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外壁塗装の相見積もり、2社で迷ったらここを比較|「安い方」を選ぶと失敗する理由

外壁塗装の相見積もりで2〜3社の見積書を並べても「どっちがいいか分からない」方へ。金額ではなく「人工数」「㎡単価」「塗料グレード」の3軸で比較する方法を、50年の現場経験をもとに解説。断り方のセリフ例も。

外壁塗装の相見積もりで迷ったら、金額ではなく「延べ人工数」「㎡単価」「塗料グレード」の3つを揃えて比較してください。この3軸が揃えば、どちらの業者がより適正な工事をしてくれるかが見えてきます。

「安い方がお得」と思って選んだ結果、5年で塗膜が剥がれた——こういう相談は50年の現場経験の中で何度も見てきました。問題は「安い業者を選んだこと」ではなく、「金額だけで比較したこと」にあります。

外壁塗装 適正価格の見分け方

この記事はCVピラー「見積書チェック完全ガイド(20項目)」の比較・判断パートを深掘りした記事です。


なぜ「金額だけの比較」は失敗するのか

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2社の見積もりを並べたとき、多くの施主さんはこうなります。

A社:95万円
B社:120万円
→ 「25万円も違う。A社のほうがお得だ」

しかし、この判断には致命的な欠陥があります。25万円の差が「何の差」なのか分からないのです。

可能性1:A社は人工数を削って安くしている(品質の差)

可能性2:B社は中間マージンが乗っている(利益構造の差)

可能性3:B社のほうが高グレードの塗料を使っている(仕様の差)

可能性4:A社はコーキングを増し打ちにしている(工法の差)

金額だけでは、この4つのどれなのか判別できません。だから「3軸比較」が必要なのです。


比較の3軸:人工数・㎡単価・塗料グレード

軸1:延べ人工数で比較する

これが最も重要な軸です。

見積書に「工期」と「職人数」が書いてあれば、延べ人工数を計算できます。

A社B社
工期10日間14日間
職人数2人2人
**延べ人工****20人工****28人工**
見積額95万円120万円

A社は最低基準(20〜25人工)のぎりぎり下限。B社は余裕をもった人工配分。

25万円の差は「8人工分の作業時間の差」だと分かります。8人工=職人1人が8日間余分に作業するということ。この8日間で何ができるかというと:

  • 下地処理を丁寧に行う
  • 乾燥時間をしっかり確保する
  • 付帯部を一つずつ丁寧に塗る
  • 養生を隅々まで施す

つまり、25万円は「手間の差」であり、「品質の差」に直結します。

品質=モチベーション×技術×時間。A社とB社の技術が同等なら、時間(人工数)が多いほうが品質は高い。

軸2:㎡単価で比較する

見積書が項目別に分かれていれば、同じ工程の㎡単価を並べて比較できます。

工程A社B社判断
足場 ㎡単価750円900円B社が標準的。A社はやや安い
高圧洗浄 ㎡単価200円300円A社が最低ライン
下塗り ㎡単価600円800円A社は相場下限。下塗り材のグレードが低い可能性
中塗り+上塗り ㎡単価2,200円2,800円塗料グレードの差を確認
コーキング m単価700円1,100円A社が相場以下。増し打ちの可能性

こうして並べると、A社の安さは「各工程の単価を少しずつ低く抑えた結果」だと分かります。1項目あたりの差は数百円でも、全体で積み上がると25万円の差になる。

特に注意すべきはコーキングの単価差。A社の700円/mは打ち替え(既存撤去→新規充填)の相場を下回っています。増し打ち(既存の上に重ねるだけ)で済ませている可能性があり、もしそうなら数年でコーキングが再劣化します。

軸3:塗料グレードで比較する

見積額が同じでも、使っている塗料が違えば比較にならない。

A社B社
塗料SK化研 プレミアムシリコン日本ペイント パーフェクトトップ
グレードシリコン系ラジカル制御型
耐用年数10〜15年12〜16年
見積額95万円100万円

