本記事で扱う2026年5月7日の価格改定は、同年6月1日に予定されているKFケミカル社全製品の本体改定(弱溶剤系+10〜20%、水性+10〜15%、下塗材+10〜20%)に先行する特別対応です。特定6製品について、原材料高騰への緊急対応として前倒しで実施されます。
2026年4月23日、塗料メーカーであるKFケミカル社より、同社主力の下塗り材6品目について2026年5月7日(木)出荷分より価格改定を行う旨の緊急通知が業界に出されました。
さらに同通知では「ご注文につきましては実際にご使用予定の数量を基本としてお願いいたします」「ご注文の数量調整またはお受け出来ない場合がございます」と、価格改定と同時に実質的な受注制限が明文化されています。
これまで2026年の外壁塗装業界を揺るがしてきたシーリング材の受注停止、シンナー供給制限に続き、今回は下塗り材(プライマー)分野に危機が波及した形です。
本記事では、外壁塗装を検討中の方に向けて、今回の改定が見積もり金額・工期・業者選びにどう影響するか、どのような点を確認すべきかを解説します。
2026年5月7日|KFケミカル価格改定の全体像
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対象となる6製品
今回、KFケミカル社より価格改定が通知されたのは以下の6製品です。
- 製品名: スカイフレッシュ / 主な用途: 外壁用仕上げ材
- 製品名: GLANZシーラーSi / 主な用途: シリコン系シーラー(下塗り)
- 製品名: KFスーパーフィラーエポ / 主な用途: エポキシ系微弾性フィラー
- 製品名: KFスーパーEPO / 主な用途: エポキシ系プライマー
- 製品名: KFスーパーEPO II / 主な用途: エポキシ系プライマー(改良型)
- 製品名: 専用希釈材(シンナー) / 主な用途: 希釈・洗浄用
注目すべきは、下塗り材(プライマー・シーラー・フィラー)が4品目を占めている点です。下塗り材は外壁塗装工事の密着性と耐久性を左右する最も重要な工程であり、この分野の供給不安は工事品質に直結します。
受注制限の明文化という新局面
今回の通知で最も重要なのは、価格改定と同時に受注制限が明文化された点です。
従来の「供給が不安定」という表現から一歩踏み込み、「ご注文の数量調整またはお受け出来ない場合がございます」と断定的な文言に変化しています。これは2026年のシーリング材受注停止と同じ流れであり、資材危機が下塗り材にまで拡大していることを示しています。
なぜエポキシ系プライマーが値上げされるのか
原材料ナフサの供給不安
エポキシ樹脂は石油化学由来の製品であり、原料となるナフサ(石油の中間製品)の価格・供給の影響を直接受けます。2026年に入り、以下の要因でナフサ市況は緊張が続いています。
- ホルムズ海峡を巡る地政学リスクの継続
- 中東産ナフサの欧州向け優先シフト
- 国内石油化学プラントの計画的減産
これらの要因は短期的な解消が見込めず、2026年後半まで継続する可能性が高いと業界では見られています。
シンナー不足との連鎖
今回の通知には専用希釈材(シンナー)も含まれています。シンナー不足は2026年初頭から顕在化しており、エポキシ塗料の施工現場では希釈材が確保できず工程が止まるケースも発生しています。
筆者自身(施工歴25年・施工件数250件超)も、2026年3月に入ってからのシンナー不足には焦りました。普段のメイン取引先であるKFケミカル系の販売店だけでは不安で、別系統の大手メーカー系販売店に問い合わせを入れました。しかし、「普段の発注量が少ないお客様には優先的にお回しできません」と断られてしまいました。
焦った筆者は、最寄りの塗料店や大型ホームセンターまで足を運んでシンナーを探しました。どこも品薄状態で、確保できたのはわずかな量のみ。最終的には、10年以上の取引があるメイン取引先の販売店が気を利かせて在庫を回してくれて、ようやく必要量を確保できました。
つまり、資材不足下では「長年の取引関係」が命綱になるということです。これは施工店の規模や価格だけでは見えない、見積書の背後にある構造です。
過去3年の値上げ推移(2023年比)
KFケミカル社の主力下塗り材6品目について、2023年4月の価格改定時点と2026年5月7日改定後を比較すると、製品カテゴリにより値上げ幅に大きな差が生じていることがわかります。
- 下塗り材系(主要4製品): +2〜24%
- 軒天塗料: +35%
- シンナー(専用希釈材): +62%
特にシンナーの値上げ幅は、関西ペイント(+50%以上・2026年4月)・エスケー化研(+80%・2026年3月)と同水準です。これは特定メーカーの事情ではなく、業界全体で石油化学製品の原料高騰が深刻化していることを示しています。
また、同じ下塗り材でも製品により値上げ幅が2〜24%と大きな差がある点は、塗料の「どの原料が逼迫しているか」がカテゴリ別に異なることを物語っています。
