2026年4月24日時点、外壁塗装の相場は例年までのデータでは測れない局面に入りました。4月だけで塗料メーカー5社が一斉に値上げや供給制限を発表しており、大手ポータルサイトが提示する「30坪80〜140万円」という従来の相場帯は、2026年の実勢とは大きく乖離しています。
本記事では、施工歴25年・250件超・著書3冊の現役職人が、5社の公式情報と独自の「人工(にんく)理論」による 30坪2階建・外壁+屋根セット施工例 の分解で、2026年4月時点の実勢相場158〜195万円の根拠を提示します。
2026年、外壁塗装の相場は「過去データ」では測れなくなった
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大手ポータルサイトで広く参照されている「30坪で80〜140万円」という相場帯は、2025年以前の実績データの平均値です。ところが2026年3月から4月にかけて、主要塗料メーカー5社が相次いで値上げ・供給制限を発表しました。この影響はまだポータルの相場データベースには反映されていません。
2026年4月24日時点で見積もりを依頼すると、施工店から提示される金額は従来の相場帯を大きく超えます。本記事では、その理由と実勢額を、5社の公式情報と現場の仕入実態から具体的に解説します。
塗料メーカー5社が一斉に値上げ・供給制限を発表(2026年3-4月)
外壁塗装で使用される塗料・シンナー・シーリング材のメーカー大手5社から、2026年3月から4月にかけて連続的に値上げおよび供給制限の発表がありました。インパクトの大きい順に整理します。
日本ペイント シンナー最大75%値上げ(3月19日〜)
日本ペイントは2026年3月19日発注分よりシンナー製品を最大75%値上げ済み。加えて4月17日には下塗り材の一時受注停止(4月25日まで)を発表しており、受注業務の正常化に時間を要する場合は期間延長の可能性があると通知しています。
関西ペイント シンナー50%以上値上げ(4月13日〜)
関西ペイントは4月13日出荷分より、シンナー全般の価格を50%以上値上げ。同時に前年実績を上限とした受注制限も実施しています。
エスケー化研 全製品値上げ(5月11日〜・溶剤は4月21日先行)
エスケー化研は全製品の価格改定を発表。水性15-25% / 溶剤20-30% / 粉体10-15% の改定率で、5月11日出荷分より実施。主力の溶剤製品は4月21日出荷分から先行して値上げ済みです。
菊水化学工業 5月1日価格改定+出荷制限
菊水化学工業は2026年5月1日出荷分より全製品の価格改定を実施。一部製品は4月2日から随時先行実施。同時に出荷制限(前年実績をもとに適時対応)も発表しており、中東情勢を価格改定の理由として明示しています。
オート化学工業 全製品供給制限(4月9日〜)
コーキング材大手のオート化学工業は、2026年4月9日から当面の間、全製品の供給制限を発表。原則として2025年4月〜2026年3月までの月間平均販売実績が発注上限となります。希釈溶剤Kについては4月7日に別途出荷制限も発表しています。
核数字: シンナー系3社平均 約+68%
注目すべきは、シンナー製品3社の平均値上げ率が約+68%に達する点です。
- 日本ペイント シンナー: +75%
- 関西ペイント シンナー: +50%以上
- エスケー化研 シンナー類: +80%
(計算: 75 + 50 + 80 = 205 → 205 ÷ 3 ≒ 68.3%)
これは特定メーカーの事情ではなく、石油化学原料(ナフサ)の世界的な高騰と供給不安を背景とした業界全体の構造的問題です。
私の現場でも、4月上旬にシンナーが突然手に入らなくなりました。備える時間すら与えられず、数日のうちに販売代理店の在庫が動いた感覚です。施工歴25年で価格改定は何度も経験してきましたが、今回の特異性は 情報伝達の速度 にあります。ネットとAIで情報が流通する時代だからこそ、5社の発表が現場に届く速さも、仕入れ先が動く速さも、これまでと比べものになりません。
→ 塗料値上げの全体像は 塗料値上げ2026の総合まとめ を参照ください。
なぜポータルの「80〜140万円」は2026年に当てはまらないのか
前セクションの5社の動きを見ると、「では既存の相場帯が2026年に当てはまらない理由は?」という疑問が浮かびます。構造的な理由は主に5つあります。
1. データベースの構造的後追い
大手ポータルの相場データベースは、過去に契約された案件からの集計で作られています。2026年4月の値上げが実際の契約金額に反映され、その集計がデータベースに加わるまでには、数ヶ月〜半年以上のタイムラグが生じます。
2. 2026年4月の一斉値上げが未反映
2025年末時点のデータが中心となっているため、5社一斉値上げ後の見積もり金額がほぼ反映されていません。最新の一次情報を持つのは施工現場側です。
3. 広告・紹介モデル上、相場大幅更新は回避されやすい
大手ポータルの多くは業者紹介を収益源としており、相場帯を大幅に引き上げて公表することは、登録業者との関係上積極的に行われづらい構造があります。
4. 時限タイムスタンプなし
ポータルの相場ページには「いつ時点の相場か」という時限的な明示が少ないため、読者はいつ時点のデータかわからないまま古い情報をそのまま信じやすい構造になっています。
5. 5社同時危機の解釈は紹介モデルと相性が悪い
「業界全体の構造的危機で価格が上がっている」という解釈は、紹介業者への発注を抑える方向に働くため、紹介手数料モデルのサイトでは積極的に発信しづらい情報です。
2026年4月時点の実勢相場(人工理論で30坪モデルを分解)
前提: 以下は 30坪2階建・屋根塗装を含む一般的な施工例 の分解です。外壁のみの場合は別途試算が必要です。
外壁塗装の金額は、材料費・足場・人工(職人の工数)・諸経費の4要素で構成されます。当社独自の「人工理論」では、2025年基準の30坪シリコン塗装を以下のように分解します。
