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付帯部下地処理

雨樋塗装の下地処理|「塗らない」という選択肢と素材別の劣化メカニズム

雨樋塗装は「やるべきか、やらないべきか」から検討すべき特殊な部位。塩ビ・金属・銅の素材別劣化メカニズム、塗装の限界と交換判断基準、プロが見る「雨樋の健全性」チェックポイントまで、50年の現場経験から解説。

雨樋塗装という「特殊解」

  • 外壁や屋根とは根本的に異なる検討が必要

塗装の効果が限定的であり、場合によっては「塗らない」または「交換」が最適解

  • 「せっかく足場を組むから一緒に塗っておきましょう」という業者の提案を鵜呑みにしない

雨樋の機能と構造

3つの重要な機能

  1. 雨水の収集:屋根に降った雨水を軒樋で受け止める
  2. 雨水の誘導:集水器から竪樋(たてどい)を通じて地面へ導く
  3. 建物の保護:外壁への雨水の跳ね返りや、基礎周りの浸食を防ぐ

構成部材

  • 軒樋(のきどい):屋根の軒先に沿って水平に設置
  • 集水器(しゅうすいき):軒樋と竪樋の接続部。漏斗状
  • 竪樋(たてどい):垂直に設置され、雨水を地面へ導く
  • エルボ:方向を変える曲がり部品
  • 樋受け金具:樋を支える金具。鼻隠しや外壁に固定

雨樋塗装の「限界」を知る

塗装で得られる効果

  • 美観の統一:外壁の色に合わせて塗装し、建物全体の調和を図る
  • 紫外線劣化の遅延:塩ビ製雨樋の硬化・脆化を若干遅らせる
  • 軽微な傷の保護:表面の細かい傷からの劣化進行を抑制

塗装では解決できない問題

  • 割れ・欠損:塗装は穴を塞げない
  • 歪み・たわみ:変形した樋は塗装しても水勾配が狂ったまま
  • 詰まり:落ち葉やゴミの詰まりは塗装と無関係
  • 接合部の漏水:継ぎ手の劣化は塗装では補修できない
  • 樋受け金具の腐食:金具が錆びて樋を支えられなくなる問題

塗装の剥離リスク

雨樋(特に塩ビ製)は塗装が最も剥がれやすい部材の一つ

  • 紫外線・温度変化・雨水の流れに常時晒される
  • 可塑剤のブリードアウトで塗膜が浮く
  • 「塗ったのに数年で剥がれた」というクレームが最も多い部位

「塗る」か「塗らない」か「交換」か

雨樋の状態推奨対応
色あせのみ、機能は正常塗装(美観目的)または見送り
軽微なチョーキング塗装可能(要・入念なケレン)
硬化して弾力がない交換推奨(塗装しても割れる)
割れ・欠損がある交換必須(塗装では塞げない)
歪み・水勾配の狂い交換または調整(塗装無意味)
樋受け金具の腐食金具交換+塗装または樋全交換

見積書チェックポイント

「雨樋塗装」の内訳確認

  • 「雨樋塗装一式 ○○円」ではなく、以下が明記されているか:
    • 塗装対象(軒樋・竪樋・集水器など部位別)
    • 施工延長(m数)
    • 使用塗料名(塩ビ用プライマー等)
    • 塗り回数

交換との比較検討

  • 塩ビ製雨樋の交換費用は意外と安い(材料費が安価)
  • 足場費用は外壁塗装と共通で按分
  • 15年以上経過した雨樋は「塗装より交換」の方がコスパが良い場合も

見積もり時に「塗装と交換、どちらが良いか」を必ず質問

工程写真の要求

  • ケレン(研磨・清掃)完了後
  • プライマー塗布後
  • 上塗り完了後
  • 特に「樋の内側」は塗装しないのが一般的だが、確認しておく

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構造別の注意点

あなたの建物の構造に合わせた下地処理のポイントをご確認ください

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塩ビ製(塩化ビニル樹脂)雨樋の下地処理・注意点

素材特性

  • 現在の住宅で最も普及(90%以上)
  • 軽量・安価・施工が容易
  • 可塑剤を含有し、弾力性を持つ

劣化メカニズム

  1. 可塑剤の揮発(ブリードアウト)
    • 紫外線と熱で可塑剤が表面に滲み出し、揮発
    • 樹脂が硬化し、弾力を失う
    • 表面がベタベタする→その後カサカサに
  2. チョーキング(白亜化)
    • 表面が粉を吹いた状態
    • 手で触ると白い粉が付く
  3. 硬化と脆化(ぜいか)
    • 可塑剤が抜けた塩ビは「硬いが脆い」
    • 衝撃で割れる、曲げると折れる

この段階では塗装してもすぐ下地ごと割れる

塗装可否の判断

状態塗装可否理由
色あせ・軽微なチョーキング適切な下地処理で密着可能
表面のベタつき可塑剤ブリード中。溶剤で除去後に要検討
硬化して弾力なし×塗装しても下地が割れる。交換推奨
割れ・欠損×塗装では塞げない。交換必須

下地処理(ケレン)の重要性

塩ビ塗装の成否は「ケレン」で9割決まる

  • 目荒らし(足付け):
    • 塩ビ表面はツルツルしており、そのまま塗っても密着しない
    • スコッチブライト(ナイロン不織布)やサンドペーパー(#240〜#400)で全面を研磨
    • 表面に微細な傷をつけ、塗料の食いつきを確保(アンカー効果)
  • 脱脂・清掃:
    • 可塑剤のブリードアウトや油分をシンナーやアルコールで拭き取る
    • 汚れや粉化物を完全に除去

塗料選定

  • 塩ビ専用プライマー(下塗り)が必須
    • 一般的な金属用プライマーでは密着不良
    • 塩ビ素材に化学的に結合するよう設計された専用品
    • 「非鉄金属・硬質塩ビ用」と表記されたものを選定
  • 上塗り塗料
    • 弱溶剤系ウレタンまたはシリコン樹脂塗料
    • 強溶剤(ラッカーシンナー等)は塩ビを侵すため使用禁止
    • 水性塗料は密着性に劣る場合がある

見積書確認ポイント

  • ケレン(目荒らし・脱脂)の記載
  • 塩ビ専用プライマーの使用
  • 塗り回数(下塗り+上塗り2回=計3回が標準)

写真確認ポイント

  • ケレン後の表面状態
  • プライマー塗布後の状態

タブをタップして構造別の情報を切り替えられます

よくある質問

下地処理に関するよくある質問にお答えします

A

いいえ、必ずしも必要ではありません。雨樋(特に塩ビ製)は塗装が剥がれやすい部材であり、機能が正常なら「塗らない」選択も合理的です。15年以上経過して硬化・脆化している場合は、塗装より交換の方がコスパが良いことも多いです。

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