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塗料・資材不足で今できない工事・遅れている工事まとめ【2026年4月最新】

2026年の中東情勢による塗料・シーリング材の不足で、どんな工事に影響が出ているか。施工歴25年の現役職人が、現場に届いているメーカー通知をもとに解説します。

著者: 横井隆之

2026年2月末のホルムズ海峡封鎖以降、外壁塗装に使う塗料やシーリング材の供給が急速に悪化しています。

問題は「値上げ」だけではありません。そもそも材料が手に入らず、工事が進められないケースが現場で発生しています。

この記事では、塗料メーカーや資材メーカーから届いた一次情報(公式通知・FAX)をもとに、施主の立場で「どの工事に影響が出ているか」を整理します。価格動向の全体像は姉妹記事「

→ 値上げの背景・タイムラインはこちら:外壁塗装の塗料が値上がり?2026年の価格動向と「急ぐべきか」を現場の職人が正直に解説

シーリング(コーキング)打ち替え工事

シーリング材(コーキング)は、サイディングボードの目地や窓まわり・ドアまわりの防水処理に使われる材料です。外壁塗装とセットで「コーキング打ち替え」を行うのが一般的で、これができなければ塗装工事全体がストップするリスクがあります。

オート化学工業:全製品で供給制限(4月9日〜)

シーリング材大手のオート化学工業が、2026年4月9日付で全製品の供給制限を開始しました。

  • 対象:弊社製品全製品
  • 制限基準:2025年4月〜2026年3月の月間平均販売実績を上限
  • 解除時期:原料供給の回復が確認でき次第(未定)
  • 背景:ホルムズ海峡封鎖による原油・石油関連原料の供給網混乱、注文量が通常を大きく上回り供給維持が困難

※出典:オート化学工業 FAX通知(2026年4月9日付、NO.4191)

カネカ・セメダインにも影響

カネカは変成シリコーンポリマー(シーリング材の主原料)の異例の値上げを実施。セメダインも安定供給が困難になっていることを公式に発表しています。シーリング材の原料は石油化学製品に依存しており、塗料と同じく中東情勢の影響を直接受けています。

施主への影響

シーリング材が手に入らないと、サイディング目地の打ち替え・窓まわりの防水処理ができません。外壁塗装工事の中でコーキング打ち替えは欠かせない工程のため、シーリング材の不足は塗装工事全体を止めてしまう可能性があります。

油性(溶剤系)塗料を使う外壁・屋根塗装

油性塗料の施工で最大のボトルネックになっているのが、シンナー(希釈溶剤)の不足です。

シンナーの値上げ・出荷制限の状況

  • 日本ペイント:シンナー75%値上げ+1社1缶制限
  • エスケー化研:シンナー80%値上げ
  • 関西ペイント:シンナー50%以上値上げ+出荷統制(4月13日出荷分〜)
  • 大信ペイント:シンナー60〜70%値上げ(4月1日出荷分〜)
  • プレマテックス:PXシンナー欠品
  • アイカ工業:シンナー受注停止

「塗料はあるが、薄めるシンナーがないから塗れない」——これが現場で起きているパラドックスです。シンナーの一斗缶は通常4,000〜5,000円ですが、現在は15,000〜20,000円と3〜4倍に高騰。フリマサイトでの転売も社会問題になっています(毎日新聞 2026年4月3日報道)。

影響を受ける塗料

溶剤系のシリコン塗料・ウレタン塗料・フッ素塗料が影響を受けます。シンナーがなければ適切な粘度に調整できず、そのまま塗ると仕上がりや耐久性に問題が出ます。

※出典:プレマテックス PXシンナー欠品通知(2026年3月31日確認)、各メーカー公式通知

鉄部の塗装(雨戸・手すり・鉄骨階段)

雨戸、手すり、鉄骨階段、シャッターボックスなどの鉄部塗装には、必ず「錆止め塗料」を下塗りとして使います。この錆止め塗料が手に入りにくくなっています。

日本ペイントの錆止め塗料が品薄〜出荷不可

業界最大手の日本ペイントの錆止め塗料が品薄から出荷不可の状態に陥っています。錆止めは鉄部塗装の最初の工程(下塗り)であり、これがなければ鉄部の塗装工程そのものが進みません。

鉄部は錆が進行すると腐食して穴が開くため、「材料が入るまで待つ」ことにもリスクがあります。特に築年数が経った住宅では、鉄部の劣化が建物全体の防水に影響するケースもあります。

※出典:塗料販売店への直接確認(2026年3月31日)

遮熱塗料での屋根塗装

屋根に遮熱塗料を使う塗装工事にも大きな影響が出ています。

KFケミカル:スダースコートシリーズが全製品出荷停止(4月1日〜)

KFケミカルのスダースコートシリーズ(遮断熱塗料)が、下塗りからクリヤーまで関連製品すべてが出荷停止になっています。

  • スダースコート本体(遮断熱塗料):出荷停止
  • スダースコートプライマー(下塗り):出荷停止
  • セミクリーンコート(防汚クリヤー):出荷停止

スダースコートは下塗り→本体→クリヤーのセットで施工する塗料です。一つでも欠ければ施工できないため、スダースコートでの屋根塗装は現時点では不可能です。

他メーカーの遮熱塗料も、原料調達が不安定なため納期が不透明になっています。

※出典:KFケミカル認定施工店向けメール(2026年3月31日受信)

