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契約中・工事中に塗装会社が倒産したら?|2026年に知っておくべき対処法と事前の備え

塗装業の倒産が23年ぶりの高水準。すでに契約済みの方が知っておくべき対処法を、パターン別に解説します。

「塗装工事業の倒産が過去20年で最多」——2026年4月、このニュースが全国に流れました。

もしあなたがすでに外壁塗装の契約を済ませていたり、まさに工事中だったりするなら、「うちの業者は大丈夫だろうか」と不安になるのは当然です。

この記事では、契約前・工事中・完了後の3つのパターンに分けて、業者が倒産した場合に何が起きるのか、そして今すぐできる具体的な確認方法を、施工歴25年・250件超の職人が解説します。

※まだ業者を選んでいる段階の方は、先に契約前に見抜く経営健全性チェックをご覧ください。事前予防が最も効果的です。


2026年、塗装業の倒産はどれくらい増えているのか

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東京商工リサーチの発表(2026年4月4日)によると、2025年度の塗装工事業の倒産は143件。前年度比22.2%増で、2002年度以来23年ぶりの高水準です。

項目データ
倒産件数143件(前年度比 +22.2%)
主な原因販売不振 81.8%(117件)
企業規模資本金1,000万円未満が93.0%
TSRの見通し2026年度はさらに増加の可能性

倒産が増えている最大の原因は、ホルムズ海峡危機に端を発する塗料・シンナーの異例の値上げです。シンナーは50〜80%、塗料本体も10〜20%上昇し、価格競争が激しい小規模業者ほど利益が圧迫されています。

143件という数は塗装工事業全体から見ればごく一部です。「ほとんどの業者は倒産しない」のが事実です。ただし、あなたの契約先がその1%に入らない保証はありません。だからこそ確認が大切です。

塗料・シンナーの値上げ状況の詳細は、メーカー7社の値上げ・出荷制限の最新情報で随時更新しています。


パターン別|「工事前」「工事中」「完了後」で対応は変わる

業者が倒産(または連絡不通に)なった場合、あなたの状況によって影響も対処も異なります。

パターンA:契約済み・まだ着工していない場合

被害を最小限にできるケースです。まだ工事が始まっていないため、前払い金の有無がすべてを左右します。

  • 前払い金を支払っていない場合:契約は解除し、別の業者を探す。実害はほぼゼロ
  • 前払い金を支払っている場合:破産管財人への届出が必要(後述)。全額回収は困難なことが多い

2026年は材料費の高騰で資金繰りが悪化した業者が、着工前に「材料費の前払い」を求めるケースが報告されています。この要求自体が危険信号です。

パターンB:工事中に業者が消えた場合

最もダメージが大きいパターンです。足場が組まれたまま放置される、下塗りだけで工事が止まる——こうした事態が実際に起きています。

  • まず足場を維持した状態で、別の業者に現場確認を依頼する
  • 出来高(完了済みの工程)を写真で記録しておく
  • 引き継ぎ業者を探す際は、「途中からの引き継ぎ」に対応できるか事前に確認する

ヌリカエ・プロヌリ等のポータルサイトは「業者を紹介する」サービスであり、業者が倒産しても紹介元は工事の完成や返金の責任を負いません。これはポータルの利用規約に明記されています。「ポータルに連絡すれば何とかなる」と思わず、自分で対処する必要があります。

工事途中で業者と連絡が取れなくなった場合、足場のリース料は日割りで発生し続けるため、早急な対応が必要です。まず別の業者に現場確認を依頼し、引き継ぎの可否を判断してもらいましょう。

下請け構造がなぜ危険なのかは、外壁塗装の下請け構造、2026年の本当のリスクで詳しく解説しています。

パターンC:工事完了後、保証期間中に倒産した場合

工事は終わっている。しかし3年後に塗膜が剥がれてきた——そのとき業者が存在しない。これが保証期間中の倒産リスクです。

  • 自社保証のみの場合:業者が消えれば保証も消える。補修費用は全額自己負担
  • メーカー保証がある場合:塗料メーカーの施工要件を満たしていれば、メーカーに直接請求できる可能性がある
  • JIOリフォームかし保険に加入していた場合:業者が倒産しても保険法人から直接補修費が支払われる(後述)

保証の種類ごとの落とし穴は、外壁塗装「10年保証」の落とし穴で詳しく解説しています。


前払い金は戻ってくるのか?(法的な基本ルール)

結論から言うと、前払い金の全額回収は極めて困難です。ただし、ゼロではありません。

民法上の原則

外壁塗装の契約は民法上の「請負契約」にあたります。請負契約では、仕事の出来高に応じた報酬が発生します(民法634条)。

  • 全額前払いで、工事未着手の場合:全額が不当利得にあたる可能性がある。ただし破産手続きの中で按分配当されるため、実際の回収率は数%〜20%程度が一般的
  • 半額前払い、工事50%完了の場合:出来高と前払い額がおおむね均衡しているため、追加請求も返金も発生しにくい
  • 完工後一括払いの場合:未払い金があれば、破産管財人から請求が来る可能性がある。ただし施工に瑕疵があれば相殺の主張が可能

