2026年4月以降、外壁塗装の現場では「塗料はあるのに工事が止まる」という、これまでとは違う事象が起き始めています。新聞・テレビで報じられている塗料本体の値上げとは別の、塗料以外の消耗品(副資材)レベルで進行している現場停止リスクです。
マスキングテープ、養生シート、シーリング材、容器、希釈剤、ローラー──塗料を塗るために必要な、しかし普段は表に出てこない資材たち。それらが2026年5月時点で複数同時に手に入りにくくなっています。
この記事では、施工歴25年・施工件数250件超・著書3冊の現役塗装職人として、副資材の同時欠品がなぜ起きているのか、施主としてどう業者に確認すべきかを整理します。
「塗料はあるのに工事が止まる」──現場停止の新しいメカニズム
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従来、外壁塗装工事が止まる原因として施主が想定するのは「塗料が値上がりした」「塗料が品薄」「業者の予定が埋まっている」といった理由でした。しかし2026年4月以降、現場で起きていることは、これらのどれとも違います。
塗料そのものは確保できる。しかし、塗料を塗るために必要な周辺資材(副資材)が同時多発的に手に入らず、結果として工事が動かない──そういう構造です。
2026年4月以降、現場で「これまでとは違う」と感じる事象が出てきました。たとえば、マスキングテープの550番(業界では定番として広く使われている品番)が、発注しても入りにくい場面に遭遇するようになっています。
塗料そのものは確保できる。しかし、養生に欠かせないマスキングテープがタイミングよく揃わない。1つの副資材が遅れるだけで、養生工程に入れず、着工日がずれていく──そんな現場が出始めています。
これは「全面欠品」ではありません。発注タイミングや色・サイズによっては普通に届くこともある。ただ、「これまでなら問題なく揃った定番品が、なぜか今日は揃わない」という体感が、現場でじわじわと積み重なっています。
本記事では、25年・250件超の現役塗装職人として、2026年5月時点で現場が経験している「副資材の同時欠品」がなぜ起きているのか、その構造を整理します。
塗料販売店レベルでも同時期に変化が見えています。販促資源の崩壊──たとえば年間恒例セールの中止については、販売店イベント中止という予兆を扱った別記事で詳しく整理しています。本記事はその下流で起きている「副資材の同時欠品」の話です。
副資材の構成──マスキング・養生シート・シーリング・容器・希釈剤・ローラー
副資材は、塗料本体以外で塗装工事に必須となる消耗品の総称です。具体的には、以下の6種類がコアとなります。
① マスキングテープ:塗装しない部分を保護するためのテープ。窓枠・サッシ・玄関ドア周りの境目を真っ直ぐ塗り分けるために必須です。代表品番として「mt 550」など業界定番品があります。
② 養生シート(マスカー・ノンスリップシート):足場やベランダ・窓全体を広く覆い、塗料の飛散を防ぐシート類。
③ シーリング材(コーキング材):外壁の継ぎ目(目地)やサッシ周りを埋める弾性材。打ち替え工事の主役となる材料で、ナフサ由来の樹脂を主成分とします。
④ 容器(内容器・缶・バケツ):塗料を移し替えたり希釈したりする作業容器。鋼板やプラスチック樹脂が原料です。
⑤ 希釈剤(シンナー):溶剤系塗料を塗りやすい粘度に調整するための液体。塗料そのものとは別物で、ナフサ由来です。
⑥ ローラー(ハンドル・カバー):外壁面を塗り広げる消耗品。1棟の工事で複数本を使い分け、消費量も多い資材です。
副資材といっても、すべてが同じレベルで深刻なわけではありません。25年・250件超の現役塗装職人の感覚として、副資材は「欠けたら工事が止まるもの」と「なんとか融通が利くもの」に明確に分かれます。整理すると、こういう序列です。
【欠けたら工事が止まる・代替がきかない】
シーリング(コーキング材)──「ないと無理」が現場の正直な評価です。外壁の継ぎ目を埋める唯一の材料で、規格適合性の縛りが強く、別メーカー品で代替するのも限定的にしか効きません。
【欠品の影響が大きい・代替も難しい】
マスキングテープ──入手しにくい場面が増えています。養生工程の前段で必ず必要で、特定品番(mt 550など)が切れると現場のテンポが大きく崩れます。
希釈剤(シンナー)──塗料があっても希釈できなければ塗布できません。
ローラー(ハンドル・カバー)──消耗品のため在庫切れの影響が早く出ます。
【影響はあるが、なんとか融通が利く】
養生シート(マスカー・ノンスリップシート等)──代替手段が比較的多く、銘柄を変えれば対応可能です。