外壁塗装見積もりにどう影響するか
見積もり金額への反映
下塗り材6品目の価格改定は、標準的な30坪戸建の外壁塗装見積もりにおいて、材料費ベースで数千円〜数万円の増加要因となります。塗料メーカーの価格改定は通常、2〜3ヶ月遅れで施工業者の見積もりに反映されるため、2026年7月以降に契約する案件から影響が顕在化すると予想されます。
工期への影響(受注制限→納期遅延)
より深刻なのは工期への影響です。受注制限が実施されると、業者は必要数量を確保できず、以下のような事態が発生します。
- 予定日に塗料が届かず工事が中断
- 別メーカー製品への切替による品質リスク
- 複数現場の工事が同時に遅延
「今のうちに契約を」という営業トークの注意点
価格改定を理由とした煽り営業には注意が必要です。「来月から値上げなので今月中に契約を」という訴求は一見合理的に見えますが、以下のリスクがあります。
- 契約を急がせて相見積もりを取らせない手口の可能性
- 実際の材料費増加幅と契約価格アップ幅の乖離
- 契約後に工期遅延が発覚するケース
冷静に複数社から見積もりを取り、各社の仕入れ状況と工期見通しを確認することが重要です。
消費者が確認すべき4つのポイント
1. 下塗り材のメーカー名と製品名を明記させる
見積書に「下塗り材」とだけ書かれているケースが多いですが、KFケミカル製品か他社製品かで供給状況は大きく異なります。メーカー名・製品名を明記してもらいましょう。
2. 契約から着工までの期間を確認
受注制限下では、契約してから材料が揃うまで1〜2ヶ月かかるケースも出てきます。「いつ着工できるか」を契約前に書面で確認してください。
3. 値上げを理由とした即決契約は避ける
どれほど魅力的な条件でも、最低3社からの相見積もりは必須です。「今月中に契約すれば値上げ前の価格」という訴求は、他社比較を阻害する常套手段でもあります。
4. 既契約の救済措置を知っておく
既に工事契約済み・発注済みの施主は、今回の値上げの影響を受けない可能性があります。KFケミカル社は「2026年4月23日時点で納品待ちの製品は現行価格で対応」する旨を明記しています。もし値上げ後に「材料費が上がったので追加請求」と言われた場合は、既発注分の価格が旧価格のままかどうかを確認してください。
4月末の受注停止期間と施工店の駆け込み発注
今回のKFケミカル通知には、もう一つ重要な情報が含まれています。
2026年4月27日(月)〜5月1日(金)の期間中、KFケミカルは出荷業務のみで受注一時停止となり、通常の受注受付は5月7日以降となる見込みです。
この期間はゴールデンウィーク前半と重なります。つまり施工店は、4月24日(木)〜4月26日(土)の3日間で旧価格での駆け込み発注を行う必要があるということです。
既に契約済みの工事については、救済措置があります。「4月23日メール到着時点で納品待ちの製品」は現行価格で対応されます。ただし、4月23日以降に新規発注した製品は出荷日ベース(5月7日以降)の新価格適用となります。
施主視点での意味:
この3日間で駆け込み発注を完了できた業者と、そうでない業者では、5月以降の仕入れ原価に差が生じます。この仕入れ差が見積もりにどう反映されるか(あるいは反映されずに手抜きにつながるか)は、業者選びの重要な観点になります。
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よくある質問
Q1. 既に契約済みの工事は値上げの影響を受けますか?
A. 契約時点の価格で工事が実施されることが一般的ですが、契約書の「材料費変動条項」の有無で対応が異なります。契約書を確認してください。
Q2. 下塗り材を別メーカーに変更すれば問題ないですか?
A. 技術的には可能ですが、仕上げ材との相性によっては密着性や耐久性に影響します。安易な変更ではなく、業者と相談の上で判断してください。
Q3. 価格改定はいつまで続きますか?
A. ナフサ価格・中東情勢に依存するため、2026年後半まで継続する可能性が高いと見られています。
まとめ
2026年5月7日のKFケミカル社価格改定は、単なる値上げではなく、エポキシ系下塗り材の受注制限という新局面を示しています。シーリング・シンナーに続く資材危機の第3波であり、外壁塗装を検討中の方は見積もり取得のタイミングと業者選びを一段慎重に行う必要があります。
外壁塗装の資材調達は、価格改定と供給制限が同時進行する局面に突入しています。施主の皆様が業者選びをする際は、価格の安さだけでなく、「資材をきちんと確保できる業者か」という観点も重要になります。見積書の背後には、このような取引関係や調達能力の差が存在しています。
*本記事は2026年4月24日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報は各メーカー公式サイトをご確認ください。*
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