ホーム/手抜き工事対策/外壁塗装の「モニター価格」は詐欺の入り口|二重価格と手抜き工事の実態を暴露

外壁塗装の「モニター価格」は詐欺の入り口|二重価格と手抜き工事の実態を暴露

「モニター価格で半額」「足場代無料」は詐欺の常套句。二重価格のカラクリ、手抜き工事の実態、人工から見る適正価格を塗装歴50年の職人が徹底解説。

「この地域のモデルハウスを探しています。宣伝に協力いただければ、特別価格でご提供できます」

「近くで工事をしているので、足場をそのまま移動すれば足場代が無料になります」

こんな言葉を聞いたことはありませんか?

これらは全て、詐欺の入り口です。

塗装歴50年、500件以上の現場を見てきた私が断言します。「モニター価格」も「足場代無料」も、経済的に成立しない嘘です。

この記事では、モニター価格商法の心理的トリック、二重価格のカラクリ、そして安さの裏で行われる手抜き工事の実態を徹底解説します。

「モニター価格」という心理操作

なぜ「選ばれた」と思わせるのか

訪問販売員が最初に使う手口は、あなたの自尊心をくすぐることです。

「この地域で当社の実績となるモデルハウスを探しています」

「あなたの家は立地が良く、宣伝効果が高いため選ばれました」

このアプローチには、明確な意図があります。

消費者の心理業者の狙い
「自分は特別な存在だ」という優越感警戒心を「協力心」にすり替える
「宣伝費としての割引」という合理的な理由価格の妥当性を検証させない
「今だけのチャンス」という希少性冷静に考える時間を奪う

実態は、その地域を無差別にローラー作戦で回っているだけです。

「足場代無料」の嘘

「近くで工事をしているので、足場をそのまま移動すれば運搬費がかかりません」

これも典型的な虚偽説明です。

建設業の常識として、足場費用の大半は「人件費」と「損料(リース代)」で構成されています。

費用項目割合内容
組立・解体の人件費約60%職人が重量物を運び、組み立て、解体する労働
部材の損料約30%リース代または償却費
運搬費約10%トラックでの輸送費

現場が隣であろうと数キロ先であろうと、解体と組立の手間は変わりません

運搬費だけで足場代の10%程度。これを「無料」にしても、15万〜20万円の足場代が無料になる根拠にはなりません。

→ 詳しくは「訪問販売の撃退法と断り方」をご覧ください。

「点検商法」とのハイブリッド

モニター価格の提案とセットで行われるのが、無料点検を装った不安の醸成です。

点検商法の3ステップ

段階業者のトーク実際の狙い
初期接触「屋根の板金が浮いているのが見えました」視認できない高所の不具合を指摘し、信頼と不安を植え付ける
点検実施「無料で梯子をかけて見てあげます」屋根上に登る口実を作る。故意に屋根材を割る事例も
報告・煽り「今すぐ直さないと雨漏りします」切迫感を演出し、冷静な判断を奪う

2024年には、リフォーム会社社長らが「屋根の補修が必要」と嘘をつき、点検と称して顧客の屋根をわざと壊して撮影し、工事代金を騙し取ろうとした詐欺未遂および器物損壊容疑で警視庁に逮捕される事件も発生しています。

→ 詳しくは「点検商法2025年最新手口と撃退法」をご覧ください。

二重価格のカラクリ:「200万→100万」の嘘

アンカリング効果の悪用

「通常価格200万円のところ、モニター価格で100万円!」

この提示には、二重の嘘が含まれています。

第一の嘘:吊り上げられた定価

「200万円」という定価自体が、市場相場を無視して不当に設定された数字です。これは行動経済学で「アンカリング効果」と呼ばれる心理操作。最初に高い数字を見せることで、その後の価格が「安く」感じるようになります。

第二の嘘:「半額」は相場並み

「半額」として提示される100万〜150万円は、実は正規の優良業者が行う施工価格と同等か、割高です。

30坪住宅の適正価格

工事項目適正相場備考
足場仮設費15万〜20万円飛散防止ネット含む
高圧洗浄2万〜5万円旧塗膜や苔を除去
下地補修・養生5万〜10万円シーリング、ひび割れ補修
外壁塗装費40万〜70万円塗料グレードにより変動
付帯部塗装10万〜20万円軒天、雨樋、破風板
諸経費5万〜15万円管理費、廃材処理
合計80万〜140万円屋根塗装含まず

