この記事の監修者
ヨコイ塗装 代表 横井隆之
愛知県で50年続く塗装店の2代目。200件以上の施工実績を持ち、著書に『外壁塗装の不都合な真実』『塗装方程式』『外壁塗装 工程別チェックポイント21』(Kindle)がある。見積もり診断サービス「ペンキのミカタ」を運営し、全国の施主に中立的なアドバイスを提供している。
はじめに
「点検商法なんて、自分には関係ない」
そう思っていませんか?
この記事では、国民生活センター(PIO-NET)や住宅リフォーム・紛争処理支援センターの最新データをもとに、外壁塗装の「点検商法・訪問販売詐欺」がいかに身近な問題であるかを数字で示します。
さらに、なぜこれほど被害が減らないのか、その構造的な要因を塗装業界50年の視点から解説します。
数字が示す「他人事ではない」現実
国民生活センター(PIO-NET)のデータは、「まさか自分が」という認識の甘さを突きつけています。
| 年度 | 点検商法 相談件数 | 高齢者(65歳以上)相談総数 |
|---|---|---|
| 2022年 | 10,099件 | — |
| 2024年 | 9,820件 | 304,130件(前年比+26,500件) |
2024年度の点検商法に関する相談件数は9,820件。微減に見えますが、1日あたり約27件のペースで相談が寄せられている計算です。
さらに深刻なのは、65歳以上の消費生活相談が30万件を突破し、前年から2.6万件も増加している事実です。
住宅リフォーム・紛争処理支援センターへの相談でも、リフォーム関連が全体の約4割(11,920件)を占め、そのうち61.9%が「不具合」や「契約トラブル」という結果が出ています。
私は愛知県で50年続く塗装店の2代目として、数えきれないほどの「被害に遭った後」のお客様を見てきました。共通しているのは、皆さん「まさか自分が」と口にすることです。
被害者の7割以上が「70歳代・80歳代」
なぜ高齢者が狙われるのか。理由は明確です。
| 要因 | 詐欺業者にとっての「うまみ」 |
|---|---|
| 持ち家比率が高い | ターゲットが明確 |
| 築年数が経過した住宅 | 「劣化」を指摘しやすい |
| 在宅率が高い | 日中の訪問で接触できる |
| 相談相手が少ない | その場で判断させられる |
詐欺業者は、高齢者の「家を資産として残したい」「近隣に迷惑をかけたくない」という責任感を逆手に取ります。
「このままでは瓦が飛んで近所の車を傷つけますよ」
「家が傾く危険があります」
こうした恐怖訴求で冷静な判断力を奪い、その場で契約させる。被害金額は100万円〜500万円に及ぶケースも珍しくありません。
災害が「詐欺の引き金」になる
2024年の能登半島地震後、消費者庁に寄せられた関連相談は1ヶ月で354件。そのうち被災4県(石川・富山・新潟・福井)からの相談が66%を占めました。
これは偶然ではありません。詐欺業者は「災害発生地域」をターゲットエリアとして設定し、組織的に営業部隊を投入しています。
私が著書『外壁塗装の不都合な真実』でも警告した通り、台風シーズン(8〜10月)と春(3〜5月)は特に被害が集中します。
| 時期 | 詐欺業者の常套トーク |
|---|---|
| 台風接近前 | 「今のままだと屋根が飛ぶ」「近所に迷惑がかかる」 |
| 台風通過後 | 「近所で板金が飛んでいるのが見えた」「無料で点検する」 |
| 春(3〜5月) | 「新年度キャンペーン」「地区担当が変わった挨拶回り」 |
災害や季節の変わり目に「不安」を感じたときこそ、詐欺業者がつけ込む隙が生まれるのです。
なぜ詐欺は減らないのか?——3つの構造的要因
要因①:「500万円の壁」で誰でも開業できる
建設業法では、請負代金500万円未満の工事は建設業許可が不要です。
一般的な外壁塗装(100〜300万円)はこの範囲内に収まるため、塗装技術も建築知識もない個人が、開業届を出すだけで「リフォーム業者」になれてしまうのが現実です。
資本金がほとんどなくても営業を開始できる——これが粗悪な業者が乱立する最大の要因です。
要因②:多重下請け構造による「手抜きの必然」
訪問販売を行う営業会社(元請け)は、契約額の40〜50%を中抜きし、残りの低予算で下請けに丸投げします。
私が提唱する「塗装方程式」で考えてみましょう。
品質 = モチベーション × 技術 × 時間
低予算で仕事を請けた下請け業者は、利益を出すために「時間」を削るしかありません。
・塗料を規定以上に薄める
・3回塗りを1回で済ませる
・下地処理を省く
これが「高額な費用を払って手抜き工事をされる」という二重被害の正体です。
詳しくは関連記事「人工(にんく)とは?見積もりの裏側を暴く」で解説しています。
要因③:高齢化社会と「空き家予備軍」
核家族化が進み、高齢者が単身または夫婦のみで生活する世帯が増加。訪問販売業者が来ても、その場で相談できる家族がいません。
さらに、外観が手入れされていない家は「住人の管理能力が低下している」サインとして読み取られ、集中的な勧誘を受けることになります。
2024〜2025年の最新手口:デジタル化する詐欺
詐欺の手口は、従来の「強引なドアノック」型から進化しています。
| 手口 | 特徴 |
|---|---|
| ドローン点検詐欺 | 「空から撮るだけ」と警戒を解き、偽造画像で不安を煽る |
| SNS広告→LINE誘導 | 「助成金で0円」「火災保険で無料」で釣り、クローズドな環境で契約させる |
| 災害便乗「ブルーシート詐欺」 | 屋根に登り、わざと瓦を割って「被害が深刻」と嘘をつく |
| 火災保険悪用 | 経年劣化を風災と偽装させ、消費者を詐欺の共犯者にする |
特にドローン点検は、「最新技術」という権威付けと、消費者が自分で確認できない「情報の非対称性」を悪用した巧妙な手口です。
まとめ:被害に遭わないために知っておくべきこと
この記事のポイントを整理します。
・点検商法の相談は年間約1万件、1日27件ペースで発生
・被害者の7割以上が70歳代・80歳代
・災害後・春・台風シーズンに被害が集中
・「500万円の壁」「多重下請け」「高齢化」が詐欺を再生産する構造
・手口はデジタル化し、ドローン・SNS・LINEを駆使
「半額にします」「モニター価格で」——こうした甘い言葉がなぜ数学的に不可能なのか、次の記事では塗装方程式と人工理論で詐欺の経済構造を暴きます。
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この記事の解説動画
【2025年最新】外壁塗装の点検商法・訪問販売詐欺
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