破産管財人への届出

業者が破産手続きに入った場合、裁判所から「破産手続開始の通知」が届きます。この通知に従い、「破産債権届出書」を提出することで、配当の対象になります。

  • 届出期限は通知書に記載されている。必ず期限内に提出する
  • 前払い金の領収書、契約書、工事の進捗状況の写真が必要
  • 不明点があれば弁護士に相談する(初回無料の法テラス等を活用)

施工歴25年の経験上、着工前に50%以上の前払いを要求する業者は要注意です。通常の外壁塗装では「着工時30%、完工時70%」または「完工後一括」が一般的な商慣行です。全額前払いを求める業者とは、原則として契約しないことをおすすめします。

ここで紹介したのは一般的な原則です。個別の状況によって対処は異なりますので、具体的な法的判断については弁護士にご相談ください。法テラス(0570-078374)では、収入要件を満たせば無料で法律相談が受けられます。


JIOリフォームかし保険——業者が消えても使える唯一のセーフティネット

JIOリフォームかし保険は、住宅瑕疵担保責任保険法人(JIO)が提供する保険制度です。最大の特徴は、業者が倒産しても施主が直接保険法人に補修費を請求できる点です。

仕組み

  • 保険に加入するのは施工業者。施主は加入を「お願い」する立場
  • 工事完了後にJIOの検査員が施工品質を確認する
  • 保証期間中に施工瑕疵が見つかった場合、まず業者が補修する
  • 業者が倒産していた場合:施主が直接JIOに請求し、補修費用が保険から支払われる

加入業者の見分け方

  • 「リフォームかし保険に加入していますか?」と直接聞く
  • JIOの登録業者検索サイトで確認する
  • 見積書に「リフォームかし保険加入費」の項目があるか確認する

かし保険に加入している業者を選ぶことで、万一の倒産時にも施主側の補修費用が保護されます。契約前に「リフォームかし保険に加入できますか?」と確認することをおすすめします。

経営健全性を事前に確認する方法(建設業許可・登記簿・信用調査)は、業者の倒産リスクを見抜く経営健全性チェックで詳しく解説しています。


「うちの業者は大丈夫?」今すぐできる3つの確認

すでに契約済みの方が、今日中にできる確認項目です。

今すぐ確認する3項目

  • 工事代金の支払い状況

    全額前払いしていないか?出来高に見合った金額か?

  • 使用塗料の在庫・調達状況

    業者に「シンナー・塗料の在庫は確保できていますか?」と確認。回答が曖昧なら要注意

  • 契約書のエスカレーション条項

    材料費変動時の対応が契約書に明記されているか?

確認①:支払い状況

最も重要な確認です。前払いが多いほどリスクが高い。

支払い状況リスク度推奨アクション
全額前払い済み工事進捗を頻繁に確認。連絡不通に注意
50%前払い済み残金は出来高に応じて分割支払いを交渉
未払い or 完工後一括契約書の支払い条件を再確認

確認②:塗料の在庫・調達状況

2026年4月時点では、複数のメーカーでシンナーの出荷制限が続いており、一部メーカーでは出荷時期が未定の状態が続いています。

  • 業者に「使用予定の塗料・シンナーの在庫は確保できていますか?」と直接聞く
  • 「代替品で対応します」と言われた場合、具体的な製品名を確認する
  • 回答が曖昧な場合、工期の見通しも合わせて確認する

材料確保リスクの確認方法の詳細は、2026年の見積もり|材料が届かないリスクと確認すべきことをご覧ください。

確認③:エスカレーション条項

エスカレーション条項(材料費変動条項)とは、「資材価格が著しく変動した場合の対応」を定めた契約条項です。

  • 条項がある場合:値上げ分の追加請求が来る可能性がある。ただし業者が一方的に決められるものではない
  • 条項がない場合:原則として契約金額は変わらない。ただし業者の資金繰りが厳しい場合、品質低下のリスクがある

��約後の値上げ対応については、契約後に塗料が値上がりしたら?知っておくべきルールで詳しく解説しています。

工事予定がある方は、業者に塗料・シンナーの在庫状況を確認しておくと安心です。「使用予定の塗料は確保できていますか?」と聞くだけでも、業者の対応姿勢がわかります。


まとめ──不安を行動に変える

塗装業の倒産が増えているのは事実です。しかし、「不安」のまま立ち止まるのではなく、「確認」という行動に変えることが大切です。

あなたの状況最も重要な確認最悪の場合の備え
契約前経営健全性チェック(許可・登記簿)JIOかし保険の加入を条件にする
契約済み・着工前前払い金の額と支払い条件前払い50%超なら工期を前倒し交渉
工事中工事の出来高と材料の調達状況出来高の写真を自分でも記���
完了後・保証期間中保証書の種類(自社/メーカー/かし保険)かし保険なら倒産しても請求可能

この記事を読んで「自分の業者は大丈夫か確認したい」と感じたら、見積書の内容を一度専門家に見てもらうことをおすすめします。

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著者について

横井隆之|ペンキのミカタ運営。施工歴25年・250件超。著書3冊(『塗装方程式』『外壁塗装の不都合な真実』『工程別チェックポイント21』)。外壁塗装の見積もりセカンドオピニオンを全国対応・オンラインで提供。

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