つまり、「200万→100万」の値引きは、最初から100万円が適正価格だっただけ。

あなたは「得をした」と錯覚させられていますが、実際には相場並み(またはそれ以上)の価格で契約させられているに過ぎません。

「人工」で見る:なぜ安いと手抜きになるのか

塗装方程式

私が提唱する「塗装方程式」を思い出してください。

品質 = モチベーション × 技術 × 時間

モニター商法の最大の問題は、契約金額の中で「高額な営業歩合」が支払われていること。

訪問販売の営業マンには、契約金額の20〜40%が歩合として支払われます。

項目金額割合
契約金額100万円100%
営業歩合30万円30%
会社の利益・経費20万円20%
実際の工事予算50万円50%

80万〜140万円が適正な工事を、50万円でやれと言われたら、職人は何を削るでしょうか?

削られるのは「人工」

答えは明白です。人工(にんく)=職人の労働時間を削るしかありません。

30坪の戸建て住宅の外壁・屋根塗装には、標準で10〜14日、丁寧な施工なら20日前後の工期が必要です。

しかし、予算が半分になれば、工期も半分にせざるを得ません。

適正工期モニター商法削られる工程
14日7日下地処理、乾燥時間
20日10日全工程で手抜き

→ 詳しくは「手抜き工事対策の完全ガイド」をご覧ください。

手抜き工事の具体的手法

【手口①】塗料の過剰希釈(シャブシャブ塗装)

塗料メーカーは、製品ごとに厳密な「希釈率」と「塗布量」を定めています。

悪質業者は材料費を浮かせるために、規定以上に塗料を薄めます

動機手法結果
材料費削減塗料を2倍に薄める2缶分を1缶で塗る
作業効率化粘度が低くなり塗りやすい短時間で広範囲を塗れる
被害塗膜が極端に薄くなる2〜3年で色褪せ・剥離

本来10年持つはずの塗装が、わずか2〜3年でチョーキング(白い粉)や剥離を起こします。

【手口②】乾燥時間の短縮

塗装工事の基本は「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回塗り。

各工程の間には、メーカー指定の乾燥時間(インターバル)が必要です。

例えば気温23度で4時間以上の乾燥が必要な場合、1日に全工程を行うことは物理的に不可能です。

「1日で全部塗りました」は、手抜き工事の自白です。

乾燥不足が招く症状:

  • 膨れ・剥がれ:内部の水分や溶剤が逃げ場を失い、塗膜を押し上げる
  • ピンホール:塗膜表面に微細な穴が開き、雨水が侵入して建材を腐食させる

【手口③】下地処理の省略

塗装の寿命を決定づけるのは、仕上げの塗料ではなく塗装前の「下地処理」です。

工程省略した場合の結果
高圧洗浄汚れやコケの上に塗装、密着不良で剥離
ケレン作業内部でサビが進行、塗膜を突き破る
ひび割れ補修そこから再び割れが広がる

モニター商法の業者にとって重要なのは「引き渡し時の見た目」だけ。5年後の状態に対する責任感は皆無です。

「オリジナル塗料」という比較封じ

なぜ大手メーカー品を使わないのか

多くの悪質業者は「自社開発のオリジナル塗料」や「OEM塗料」を提案します。

日本ペイント、エスケー化研、関西ペイントといった大手メーカーの汎用塗料であれば、消費者はインターネットで設計単価や期待耐用年数を調べられます。

しかし、「当社独自のセラミック配合塗料」「航空宇宙産業でも使われている断熱塗料」といったオリジナル塗料は、市場に比較対象が存在しません

これにより、相見積もりを無力化し、価格の妥当性を検証させないのです。

実態は、汎用塗料のラベルを貼り替えただけであったり、科学的根拠に乏しい過大広告商品であったりするケースが大半です。

→ 詳しくは「見積書の読み方|一式表記の危険性」をご覧ください。

「火災保険で0円」という追い打ち

モニター商法で契約が取れない場合、追加のフックとして使われるのが「火災保険を使えば自己負担0円」という勧誘です。

これは保険会社に対する詐欺行為であり、発覚した場合、業者だけでなく申請者である家主も詐欺の共犯として法的責任を問われます

→ 詳しくは「火災保険詐欺の手口と対策」をご覧ください。

クーリングオフで契約を解除する

8日以内なら無条件で解除可能

訪問販売による外壁塗装契約は、契約書面を受け取った日から8日以内であれば、無条件でクーリングオフが可能です。

条件内容
期間契約書面を受け取った日を含めて8日間
費用違約金・損害賠償は一切不要
方法書面(ハガキ、封書)または電子メール

工事が始まっていても大丈夫

特筆すべきは、すでに工事が始まっていたり、完了していたりしてもクーリングオフが可能である点です。

この場合、業者は自らの費用負担で原状回復する義務を負います。

「もう材料を手配した」「足場を組んでしまった」と脅されても、法的に拒否する正当な理由にはなりません。

→ 詳しくは「クーリングオフ完全ガイド2025」をご覧ください。

優良業者と悪質業者の見分け方

チェック項目悪質業者(モニター商法)優良業者
見積書の詳細「外壁塗装工事 一式」と大雑把塗料名、缶数、面積、単価が明記
価格提案「200万→100万」の大幅値引き適正価格、根拠のない値引きなし
現場調査10〜15分、屋根に登りたがる30分〜1時間、実測と写真報告
契約の急かし「今日なら」「明日まで」「ご家族と相談を」「他社とも比較を」
会社の実体マンションの一室、遠方地元に店舗・看板がある
保証口約束、自社保証のみ瑕疵保険加入、メーカー保証書

人工(にんく)理論の視点

「モニター価格で半額」の原資はどこにあるのか、人工理論で計算します。100万円の工事を50万円にするということは、原価70万円(うち人件費50万円)から20万円を削る必要があります。材料費は最低限必要なので、削られるのは人件費。50万円→30万円、つまり25人工→15人工。10人工も削れば、まともな塗装工事は物理的に不可能です。「モニター価格」は数学的に成立しない——これが50年の現場経験から断言できる事実です。

人工理論の詳しい解説は「人工(にんく)理論 完全講義」をご覧ください。

まとめ:「安くて良い工事」は幻想

「モニター価格」「足場代無料」という甘い言葉は、例外なく消費者を陥れるための罠です。

覚えておいてください。

  • 「モニター価格」は無差別営業の口実
  • 「足場代無料」は経済的に成立しない嘘
  • 「200万→100万」は最初から100万が適正
  • 営業歩合を抜かれた予算では手抜きしかできない
  • 「オリジナル塗料」は比較を封じるための手口

適正な品質には、必ず適正な対価が必要です。

---

見積もりに不安がある方へ

「訪問販売で見積もりをもらったけど、本当に適正価格なのかわからない」

「モニター価格と言われたが、信じていいのか判断できない」

そんな方のために、塗装歴50年の職人が見積書を診断するセカンドオピニオンサービスを提供しています。

紹介料を一切いただかない完全中立の立場で、その見積もりが適正かどうかを第三者の目でチェックします。

見積書診断サービスの詳細はこちら

---

関連記事

詐欺・悪徳業者対策完全ガイドに戻る

関連記事

この記事の解説動画

【完全解説】外壁塗装の「モニター価格」は詐欺の入口

- 人工(にんく)理論 完全講義|原価から適正品質を見極める →

工事中の「これ大丈夫?」、AIに聞けます

21工程の知識を持つAIが、あなたの現場の不安に答えます。職人に直接聞きにくいことも、AIなら気軽に相談できます。エントリープランは500円から。

見積書を受け取ったら → 見積書チェック完全ガイドで20項目を確認

AI現場監督を見る

見積書、このままで大丈夫?

50年の現場経験を持つ診断アドバイザーが、あなたの見積書をチェックします。 適正価格か、工程に問題はないか、第三者の目で確認してみませんか?

無料で相談する

※ 営業目的の連絡は一切いたしません

手抜き工事対策の完全ガイド

外壁塗装の手抜き工事を見抜く方法

ガイドを見る →

その見積書、手抜きリスクはありませんか?

50年の塗装経験を持つ現役職人が、見積書から「手抜きリスク」を診断します