5万円の差で耐用年数が2〜3年伸びるなら、ライフサイクルコスト(生涯費用)ではB社のほうが安いことになります。

外壁塗装は10〜15年ごとに繰り返すメンテナンスです。1回の金額ではなく「次の塗り替えまでの年数÷費用」で考えるのが正解です。


3軸比較シート:実際に使えるテンプレート

以下の表を使って、手元の見積書を比較してみてください。

【相見積もり3軸比較シート】

A社 B社 C社
─────────────────────────────────────────────────
■ 基本情報
見積総額(税込) ___万円 ___万円 ___万円
塗料メーカー・品番 ________ ________ ________
塗料グレード ________ ________ ________
耐用年数(カタログ値) ___年 ___年 ___年

■ 人工数(=品質の指標)
工期(日数) ___日 ___日 ___日
職人数 ___人 ___人 ___人
延べ人工数 ___人工 ___人工 ___人工
→ 最低基準20人工を満たすか □はい □いいえ □はい □いいえ □はい □いいえ

■ ㎡単価(=価格の透明性)
足場 ㎡単価 ___円 ___円 ___円
下塗り ㎡単価 ___円 ___円 ___円
中塗り+上塗り ㎡単価 ___円 ___円 ___円
コーキング m単価 ___円 ___円 ___円
→ 相場レンジ内か □はい □いいえ □はい □いいえ □はい □いいえ

■ ライフサイクルコスト
見積額 ÷ 耐用年数 = ___万円/年 ___万円/年 ___万円/年
→ 年間コストが最も低いのは ___社

このシートの「延べ人工数」と「年間コスト」の2つが最重要。この2つでA社とB社に明確な差がある場合、金額が高くても人工数が多く年間コストが低いほうを選ぶべきです。


「一式」同士の見積もりは比較できない

ここで重要な注意点があります。見積書が両方とも「一式」表記だった場合、3軸比較はできません。

A社:外壁塗装一式 95万円
B社:外壁塗装一式 120万円

これでは㎡単価も、塗料グレードも、コーキングの工法も分からない。比較しようがありません。

一式の見積書を受け取ったら、まず業者に内訳の提出を依頼してください。内訳が出せない業者は、比較対象から外すことも検討すべきです。

→ 一式表記の問題点について詳しくは:「一式」表記に潜む3つのリスク →


相見積もりでやってはいけない3つのこと

NG①:「A社は○万円だった」と他社の金額を伝えて値引き交渉する

これは最もやりがちな失敗です。

業者が金額を下げるには、以下の3つしか方法がありません。

  1. 利益を削る → 施工後のアフターフォローが手薄になる
  2. 人工数を減らす → 品質が下がる
  3. 材料グレードを落とす → 耐久性が下がる

金額を叩いて安くしてもらった結果、品質が下がるなら本末転倒です。価格で交渉するのではなく、「同じ条件(塗料・工法・人工数)で見積もりを揃えてほしい」と依頼するのが正解です。

NG②:4社以上から見積もりを取る

相見積もりは2〜3社が適切です。4社以上になると:

  • 各社への対応(現場調査の立ち会い、説明の聞き取り)に時間がかかりすぎる
  • 情報が多すぎて逆に判断できなくなる
  • 業者側も「5社も相見積もりを取る施主は成約率が低い」と判断し、本気の提案をしなくなる

2社で迷うなら、3社目を取って判断材料を増やすのは有効。でも4社目以降は「迷いが増えるだけ」です。

NG③:見積もり後に長期間放置する

見積もりには有効期限があります。一般的には1〜3ヶ月。塗料の価格改定や職人のスケジュールは常に変動しているため、見積もりから3ヶ月以上経過すると金額が変わることがあります。

「もう少し考えたい」は人間として自然ですが、見積もりを受け取ってから1ヶ月以内に判断するのが理想です。春の塗装シーズン(3〜6月)は特に業者のスケジュールが埋まりやすいため、早めの判断が良い職人・良い日程の確保につながります。


断り方:具体的なセリフ集

相見積もりで選ばなかった業者への断りは、多くの施主さんが苦手に感じるところです。でも、業者にとって相見積もりで断られることは日常です。以下のセリフで簡潔に伝えれば問題ありません。

