雨樋塗装という「特殊解」
- 外壁や屋根とは根本的に異なる検討が必要
塗装の効果が限定的であり、場合によっては「塗らない」または「交換」が最適解
- 「せっかく足場を組むから一緒に塗っておきましょう」という業者の提案を鵜呑みにしない
雨樋の機能と構造
3つの重要な機能
- 雨水の収集:屋根に降った雨水を軒樋で受け止める
- 雨水の誘導:集水器から竪樋(たてどい)を通じて地面へ導く
- 建物の保護:外壁への雨水の跳ね返りや、基礎周りの浸食を防ぐ
構成部材
- 軒樋(のきどい):屋根の軒先に沿って水平に設置
- 集水器(しゅうすいき):軒樋と竪樋の接続部。漏斗状
- 竪樋(たてどい):垂直に設置され、雨水を地面へ導く
- エルボ:方向を変える曲がり部品
- 樋受け金具:樋を支える金具。鼻隠しや外壁に固定
雨樋塗装の「限界」を知る
塗装で得られる効果
- 美観の統一:外壁の色に合わせて塗装し、建物全体の調和を図る
- 紫外線劣化の遅延:塩ビ製雨樋の硬化・脆化を若干遅らせる
- 軽微な傷の保護:表面の細かい傷からの劣化進行を抑制
塗装では解決できない問題
- 割れ・欠損:塗装は穴を塞げない
- 歪み・たわみ:変形した樋は塗装しても水勾配が狂ったまま
- 詰まり:落ち葉やゴミの詰まりは塗装と無関係
- 接合部の漏水:継ぎ手の劣化は塗装では補修できない
- 樋受け金具の腐食:金具が錆びて樋を支えられなくなる問題
塗装の剥離リスク
雨樋(特に塩ビ製)は塗装が最も剥がれやすい部材の一つ
- 紫外線・温度変化・雨水の流れに常時晒される
- 可塑剤のブリードアウトで塗膜が浮く
- 「塗ったのに数年で剥がれた」というクレームが最も多い部位
「塗る」か「塗らない」か「交換」か
| 雨樋の状態 | 推奨対応 |
|---|---|
| 色あせのみ、機能は正常 | 塗装(美観目的)または見送り |
| 軽微なチョーキング | 塗装可能(要・入念なケレン) |
| 硬化して弾力がない | 交換推奨(塗装しても割れる) |
| 割れ・欠損がある | 交換必須(塗装では塞げない) |
| 歪み・水勾配の狂い | 交換または調整(塗装無意味) |
| 樋受け金具の腐食 | 金具交換+塗装または樋全交換 |
見積書チェックポイント
「雨樋塗装」の内訳確認
- 「雨樋塗装一式 ○○円」ではなく、以下が明記されているか:
- 塗装対象(軒樋・竪樋・集水器など部位別)
- 施工延長(m数)
- 使用塗料名(塩ビ用プライマー等)
- 塗り回数
交換との比較検討
- 塩ビ製雨樋の交換費用は意外と安い(材料費が安価)
- 足場費用は外壁塗装と共通で按分
- 15年以上経過した雨樋は「塗装より交換」の方がコスパが良い場合も
見積もり時に「塗装と交換、どちらが良いか」を必ず質問
工程写真の要求
- ケレン(研磨・清掃)完了後
- プライマー塗布後
- 上塗り完了後
- 特に「樋の内側」は塗装しないのが一般的だが、確認しておく
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