「雪が降る時期に外壁塗装はできますか?」
この質問は、冬場に塗装を検討している方からよく受ける。結論から言えば、降雪時や霜が降りる条件下での塗装は絶対にNGだ。
しかし、雪国でなくても冬場は「凍結」「結露」「夜露」など、塗装品質を脅かすリスクが多い。この記事では、降雪時・寒冷時の塗装リスクと、契約時に確認すべきポイントを解説する。
降雪時に塗装できない理由
塗膜の凍結・硬化不良
塗料は水分や溶剤が蒸発し、樹脂が化学反応を起こして硬化する。しかし、気温が低すぎると:
- 塗料自体が凍結する
- 化学反応が正常に進まない
- 塗膜の硬化が不完全になる
結果として、塗膜が脆くなり、早期の剥がれ・膨れ・ひび割れが発生する。
雪や霜が外壁に付着している状態
雪や霜が外壁に残っている状態で塗装すると:
- 塗料が外壁に密着しない
- 雪や霜が溶けた水分が塗膜内に閉じ込められる
- 乾燥後に塗膜が剥がれる
外壁が完全に乾燥していることが、塗装の絶対条件だ。
塗装不可の気象条件(絶対基準)
塗料メーカーが定める塗装禁止条件は以下の通り。
- 気温5℃以下:塗料が正常に硬化しない
- 湿度85%以上:乾燥不良、白化現象
- 雨天・降雪時:塗料が流れる、水分閉じ込め
- 外壁に霜・結露・夜露がある:密着不良
- 夕方以降:夜露で白化現象
これらは「守った方がいい」ではなく、「守らなければ品質を保証できない」絶対条件だ。
冬場特有のリスク
朝の霜・結露
冬場の朝は、外壁に霜や結露が発生していることが多い。
問題点:
- 見た目では乾いているように見えても、微細な水分が残っている
- 日陰部分は日中でも乾かないことがある
- 北面は一日中霜が残る場合も
「冬の凍てついた朝に、北側や日が当たらない裏側を塗るような業者はどうかと思う。それは施工していい条件から完全に外れている」——これは50年の経験から言えることだ。
夜露・霜の再発生
夕方以降は気温が下がり、塗った直後の塗膜に夜露や霜が付着するリスクがある。
起こりうる問題:
- 白化現象(ブラッシング):塗膜が白く曇る
- 塗膜の硬化不良
- 表面のざらつき
冬場は午後3時以降の塗装は避けるべき。塗膜が乾燥する前に夜露がつくと、品質に致命的な影響が出る。
日陰部分の乾燥遅延
冬場は太陽の角度が低く、日照時間も短い。
影響:
- 北面は一日中日が当たらないことも
- 日陰部分は乾燥が大幅に遅れる
- 建物の影になる部分も同様
日向と日陰で乾燥状況が大きく異なるため、場所ごとに施工タイミングを調整する必要がある。
信頼できる業者の対応
朝早く来ても、すぐに塗らない
信頼できる業者は、以下のような対応をする。
良い対応:
- 朝は準備作業(養生、道具の準備など)に時間を使う
- 気温が5℃以上になり、霜が完全に乾いてから塗装を開始
- 北面や日陰部分は、日が当たって乾燥してから施工
要注意な対応:
- 朝8時から塗装作業を開始(霜が残っている可能性)
- 北面を午前中早い時間に塗装
- 「凍ってないから大丈夫」と言う
夕方早めに作業を終了
冬場の作業時間は実質的に短くなる。
- 夏場:7:00〜18:00(約11時間)
- 冬場:9:00〜15:00(約6時間)
冬場は1日の作業時間が半分程度になることを理解している業者を選ぶべきだ。
工事中止の判断基準
中止すべき条件
以下の条件では、塗装作業を中止すべき。
- 降雪・降雨:即座に中止
- 気温5℃以下:中止または待機
- 外壁に霜・結露:乾燥するまで待機
- 湿度85%以上:中止
- 午後3時以降(冬場):その日の塗装は終了
- 翌日に降雪予報:塗装を控える
中止することは「良いこと」
工事が中止・延期になることを心配する施主さんは多い。しかし、不適切な条件で強行施工するよりも、中止して条件が整うのを待つ方が正しい判断だ。
「雨だけど工事を進めます」「多少寒いけど大丈夫」という業者より、「今日は条件が悪いので中止します」という業者の方が信頼できる。
降雪地域での塗装時期
推奨される時期
降雪が多い地域では、塗装に適した時期が限られる。
- 春(4〜5月):◎ 気温上昇、湿度安定
- 初夏(6月前半):○ 梅雨入り前なら良好
- 梅雨(6月中旬〜7月):✕ 雨・高湿度
- 夏(8〜9月):△ 高温による問題あり
- 秋(10〜11月):◎ 気温・湿度が安定
