の在庫を何本確保していますか?

着工分の在庫が施工店側で確保できているかを確認します。「注文してから取り寄せる」段階では、納期未定になるリスクがあります。

質問3:入荷見通しについて書面で回答してもらえますか?

「来週には入る予定」「もうすぐ解消される」という口頭の説明だけで工事を進めるのは危険です。書面またはメールで入荷見通しを記録に残してください。

質問4:材料が変更になった場合、保証範囲はどう変わりますか?

当初の見積もりと異なる製品を使う場合、メーカー保証と業者保証の変更内容を書面で確認してください。建設業法上、契約後の仕様変更は施主の同意が必須です。

質問5:先打ちから後打ちへの変更提案はありますか?

工程変更を提案された場合、その理由・シーリング寿命への影響・保証範囲をセットで確認してください。

質問6:工期延長時の追加費用は誰が負担しますか?

足場のリース延長、現場管理費の追加などが発生した場合の負担配分を、着工前に明確にしておいてください。

質問7:見積もり書の有効期限はいつまでですか?

材料費が日々変動している局面では、見積もりの有効期限が通常より短くなっていることがあります。事前に確認し、期限切れ後の再見積もりルールも決めておきましょう。

今後の見通し──夏までに解消するのか

2026年4月15日時点では、パキスタン・トルコのタンカーがホルムズ海峡を通過再開し、WTI原油価格は90ドル台前半まで落ち着きを見せています。しかし「海峡再開=シーリング材が即入荷」ではありません。

供給回復までのタイムラグ

  • 海峡通過再開 → タンカー日本到着:約3週間
  • 製油所でナフサ精製:数週間
  • 石油化学工場で誘導品製造(ポリエーテル・MDI等):数週間
  • シーリングメーカーが出荷再開を判断:別途

これらを積み上げると、最低でも2〜3ヶ月のタイムラグが見込まれます。

夏の繁忙期(7〜8月)への影響

例年、外壁塗装工事は梅雨明け以降の7〜8月に需要が集中します。供給回復が間に合わない場合、例年以上に工期を確保しにくい夏を迎える可能性があります。

「来月には正常化するだろう」という楽観的な前提で計画を立てるのは、現状ではリスクがあります。少なくとも数ヶ月スパンで考えた方が現実的です。

2021年、2022年と値上がりは続いてきたが、あのときは「高くなった」だけだった。今回は「高くなった上に買えない」。現場感覚として、外壁塗装の工事単価がワンステージ上がった印象がある。コロナ禍やウクライナ危機のときに「これが新しい相場だ」と思っていたラインを、さらに超えつつある。

まとめ

2026年4月、シーリング材(コーキング材)の供給制限は、特定の1社の問題ではなく、ホルムズ海峡情勢に起因する石油化学原料の構造的な不足が原因です。別メーカーへの切り替えで解決する性質のものではなく、塗料・シンナー・錆止め・断熱材・ルーフィングなどの建材全体が同時に逼迫しています。

外壁塗装を検討中・契約中・施工中の施主の方は、以下を冷静に押さえてください。

  • シーリング工事を省略・後回しにすることのリスクを理解する
  • 使用予定のメーカー名・製品名・在庫数を業者に確認する
  • 工程変更や材料変更は必ず書面で根拠を残す
  • 「今すぐ契約を」という圧力には冷静に対応する
  • 工期延長時の費用負担を事前に明確にする

状況は日々変化しています。業者との相談でも「何を根拠に、何を判断しているのか」をお互いに言語化することが、不要なトラブルを避ける第一歩です。

不安があれば、契約前にセカンドオピニオンをご活用ください。見積書の内容と材料調達の現状を、中立的な立場でチェックします。

→ 関連記事:シーリング工事の打ち替えと増し打ち(公開予定)

著者:横井隆之

施工歴25年・施工実績250件超・著書3冊。愛知県扶桑町で外壁塗装を手掛けながら、penki-mikata.com で施主への中立的な情報発信を行っています。この記事の内容は2026年4月15日時点の情報です。状況は日々変化しており、最新の動きは随時更新していきます。

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