基本の断りセリフ

「検討の結果、今回は他社さんにお願いすることになりました。丁寧にご対応いただきありがとうございました。」

これで十分です。理由を聞かれても、詳しく説明する義務はありません。

理由を聞かれた場合

「総合的に判断して、他社さんのほうが当家の条件に合っていました。」

具体的な金額差や他社の名前は伝える必要がありません。

電話が苦手な場合(メール・LINE)

「お世話になっております。見積もりをご提出いただきありがとうございました。検討の結果、今回は別の業者さんにお願いすることになりました。またの機会がありましたら、よろしくお願いいたします。」

断った後にしつこく連絡が来る場合

「決定済みですので、ご連絡はお控えいただければ幸いです。」

これで止まらない場合は、消費者ホットライン(188)に相談する手段もあります。ただし、誠実な業者であればこの段階で引き下がります。


「迷い」を解消するための最後のチェック

3軸比較シートを埋めて、断り方のセリフも準備した。でもまだ迷っている——。

その場合、以下の3つの質問を自分に投げかけてみてください。

質問1:「この業者に工事を任せて、10日間留守にできるか?」

外壁塗装は10〜14日間の工期中、職人が毎日家の周りで作業します。信頼できない業者に任せると、毎日窓から職人の仕事ぶりを監視する生活が始まります。「安心して任せられるか」は、金額以上に重要な判断基準です。

質問2:「見積書の内容について、質問にちゃんと答えてくれたか?」

見積もりの内訳を聞いたとき、丁寧に説明してくれた業者と、面倒くさそうに対応した業者。施工前の対応は、施工中・施工後の対応の鏡です。

質問3:「5年後に何か問題が起きたとき、この業者は対応してくれそうか?」

塗装は施工直後より、5年後・10年後に真価が問われます。保証の内容、会社の規模、地元での評判——金額以外の「安心材料」も判断に含めてください。


人工理論で見ると

定義: 1人工=職人1人が1日8時間作業する労働量

相見積もり比較への応用: 金額の比較は意味がない。同じ塗料グレードで、延べ人工数が多い業者のほうが丁寧な工事ができる。これが人工理論に基づく業者選定の原則。

判定方法: 各社の「工期×職人数」を計算し、延べ人工数を比較。30坪で20人工未満の業者は、金額に関係なく選定から外すべき。20〜25人工なら最低限、25人工以上なら余裕のある施工が期待できる。

注意点: 人工数が多くても単価が異常に高い場合は、中間マージンの可能性。人工数と㎡単価の両方をチェックすることが重要。

→ 人工理論の全体像を詳しく学ぶ:人工理論完全講義 →


よくある質問

Q. 相見積もりを取っていることは業者に伝えるべき?

伝えて問題ありません。むしろ「他社にも見積もりをお願いしています」と正直に伝えたほうが、業者も最初から適正価格で出してくれます。相見積もりを隠すと、後から「他社のほうが安かった」と言い出した場合にトラブルになることもあります。

Q. 見積もりの条件を揃えて比較するにはどうすればいい?

各社に「シリコン系(またはラジカル制御型)で、3回塗り、コーキング打ち替え含む」と条件を指定してください。塗料のグレードと工法を揃えれば、金額差の理由が「人工数」と「利益率」に絞り込めます。

Q. 自分で比較しきれない場合は?

3軸比較シートを埋めてみて、それでも判断できない場合は、第三者に見てもらうのが確実です。2社分の見積書写真をアップロードすれば、AIが項目ごとに比較して「どちらが適正な工事ができるか」を判定します。


まとめ

相見積もりの比較は「安い方を選ぶ」ゲームではありません。「同じ条件で、より丁寧な工事をしてくれる業者を選ぶ」ゲームです。

  • 人工数で品質を比較する
  • ㎡単価で価格の透明性を確認する
  • 塗料グレードでライフサイクルコストを計算する

この3軸が揃えば、金額に惑わされずに判断できます。

2社分の見積書写真をアップロード。AIが項目ごとに比較して判定します。

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見積書チェックの全体像はこちら → 見積書チェック完全ガイド(20項目)


この記事は、愛知県で50年続く塗装店「ヨコイ塗装」2代目・横井卓也が、500件以上の施工経験と著書(『外壁塗装の不都合な真実』『塗装方程式 Q=M×T×T』『工程別チェックポイント21』)に基づいて執筆しています。

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