容器類(内容器・缶・バケツ)──業者間での融通や手持ち在庫で対応しやすい資材です。
つまり「副資材全面欠品」と一口に言っても、シーリングが止まれば工事は完全停止、マスキング・希釈剤・ローラーが揃わなければ着工日が崩れる、シート・容器は対応の幅がある、という構造になっています。この序列を理解したうえで、業者がどの副資材を確保できているかを施主は具体的に確認することができます。
<!-- 図1配置: 3経路比較ダイアグラム(副資材調達3経路) visualizer 6月制作期 SVG -->
メーカー受注停止と価格改定のドミノ──オート化学・サンスター技研・サンライズ・セメダイン
シーリング材・接着剤・希釈剤を製造するメーカー各社は、2026年3月末から4月にかけて、自社製品の供給状況・価格改定について公式な告知を出しています。施主向けに公開されている一次情報を、時系列で整理します。
オート化学工業──段階的な出荷制限から受注一時停止まで
シーリング材大手のオート化学工業は、2026年4月7日に「希釈溶剤K」の出荷制限を公表しました(同社公式 autochem.co.jp/news/)。用途を「オートンウレアックスHG専用」に限定し、それ以外の用途への出荷を絞る内容です。
続く4月9日には「供給制限第一報」が告知され、各取引先への出荷量を「前年同期月間平均販売実績を上限」とする方針が示されました。さらに4月14日には受注一時停止の第一報、4月21日には「現在の受注・出荷状況」として、再開時期の見通しが立っていない品目を含む状況が公表されています。
新建ハウジング2026年4月17日付の業界紙報道(s-housing.jp)でも、シーリング材メーカー各社の受注停止が相次いでいる状況が確認できます。
現役塗装職人としての受け止めは、4月の3週間で「希釈溶剤」→「供給量上限化」→「受注停止」という3段階の悪化が進んだという事実です。一企業の経営判断ではなく、原料供給と需給の構造的な逼迫が背景にあると読まざるを得ません。
サンスター技研──5月1日出荷分から建築用シーリング材・接着剤など30%以上値上げ
新建ハウジング2026年4月28日付(s-housing.jp)によると、サンスター技研は2026年5月1日出荷分から、建築用シーリング材・接着剤などについて30%以上の価格改定を実施します。同社は値上げの背景として、中東情勢の緊迫化に伴う原油急騰、自社の合理化努力では吸収しきれない原材料コスト上昇を挙げています。
サンライズ──公式トップで供給影響を告知/親会社コニシは20%以上値上げ
シーリング材ブランドのサンライズは、2026年3月26日付で「中東情勢緊迫化に伴う製品供給への影響について」を公式サイトトップに掲示しています(サンライズ公式)。具体的な改定率は本告知単独では明示されていませんが、供給影響への注意喚起が業界向けに発信されている事実があります。
一方、サンライズの親会社にあたるコニシは、ボンド製品全般について2026年5月1日出荷分から20%以上の値上げを発表しています(日本経済新聞2026年4月24日付)。シーリング材だけでなく接着剤領域でも同時に価格改定が進行中です。なお「20%以上」はコニシのボンド製品全般に対する数字であり、サンライズSRシール製品の改定率と取り違えないようご注意ください。
セメダイン──公式トップに「中東情勢の影響に伴う弊社製品に関するお願い」を掲示
セメダインは公式サイトのトップページに「中東情勢の影響に伴う弊社製品に関するお願い」を掲示しています(セメダイン公式 cemedine.co.jp)。具体的な改定率・実施日は本告知の段階では一次情報として確認できる範囲が限定的ですが、業界全体の供給影響に同社も対応中であることが分かります。
上記4社のほか、アイカ工業も2026年3月31日付で「中東情勢緊迫化に伴う当社製品の供給への影響について」を公表しており、「一部製品の数量・納期・価格に調整が必要な状況になりつつある」としています(アイカ工業公式 aica.co.jp/news/detail/post_305.html)。シーリング系・接着剤系のメーカー全体に同種の動きが広がっていることが確認できます。
シーリング・接着剤のメーカー4社の動きと並行して、塗料本体のメーカー比較については塗料メーカー4社の値上げ率比較記事を併せてご覧ください。本記事Bは「塗料以外の副資材」に焦点を当てていますが、塗料本体側の動きも同じ構造で進行中です。
内容器・容器類──ナフサ由来樹脂と鋼板値上げのダブルパンチ
副資材の中で「容器類」は、現場での代替手段が比較的多く、影響度としては中位に位置します。ただし、構造的な値上げ要因が二重に重なっていることは押さえておく必要があります。