フッ素塗料を指定した工事

フッ素塗料は耐久性の高さから、マンションの大規模修繕や高耐久を求める戸建ての外壁に指定されることがあります。しかし、フッ素樹脂の原料となる特殊モノマーの輸入ルートが混乱し、納期が大幅に延びています。

納期の目安

  • 通常時:発注から約1ヶ月で納品
  • 現在:3〜4ヶ月以上(見通し不透明)

特にAGCのボンフロン水性調色品に顕著な遅延が出ています。

PFAS規制リスクも重なる

フッ素塗料にはPFAS(有機フッ素化合物)規制の長期リスクもあります。欧州では規制強化の動きが進んでおり、将来的に原料の入手がさらに困難になる可能性も指摘されています。

大規模修繕の仕様書でフッ素塗料が指定されている場合、納期の遅延や将来の規制を踏まえ、管理組合として仕様変更を検討する必要が出てくるケースもあります。

ウレタン防水工事(ベランダ・屋上)

ベランダや屋上の防水工事に広く使われるウレタン防水材も、原料不足の影響を受けています。

原料(MDI/TDI)がナフサ由来で直撃

ウレタン防水材の主原料であるMDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)とTDI(トルエンジイソシアネート)は、いずれもナフサ由来の化学品です。ホルムズ海峡封鎖によるナフサ供給の混乱は、ウレタン防水材の製造にも直結しています。

延期が許されにくいジレンマ

防水工事は「やらないと建物が傷む」性質のものです。雨漏りが始まってからでは、内装や構造躯体にまで被害が及びます。しかし材料が手に入らなければ工事はできない。このジレンマが、特にマンションの大規模修繕でクリティカルパス(工程全体を遅らせる要因)になっています。

大規模修繕工事(マンション・ビル)

マンションやビルの大規模修繕工事は、上記すべての影響が重なる「最も影響を受けやすい工事」です。

工程管理が崩壊するリスク

大規模修繕では、塗料・シーリング材・防水材・錆止めなど複数の材料を使います。どれか一つでも調達できなければ、その工程でストップし、後続の工程もすべて遅延します。

  • シーリング打ち替え → 塗装 → 防水 の順で進む工程が、シーリング材不足で最初から止まる
  • フッ素塗料の納期遅延で、仕様変更が必要になる
  • 仕様変更には管理組合の総会決議が必要 → 意思決定に数ヶ月かかる

足場コストの膨張

大規模修繕では建物全体に足場を組みます。材料が届かず工事が止まっている間も、足場のリース費用と現場管理費は発生し続けます。

最悪のケースは「空足場」——足場は組んであるのに材料がなくて工事が進まない状態です。1日あたりの足場リース費用は数万円〜十数万円。工期が1ヶ月延びれば、足場代だけで数十万円〜百万円単位の追加費用が発生します。

今、施主ができること

水性塗料なら比較的スムーズ

現時点で最も供給が安定しているのは水性塗料です。シンナーを使わないため、溶剤不足の影響を受けません。外壁塗装の多くの場面で水性塗料は使用可能であり、性能面でも近年の水性塗料は油性塗料に遜色ないレベルに進化しています。

ただし、すべての工事で水性に切り替えられるわけではありません。使用条件や下地の状態によっては、油性塗料でなければ対応できないケースもあります。

業者に聞くべき3つの質問

見積もりを受け取っている方、これから業者を探す方は、以下の3点を確認してください。

  1. 見積もりに記載の塗料・シーリング材の在庫は確保できていますか?
  2. 材料が手に入らない場合の代替案はありますか?
  3. 工期への影響はどの程度ですか?

この3つに具体的に答えられる業者は、現在の供給状況を把握している証拠です。逆に「大丈夫ですよ」としか言わない業者は、状況を把握できていないか、知っていて伝えていない可能性があります。

「値上げ前に急いで契約」は正解ではない

材料不足の今、最も危険なのは「値上げ前に急いで契約しよう」という判断です。急いで契約しても、材料が手に入らなければ工事は始められません。契約だけして着工できない状態が、施主にとっても業者にとっても最悪のシナリオです。

大事なのは、材料の確保状況を確認できる業者を選ぶことです。在庫や仕入れルートについて具体的に説明できる業者は、この状況下でも信頼できる判断材料になります。

見積もりの適正判断

材料費が上がっている今、見積額が「高い」か「適正」かの判断は以前より重要になっています。人工(にんく)理論を使えば、見積もり総額から職人の日当を逆算し、手抜きのリスクがあるかどうかを数字で判断できます。

→ 値上げの背景と価格影響の詳細はこちら:外壁塗装の塗料が値上がり?2026年の価格動向と「急ぐべきか」を現場の職人が正直に解説

この記事の著者

横井隆之

横井隆之

ヨコイ塗装 代表 / 外壁塗装コンサルタント

業界経験 50著書 3

愛知県扶桑町でヨコイ塗装を経営。塗装業界50年以上の経験と500件を超える施工実績を持つ外壁塗装の専門家。施主の立場に立った公正なアドバイスを提供し、YouTube、ココナラ、MOSHなど複数のプラットフォームでセカンドオピニオンサービスを展開中。

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