人工理論とは、当社が7年前から社内で使っている原価分解の考え方です。「良い品質は時間がかかる」という事実を定量化するため、塗料代ではなく 職人の工数(人工) を軸に見積を組み立てます。逆に足場のように「組めばどこでも同じ」工程はグレーゾーンが少なく、施工店による差が出にくい。この2つを分けて考えることで、どこに値上げが効き、どこが横ばいかが明確になります。
値上げ前(2025基準・30坪2階建て・シリコン): 138.7万円
- 材料費: 約42万円
- 足場: 約28万円
- 人工: 約55万円
- 諸経費: 約14万円
値上げ後(2026年4月時点): 158〜162万円(+14〜17%)
- 材料費: 約52〜55万円(+24〜30%・値上げの主因)
- 足場: 約30万円(+5〜10%・2024年問題による人件費反映)
- 人工: 約55〜56万円(横ばい)
- 諸経費: 約14万円(横ばい)
増加分の主因は「材料費」
全体の増加分約20〜23万円のうち、ほぼすべてが材料費の値上げに起因します。固定費(人工+諸経費=約69万円)は変化していません。
これは「塗料代が上がるから人件費も上がる」という単純な連動ではなく、固定費70% / 変動費30% の構造のうち、変動費部分だけが直撃している構造を示します。
この試算は当社2025年6月の稲沢市30坪2階建・外壁+屋根セット施工例で検算済みの数字をベースに、2026年4月以降の値上げ率を乗算したものです。扶桑町近郊の直近案件でも、値上げ前と後の実勢差は同程度の幅で確認しています。
※当社直近の実見積で検算済み
固定費70% / 変動費30% の構造と、グレードをどう選ぶかの判断軸については、今、外壁塗装をやるべきか?2026年の判断軸 で詳しく解説しています。
グレード別の2026年相場一覧
30坪2階建て・外壁+屋根セット施工例ベースで、グレード別にまとめると以下のようになります。
- グレード: シリコン / 耐用年数: 7-13年 / 2026年4月実勢: 158〜162万円 / ポータル提示帯: 80〜140万円 / 乖離: +18〜82万円
- グレード: フッ素 / 耐用年数: 8-15年 / 2026年4月実勢: 177〜182万円 / ポータル提示帯: 同上 / 乖離: +37〜102万円
- グレード: 無機 / 耐用年数: 13-25年 / 2026年4月実勢: 183〜195万円 / ポータル提示帯: 同上 / 乖離: +43〜115万円
※ 上記は 屋根込み の試算です。外壁のみ の場合は別途試算が必要です。
従来ヌリカエ等が提示していた80〜140万円の帯は、2025年以前の実績平均値であり、一般的に屋根塗装は含みません。2026年4月以降の実勢は、屋根+外壁セットでシリコンでも158万円から始まり、無機クラスでは195万円に達します。乖離は+60〜80万円。この差には値上げ分だけでなく、施工範囲の違いも含まれる点に注意が必要です。
この相場は今後さらに変わる可能性(第4波警告)
現時点の「158〜195万円」という数字も、暫定値と認識すべきです。2026年7月以降には追加の値上げ予告が複数メーカーから出ており、ナフサ価格とサプライチェーンの状況次第で、秋以降に再値上げが発生する可能性があります。
特にシーリング材の供給制限は、4月時点でも解消の見通しが立っていません。シーリング材はコーキング工事に欠かせない材料で、供給が止まれば工事そのものが着手できない状況になります。
→ 関連: シーリング材受注停止と外壁塗装への影響
この相場で判断するために、今すべきこと
2026年4月24日時点の相場を知ったうえで、次に必要なのは「今やるべきか・何を基準に判断するか」という意思決定です。相場の金額だけで動くのではなく、判断軸と業者選び軸の2軸で考える必要があります。
判断軸: 今やるべきか、待つべきか
値上げが続く局面では「今動くべきか、待つべきか」の判断が重要です。建物の状態・補助金・資材供給の見通しから整理した判断フレームは、今、外壁塗装をやるべきか?2026年の判断軸 にまとめています。
相場を知る目的は「いくらかかるか」ではなく、「自分の家の場合、今動くべきか」を判断するためです。
まとめ
2026年4月24日時点の外壁塗装の実勢相場は、30坪シリコンで158〜162万円、グレード全体で158〜195万円です。大手ポータルの従来相場「80〜140万円」とは60〜80万円の乖離があり、この差は2026年3〜4月の5社一斉値上げ・供給制限が背景です。
見積もりを取って「ポータルの相場より高すぎる」と感じた場合、それは2026年の実勢であり、業者が不当に高いわけではない可能性が高いです。判断に迷ったら、中立的なセカンドオピニオンで見積もり内容を検証することをおすすめします。
※本記事の実勢額は扶桑町近郊の30坪2階建て施工例をベースとしています。遠方地域では別途考慮が必要です。
※2026年4月24日時点の情報です。5社の動向は今後も変化する可能性があります。
*本記事は2026年4月24日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報は各メーカー公式サイトをご確認ください。*
この記事の著者
横井隆之
ヨコイ塗装 代表 / 外壁塗装コンサルタント
愛知県丹羽郡扶桑町でヨコイ塗装を経営。施工歴25年・250件超の施工実績を持つ外壁塗装の専門家。著書3冊(外壁塗装の品質公式・外壁塗装の不都合な真実・外壁塗装 工程別チェックポイント21)。独自理論「塗装方程式」の提唱者。施主の立場に立った公正なアドバイスを提供し、YouTube、ココナラ、MOSHなど複数のプラットフォームでセカンドオピニオンサービスを展開中。
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