一方は鋼板の値上げです。容器の素材として使われる鋼板について、JFEスチールは2026年6月から10%以上の値上げを実施する方針を公表しています。塗料缶・ペール缶など、金属容器を使う業界全体に波及する動きです。
もう一方はナフサ由来樹脂のコスト上昇です。プラスチック製の内容器・バケツ類は、原油価格の影響を直接受ける石油化学製品です。原油・ナフサ価格の変動が、容器のコスト構造を直撃します。
塗料本体・シーリング材・希釈剤に比べると、施主から見た金額インパクトは限定的です。それでも、容器までもがナフサ由来樹脂と鋼板値上げのダブルパンチを受けているという事実は、副資材全体の値上げ・欠品が業界全体の構造として進行していることの一断面と読めます。
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代替策の限界──「他メーカーに切り替えればいい」が成立しない理由
副資材の欠品が広がる中、施主から「別のメーカーの製品に切り替えればいいのでは」という質問を受けることがあります。結論から言うと、この発想は限定的にしか機能しません。理由は3つあります。
理由1:塗料メーカーごとに専用副資材が紐づいている
塗料メーカーの多くは、自社塗料に推奨される下塗材・希釈剤・専用シーラーをセットで指定します。同じ「外壁塗装」でも、A社の塗料を使うときに必要な副資材と、B社の塗料を使うときに必要な副資材は完全には互換しません。塗料を変えると副資材も全体を見直す必要が出てきます。
理由2:シーリング材は規格適合性の縛りが強い
シーリング材は外壁の目地・サッシ周りに使われる材料で、JIS規格や建材メーカーの仕様書で適合製品が指定されているケースが多くあります。「同じ変成シリコン系だから何でもいい」とはならず、外壁材メーカーの保証範囲・住宅メーカーの仕様書との整合が必要です。代替できる範囲がそもそも限定的なのです。
理由3:水性切替は一定の選択肢だが万能ではない
溶剤系塗料が逼迫している局面では、水性塗料への切替が現実的な代替策の1つになります。アステックペイントは2026年4月、シンナー供給不安への対応として水性塗料中心の塗料選びを業界向けに公式に推奨しています(AP ONLINE 2026年4月)。
ただし、水性切替は塗装下地の状態・建物の使用環境・既存塗膜との相性で適用可否が変わります。「水性に切り替えれば全部解決」ではなく、現場ごとに判定が必要です。施主から見ると、業者がどの代替策を、どんな根拠で提案しているのかを聞き取ることが、判断材料になります。
過去のマスカー納期遅延(2021年10月)と今回の違い、さらに広い射程で見れば、2008年のリーマンショック、2020年〜2022年のコロナ禍・ウッドショック期、それぞれの局面で塗装業界も影響を受けてきました。
ただ、25年・250件超の現役塗装職人として正直に振り返ると、過去のどの局面でも「副資材がこれほど広範囲に同時に手に入りにくくなる」事態は経験したことがありません。
リーマンショック期は需要側の冷え込みが主で、資材そのものが「届かない」状況ではありませんでした。コロナ禍・ウッドショック期も、特定の資材(マスカー等)の納期遅延は局所的にあったものの、複数資材が同時に・全メーカー横断で・継続的に手に入りにくくなる、という構造ではなかった。
今回の2026年4月以降に起きていることは、過去25年の現場経験で初めて出会う種類の事象です。
帝国データバンクの2026年4月調査でも、原油・原材料高騰の影響について96.6%の企業がマイナス影響を回答しており(tdb.co.jp 2026年4月9日付)、業界全体での共通体験になっていることが裏付けられています。
過去の局所的な納期遅延と、今回の構造的な同時欠品は、起きている現象のレベルが違う。これは煽りではなく、現場で材料を発注している側の正直な実感です。
過去のマスカー納期遅延(2021年10月)と今回の違い──断熱材・ルーフィングまで巻き込んだ業界横断の動き
これまで挙げてきたメーカー横断の動きは、マクロ指標とも整合しています。財務省貿易統計によれば、ナフサの国内価格は2026年第1四半期平均で65,700円/kLに達しています。原油価格(WTI)は2026年4月の平均が98.48ドル/バレル(Investing.com集計)、円相場は4月末時点で160円台後半(時事通信)。原油・為替・原材料の3要素がすべて同方向に進行している局面です。さらに日経電子版2026年4月28日付(nikkei.com)は、国産ナフサが2026年4-6月期に2倍弱まで上昇する予測を報じています。これらが副資材の同時欠品・メーカー横断値上げの構造的背景です。