- 冬(12〜2月):✕〜△ 降雪・凍結リスク
降雪地域では、春(4〜5月)または秋(10〜11月)の施工を強く推奨する。
冬場でも施工できる条件
冬場でも、以下の条件を満たせば施工は可能。
- 降雪・降雨がない
- 日中の気温が5℃以上
- 朝の霜・結露が完全に乾燥する
- 午後3時までに塗装作業を終了できる
- 乾燥時間を十分に確保できる
ただし、工期が大幅に延びることを前提として計画する必要がある。
見積書でのチェックポイント
チェック1:冬場の工期が十分か
夏場と同じ工期で見積もりが出ていたら要注意。
確認すべき点:
- 30坪の住宅で14〜20日以上の工期
- 天候による延長の可能性について言及
- 1日の作業時間が短くなることを考慮
チェック2:天候不良時の対応が明記されているか
確認すべき点:
- 「気温5℃以下では施工中止」の明記
- 「降雪時は中止」の明記
- 天候による工期延長の取り扱い
- 追加費用の有無
チェック3:季節に応じた乾燥時間
確認すべき点:
- 冬場の乾燥時間が長く設定されているか
- 「1日1工程」の原則が守られているか
- 塗り重ね可能時間への言及
見積もり時に業者に聞くべき質問
質問1:「朝、霜が降りていたらどうしますか?」
- 良い反応:「霜が完全に乾くまで塗装は開始しません。準備作業を先にやります」
- 要注意な反応:「日向なら大丈夫です」「少しくらいなら問題ありません」
質問2:「北側の塗装はいつやりますか?」
- 良い反応:「日が当たって乾燥してから、昼以降に施工します」
- 要注意な反応:「順番通りやります」「朝から塗ります」
質問3:「降雪予報が出たらどうしますか?」
- 良い反応:「前日の段階で判断し、塗装作業は延期します」
- 要注意な反応:「降ってから考えます」「少しなら塗れます」
質問4:「冬場の作業時間は何時から何時までですか?」
- 良い反応:「気温が上がる9〜10時頃から、15時頃までです」
- 要注意な反応:「夏と同じ時間帯です」「朝8時から夕方5時までです」
質問5:「工期が天候で延びた場合、追加費用は発生しますか?」
- 良い反応:「天候による延長は追加費用なしで対応します」
- 要注意な反応:「延長した日数分の費用がかかります」
凍害による外壁の劣化
冬場特有の外壁トラブル
降雪地域では、塗装とは別に「凍害」による外壁劣化にも注意が必要。
凍害とは:
- 外壁内部に浸透した水分が凍結
- 凍結時に体積が膨張
- 外壁材を内部から破壊
特に、お風呂の換気扇周りのサイディングは凍害が発生しやすい。換気扇から出た湯気が低温で凍り、サイディングを劣化させる。
塗装前に確認すべき凍害サイン
- 外壁表面のひび割れ
- 塗膜の浮き・剥がれ
- 外壁材の欠け・崩れ
- 変色・シミ
凍害が発生している箇所は、塗装前に補修が必要。凍害を放置したまま塗装しても、すぐに剥がれてしまう。
まとめ
降雪時・寒冷時の塗装リスクと確認ポイントを整理する。
塗装不可の条件(絶対基準):
- 降雪・降雨時
- 気温5℃以下
- 外壁に霜・結露・夜露がある
- 湿度85%以上
- 夕方以降(冬場は午後3時以降)
冬場特有のリスク:
- 朝の霜・結露(日陰は一日中残ることも)
- 夜露による白化現象
- 日照時間の短さ(作業時間が限られる)
- 乾燥時間の長期化
信頼できる業者の対応:
- 霜が乾くまで塗装を開始しない
- 北面・日陰は日が当たってから施工
- 夕方早めに作業を終了
- 条件が悪ければ中止する判断力
✓見積書で確認すべきポイント
- 冬場の工期が十分か(14〜20日以上)
- 天候不良時の対応が明記されているか
- 季節に応じた乾燥時間が設定されているか
✓業者に聞くべき質問
- 「朝、霜が降りていたらどうしますか?」
- 「北側の塗装はいつやりますか?」
- 「降雪予報が出たらどうしますか?」
- 「冬場の作業時間は何時から何時までですか?」
見積書の内容が適正か不安な方へ
「冬に塗装を検討しているが、この時期で本当に大丈夫?」
「見積もりの工期が短すぎる気がする」
「天候不良時の対応が契約書に書いていない」
降雪時期の塗装は、天候条件の管理が品質を左右する。
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