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付帯部下地処理

破風・鼻隠し塗装の下地処理|素材別の劣化メカニズムと「付帯部一式」の罠

破風・鼻隠しは建物の「瞼」にあたる繊細かつ重要な部材。木製・窯業系・金属製・モルタル製の素材別劣化メカニズム、ケレンの重要性、「付帯部一式」見積もりの罠、塗装方程式による業者の誠実さの見極め方まで、50年の現場経験から解説。

破風・鼻隠しは建物の「瞼(まぶた)」である

  • 屋根の妻側(三角形の側面)に取り付けられる「破風板」
  • 軒先の雨樋の裏側に位置する「鼻隠し」
  • 暴風雨が屋根裏へ侵入するのを防ぐ防波堤
  • 火災時には火が屋根裏へ回るのを遅らせる防火壁の役割

「付帯部」という軽い名称の危険性

  • 見積もり上では「付帯部」と一括りにされ、最も粗雑に扱われる
  • 施主の関心は面積の広い外壁や屋根に向きがち

建物の寿命を縮める決定的なダメージは、往々にして破風や鼻隠しの接合部から始まる

  • 地上からは見えにくく、足場を組んで初めて惨状が明らかになる
  • 手抜き工事の温床となりやすい「不可視の領域」

塗装方程式と「時間(T)」の重要性

品質 = モチベーション × 技術 × 時間

  • 一つでもゼロに近づけば最終的な品質はゼロになる乗算の関係
  • 業者が提示金額を下げるために操作できるのは「時間」しかない

相場より著しく安い見積もり=「時間の短縮」=手抜き工事

破風・鼻隠しで横行しやすい手抜き

  1. ケレンの省略:数時間かけるべき研磨を数分で終わらせる
  2. 乾燥時間の短縮:1日置くべき工程を半日で塗り重ねる
  3. 塗り回数の虚偽:3回塗りの契約で2回(または1回)で仕上げる
  • 施工直後の見た目では判別不能(塗装の艶は出る)
  • 数年以内に剥離という形で結果を露呈

付帯部への「人工(にんく)」のかけ方が業者の誠実さを示す

  • 専門家が最初に見るのは「人工」=その作業に何人の職人を何日投入する計画か
  • 破風・鼻隠しは形状が複雑で狭小→面積あたりの作業時間は大壁面より遥かに多い
  • 100メートルの破風板を丁寧に3回塗り+ケレン→熟練工でも数日分の人工が必要

「一式 30,000円」は、付帯部の重要性を理解していないか、手を抜くつもり

  • メインディッシュ(外壁)ではなく、付け合わせ(破風・鼻隠し)へのこだわりに誠実さが表れる

見積書チェックポイント

「一式」見積もりの拒否

  • 「一式 ○○円」はブラックボックス
  • 施工長さ、使用塗料、塗り回数が保証されない

適正な記載例

破風板(木製)塗装工事:

  • ケレン(3種)
  • 下塗り(〇〇プライマー)
  • 上塗り2回(〇〇シリコン)計3回塗り
  • 施工延長 45m
  • 単価 1,200円

長さ(m数)、使用塗料名、塗り回数が明記されているか必ず確認

工程写真の提出義務化

  • 契約条項に「各工程の写真を提出すること」を盛り込む
  • ケレン完了後、下塗り完了後、中塗り完了後、上塗り完了後

特に地上から見えない破風の上端や、雨樋の裏側の写真は必須

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構造別の注意点

あなたの建物の構造に合わせた下地処理のポイントをご確認ください

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mokusei

木製破風・鼻隠しの下地処理・注意点

素材特性

  • かつての日本住宅の主流
  • 最も美しく、しかし最もメンテナンスが困難

木材は伐採後も呼吸を続け、湿度変化に応じて膨張・収縮を繰り返す「動く下地」

劣化パターン:剥離と腐朽のメカニズム

  1. 水分の吸排:塗装されていない裏面や微細なひび割れから水分を吸収
  2. 蒸気圧の発生:日射で表面温度上昇→内部水分が気化し体積が爆発的に膨張
  3. 塗膜の風船化(ブリスター):通気性のない塗料だと水蒸気圧が塗膜を裏側から押し上げ「膨れ」→「剥がれ」
  4. 腐り:剥がれた部分から雨水侵入→木材腐朽菌が繁殖→木材がスポンジ状に

洗浄・下地処理(ケレン)

ケレンは「清掃」ではなく「外科手術」

  • 高圧洗浄は逆効果:劣化した木肌を傷め、大量の水分を吸わせる
  • 空研ぎ(からとぎ)が基本:水を使わない研磨
  • マジックロン:不織布研磨材で古い塗膜や汚れを掻き落とす
  • サンドペーパー(#80〜#120):灰色の死んだ層が消えて新しい木肌が見えるまで研磨
  • 旧塗膜の全剥離:厚ぼったくなった塗膜が剥がれている場合、皮スキやヒートガンで木地まで全て剥がす(多大な人工を要するため手抜きされやすい)

塗料選定

塗料タイプ特徴破風への適性
浸透タイプ(ステイン等)木材内部に浸透、表面に膜を作らない。木目が活きる。剥がれが起きない◎ 新築・状態が良い場合
造膜タイプ(ペンキ等)表面に強固な塗膜形成。耐久性高い。汚れや色ムラを隠せる◎ 劣化が進んでいる場合(ただし「透湿性」必須)

専門家の推奨:劣化が始まっている破風板には「造膜タイプ」かつ「透湿性(呼吸する)塗料」

  • 鉄部用やコンクリート用の塗料を木部に塗ると呼吸を止め、1〜2年で確実に剥離
  • 必ず「木部用」として設計された水蒸気透過性の高い塗料を指定
  • 下塗り・中塗り・上塗りの3工程、特に下塗り(木部用プライマー)は吸い込み止まるまでたっぷり塗布

交換基準

  • 著しい腐食:ドライバーを刺して簡単に突き抜ける
  • 欠損:風化により部材の体積が2割以上減少
  • 保持力喪失:釘やビスが効かず、脱落寸前
  • 板金巻き(ガルバリウム鋼板によるカバー工法):交換よりコストを抑え耐久性向上

見積書確認ポイント

  • ケレン(空研ぎ)の記載
  • 透湿性塗料の使用
  • 3回塗りの記載

写真確認ポイント

  • ケレン後の木肌状態(灰色の死んだ層が除去されているか)
  • 下塗り塗布後の状態

タブをタップして構造別の情報を切り替えられます

よくある質問

下地処理に関するよくある質問にお答えします

A

破風・鼻隠しは暴風雨が屋根裏へ侵入するのを防ぐ防波堤であり、火災時の延焼防止壁でもあります。最も過酷な環境に晒される部材であり、ここからの劣化が建物全体の寿命を縮める決定的なダメージにつながります。

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