2021年10月の単発遅延と、2026年5月の同時多発の構造的な違い
副資材の納期遅延そのものは、過去にも局所的にありました。代表例として、2021年10月のマスカー納期遅延があります。当時はマスカーという単一資材が、特定タイミングで納期遅延を起こした事象でした。複数資材が同時に欠品したわけではなく、メーカー横断で広がったわけでもありません。
2026年5月の状況は、これとは構造が違います。複数の副資材(シーリング・希釈剤・マスキング・ルーフィング・断熱材)が同時に・複数メーカー横断で・国際情勢(ホルムズ海峡)を引き金にして起きています。単発遅延と構造的同時欠品は、起きている現象として位置づけが違います。
断熱材──パラマウント硝子グラスウール 6/1出荷分から15%値上げ
断熱材の領域でも同様の動きが進んでいます。リフォーム産業新聞2026年5月4日号(1695号、リフォーム産業新聞)および新建ハウジング2026年4月30日付(s-housing.jp)によると、パラマウント硝子工業はグラスウール全品種について、2026年6月1日出荷分から15%の価格改定を実施することを公式発表しました(同社2026年3月25日付プレスリリース)。副資材6種そのものではありませんが、外壁塗装と同時に検討されることの多い断熱改修も同じ波に巻き込まれています。
田島ルーフィング──5/1納品分から40〜50%・新規受注一時停止も
屋根下葺材の領域では、田島ルーフィングが2026年4月1日付プレスリリース(tajima.jp)で、アスファルト製品全般について2026年5月1日納品分から40〜50%の価格改定を発表しました。さらに新建ハウジングの報道によれば、同社は2026年4月10日に新規受注の一時停止にも踏み切っています。価格改定と受注停止が同時並行で進む事態は、副資材本体の動きと完全に同じ構造です。
日新工業──4/21出荷分から40%程度(同種資材二大メーカー同時改定)
同じくアスファルトルーフィング大手の日新工業も、自社公式(2026年4月1日付、nisshin-grp.co.jp)および新建ハウジング2026年4月6日付(s-housing.jp)にもとづき、アスファルトルーフィング全製品で2026年4月21日出荷分から40%程度の価格改定を実施しています。同種資材の二大メーカーが同時期に同水準の改定を行う構造は、過去25年の現場でも記憶にありません。
業界団体850社調査──「シンナー通常入手2.7%」が示す現場の実感
2026年4月14日、日本塗装工業会は国土交通省に対して、塗料・希釈剤の安定供給に関する要望書を提出しました。同時期に経済産業省の赤澤大臣も閣議後記者会見で「シンナーの目詰まり解消」に言及しています(経産省公式記者会見要旨 2026年4月14日付)。
この要望書の根拠として、日本塗装工業会が会員企業850社を対象に実施した緊急調査の結果が公表されています。希釈・洗浄に必要なシンナーを「通常どおり入手できる」と回答した企業は、わずか2.7%。「入手できない」が55.1%、「数量制限がある」が42.2%を占めました(出典: 日本塗装時報、TBS NEWS DIG・時事通信が同時期に報道、TBS NEWS DIG/日本塗装時報)。
25年、外壁塗装の現場に立ってきた一人の職人としてこの数字を読み解くと、ポータルサイトの「業者は嘘をついている」論調がどれだけ現場と乖離しているかが見えてきます。2.7%という数字は「通常どおり入手できている業者がほぼ存在しない」という意味で、現場の実感と完全に整合します。「業者が『材料が手に入らない』と言うのは、本当に手に入らないのか?それとも値上げ前の駆け込みを誘導するための説明か?」と疑問を持つ施主は多いと思います。
業界団体の850社調査で「通常入手2.7%」と確認できた以上、業者の説明は誇張ではなく、業界全体に広がる実態として裏付けられています。煽りではなく、業界全体に共通する構造として受け止めていただいて差し支えありません。
<!-- 図3配置: 5チェック項目フローチャート+業界横断波及マップ visualizer 6月制作期 SVG -->
メーカー別の値上げ率の最新まとめは、塗料値上げ2026年メーカー別比較で整理しています。
業者の経営体力・下請け構造による完工リスクは下請け構造リスクの解説、便乗値上げの見分け方は便乗値上げ判定の解説に整理しています。
施主が業者に確認すべき「副資材在庫確認」5つの質問
ここまで、副資材6種の序列、メーカー受注停止と価格改定のドミノ、業界横断の波及、過去との違いを整理してきました。最後に、施主が業者と話すときに具体的に確認できる5つの質問を整理します。
Q1:主要副資材(マスキング・シーリング・希釈剤)の在庫確保状況は?
工事に必要な副資材のうち、特にシーリング材・マスキングテープ(mt 550など定番品)・希釈剤(シンナー)について、業者が現時点で在庫を確保できているか、発注見通しが立っているかを聞いてください。「材料は問題ない」とだけ答える業者と、「シーリングは確保済み、マスキングは○○の代替品で対応予定」と具体的に答える業者では、対応力に差があります。
Q2:副資材の発注・管理は自社で完結していますか?それとも下請けに依存していますか?
副資材を自社で発注・管理している業者と、下請け任せの業者では、欠品時の対応速度に差が出ます。下請け構造そのものについては下請け構造リスクの解説で整理していますので、契約前にぜひ確認してみてください。
Q3:工期延長になった場合、追加費用は誰が負担しますか?
副資材の入荷遅延で工期がずれ込んだ場合、足場のリース延長費・職人の段取り変更費を誰が負担するかを契約前に確認してください。「材料の入荷遅延は業者責任ではない」として施主に転嫁される条文が含まれていないか、見積書・契約書のチェックが必要です。値上げ局面で見積もりを取り直すべきかの判断は、見積もりやり直しの判断記事で整理しています。
Q4:メーカー指定塗料を使う工事で、副資材の代替がきかない場合の対応方針は?
塗料メーカーが推奨する専用副資材が入手できない場合、業者がどう対応するかを聞いてください。代替品を使う場合に保証範囲がどう変わるか、メーカー仕様書との整合がどうなるかを答えられる業者は、現場経験と知識の両方を持っています。「何とかします」だけの返答では不十分です。
Q5:副資材調達の見通しが立たない場合、契約をどう調整しますか?
副資材の入荷見通しが立たない場合に、契約金額・工期・支払いタイミングをどう柔軟に調整できるかを確認してください。便乗値上げと正当な値上げの違い、見積書の見抜き方は便乗値上げ判定の解説に整理しています。
ここまで「副資材在庫確認の5つの質問」を整理してきました。最後に、25年・250件超の現役塗装職人として、私自身がもし施主の立場だったら何を確認するかを正直に書いておきます。
「ちゃんと材料を確保しているか。そして、完工できるか」
突き詰めれば、それに尽きます。
5つの質問は、すべてこの2点の確認のための具体的な切り口です。
- Q1(副資材の在庫確保状況)── 材料確保の「現状」
- Q2(自社管理 vs 下請け依存)── 材料確保の「責任主体」
- Q3(工期延長時の追加費用負担)── 完工までの「リスク分担」
- Q4(メーカー指定塗料の代替方針)── 材料確保の「柔軟性」
- Q5(副資材調達不可時の契約調整)── 完工までの「契約の整合性」
質問が5つあると複雑に見えるかもしれませんが、本質は2つだけです。
「材料を確保していること」
「最後まで工事を完了させられること」
この2つに自信を持って答えられる業者であれば、2026年5月の供給危機の中でも、あなたの家の外壁塗装は適切に進みます。
逆に、この2点に曖昧な答えしか返ってこない業者は、仮に見積もり金額が安くても、工事が中途半端に終わるリスクを抱えています。そして外壁塗装で最も避けたいのは、まさにこの「中途半端な完工」です。
材料が途中で切れて別の塗料に切り替えられた工事、工期が延びて職人の段取りが崩れた工事、完工後に保証が曖昧になった工事──これらはすべて、施工後数年経って「色あせ方の違い」「剥がれ方のムラ」として現れます。
施主として業者を選ぶときに、価格や営業の印象に惑わされず、「材料確保と完工」の2点で正直に答えてくれる業者を選んでください。
それが、25年・250件超の現場で見てきた、最もシンプルで、最も外さない判断軸です。
今、契約を急ぐべきか・待つべきかの判断
副資材の同時欠品の中で、契約のタイミングをどう判断すべきかは契約を急ぐべきかの解説、外壁塗装そのものを今やるべきかは今やるべきかの判断軸にそれぞれ整理しています。本記事Bと併せてご確認ください。
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著者:横井隆之(ペンキのミカタ/施工歴25年・施工件数250件超・著書3冊)。
この記事の著者
横井隆之
ヨコイ塗装 代表 / 外壁塗装コンサルタント
愛知県丹羽郡扶桑町でヨコイ塗装を経営。施工歴25年・250件超の施工実績を持つ外壁塗装の専門家。著書3冊(外壁塗装の品質公式・外壁塗装の不都合な真実・外壁塗装 工程別チェックポイント21)。独自理論「塗装方程式」の提唱者。施主の立場に立った公正なアドバイスを提供し、YouTube、ココナラ、MOSHなど複数のプラットフォームでセカンドオピニオンサービスを展開中。
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